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苦悶するイチローさん
不振。
なぜイチロー選手は打てないのか。
ただ、かれはそれでもなおアベレージを300以上に保っている、という事実がある。
かれはトップアスリートであることにかわりはない。
メジャーリーグは試合数が多い。
日本の野球よりも気力、体力がもとめられる。
とくに全試合の3/4をこなしたあたりから日本の野球では経験できないものを求められる。
ことしで3年目のかれには、どうしようもない領域をさまよっているようにおもえてならない。
飽きる、とでもいおうか。
豊穣を迎える前段階の、その鈍い季節に入っているのだろう。
かれにとって、野球は仕事で、その仕事がおもしろくない時季だってあるだろう。
かれは歴史をつくっている、とは以前書いた。
歴史をつくるものにとって、そこに起こるであろう反作用としてのストレス。
それは、われわれが日本からみているよりも、そうとうに苛烈なのだ。
さまざまなストレス、とひとくちで片付けられないはずの、選ばれしものだけが扱わなければならないような、非常識なストレスと、もみくちゃになっているのだろう。
だが、そこは人間。
つまり、相手が人間で、人間がつくったシステムであるいじょう、問題点は、所詮、おなじ人間の範囲内にある、ということだ。
解決策はかならずある。
どこをどうすれば、そこへいきつけるか、しかも、より早く。
どこがわからないのですか、と先生に訊かれた。
どこがわからないのか、が判らない旨を必死に伝えた。
先生は、そうですか、それがわかるだけで十分ですね、と微笑みながらいった。
さぁ、もういちど、最初から、やってみましょう。
ただ、いいですか、注意してください。
スポンジに水をたっぷりと湿らせた風なイメージで。
いいですか、乾いたままのスポンジは水をはじいてしまいます。
おなじミスをくりかえさない、とはかぎりません。
スポンジから水がしたたるイメージで。
たっぷりと水を吸ってあげましょう。
絞って、吸って。
さぁ、初心にかえって。
もういちど解いてみましょう。
新しい水を吸いあげるつもりで、ね。
すると、間違いはここであった、と自分で気がついた。
それがうれしかった。
凡人であれ、才人であれ、迷ったら戻る。
それしかないのだとおもう。
王道はないのだもの。(9.21.03)
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