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策士、その策におぼれる
なぜ動くのか。
何度でもいう。
なぜ動くのだ。
アテネオリンピック予選、対バーレーン戦。
負けたから口惜しいのではない。
勝負には勝ちがあり、あたりまえの如く負けがある。
勝負にはあやもあろう。
徹底したアウェイ戦術で意志統一された狡猾なバーレーンの子供たちに、生真面目で一本調子な日本の子供たちは、まんまといっぱいくわされたのである。
なによりもその将たる山本昌邦ヘッドコーチが、一度ならず、二度三度と、おのれの策に溺れてしまったことがなさけない。
ここにきて前田遼一選手を先発で起用したのはなぜだ。
調子のよい選手を起用した、ときみはいうかもしれない。
あなたは神様か。
そもそも調子の良し悪しは、いったいだれが見極められるというのか。
たとえばあなたが100戦100勝の将ならば見極められるかもしれない。
が、この連戦のなかで、少しく自信に翳りを見せている将が、特定の選手の調子を正しく判断できるわけがなく、助言としてえられる相談役もない。
この状況で、できることはただひとつ。
正眼の構えで、流れに身をまかせることしかない。
それなのに、いままで一度も先発で起用したことのない前田遼一選手を初先発させたギャンブル。
使うべきは、やはり山瀬功治選手であり、その後半に松井大輔選手を充てるべきである。
山本ヘッドコーチ自身が見出した必勝プランであるはずなのに、なぜ多用しないのか。
山瀬功治選手が調子をおとしているのなら、むしろ先発させて、できるところまで使うべきであるのに。
その使う順序が逆なのだ。
平山相太選手ではなく、高松大樹選手の先発は100歩ゆずっても、前田遼一選手の先発は不可解のきわみであり、独善。
まさしく策士、その策に溺れたのである。
田中マルクス闘莉王選手のアクシデントは予想できる範囲であったろうし、そこで阿部勇樹選手を起用したこともいたしかたない。
が、残りの一枚は、かれ平山相太選手をおいてほかにない。
なぜ、あそこで松井大輔選手の起用になるのか。
必要なのは得点で、それならば迷わず平山相太選手をいれて3トップにするべきであった。
バーレーンは平山相太選手をいちばん恐れていたのだ。
山本昌邦ヘッドコーチの運はそこで試されるべきであった。
しかも、ホームというアドヴァンテージを得ながらに。
ギャンブルはそこにしかないはずであった。
すべてはチグハグに、あべこべに、めちゃくちゃに90分は過ぎていった。
無慚にも。(3.14.04)
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