岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  広島カープ、全日本男子バレー、強いチーム、強かったチーム

 広島東洋カープが優勝した53年、全試合に出場した選手がチームに5人いた。
 主力が毎回、顔をあわせるのだから安定した試合運びができる。
「さち(衣笠祥雄選手)の存在が大きかった。」
 当時の広島の主砲、山本浩二さんがおっしゃっていた。
 
 ミュンヘンオリンピックで金メダルにかがやいた全日本男子バレーボールチームの平均身長は参加チーム中随一であったという。
 
 これっきしのたとえではある。
 が、これは単なる事実というよりも、最重要視すべき経験則である。
 しっかりと意識されてしかるべきである。
 
 すくなくとも、一時期であれ、かように最強チームは実在したのである。
 綿密な計画の賜物であれ、たまたまであれ、そこには或るひとの判断をへた戦力があり、戦術があった。
 おとぎばなしではない。
 
 強いチームは強さをもっている。
 それは時代をこえる。
 
 ともすると強いチームを強かったチームと、たんなる過去の遺物として葬ってはいまいか。
 それに気づかない。
 時代はすたれる。
 そうおもいこんでいるだけではないのか。
 
 過去は過去。
 たしかである。
 が、過去の人間と、いまの人間の違いはあるのか。
 はたして差はあるのか。
 差があるとおもいこんでいるだけじゃないのか。
 
 いまに生きている、というだけで、過去をみくだす。
 たんなる傲慢におちいってはいまいか。(12.15.04)





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