岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  井の中の蛙

 たとえば飛行機事故で。
 邦人に犠牲者がいるか。
 安否は。
 
 たとえば爆発事件で。
 邦人に被害者がいるか。
 安否はどうなっているか。
 
 たとえばメジャーリーグで。
 きょうの日本人メジャーリーガーの戦績は。
 
 たとえばセリエAで。
 日本人選手の評価は。
 イタリアのスポーツ紙の評価をそのまま載せる。
 
 なぜこうなるのだろうか。
 つまりこれは日本人以外は興味なしといっているのである。
 そんなことはない、と否定しようが、どうみても日本人以外、興味なしとおもわれてもしかたがない。
 
 ここの報道というものは分野をとわず、まさに井の中の蛙、そのものである。
 それがこの国の、われわれの実相である。
 
 報道対象が政治であり、経済であり、スポーツであっても、そこで語られることは、いわば政治的な、経済的な、スポーツ的な事柄でしかない。
 なになにのようなもの、に終始する。
 
 それはたぶん白黒をつけることよりも、根っから灰色が好きなのである。
 そのくせ灰色を毛嫌いする。
 その思考回路の癖すらわかっていない。
 
 ゆえに、ついに政治は語られず、経済は語られず、スポーツは語られない。
 政治とは、経済とは、スポーツとはすら顧みられない。
 
 井の中の蛙、大海をしらず。ただ空の青さのみをしる、という。
 が、実際は、
 井の中の蛙、大海をしらず。空の青さすらもしらず。
 
 もうよそうや。(10.19.04)





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