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なぜニッポンは負けたのか、ワールドカップ、
フィリップ・トルシエとフース・ヒディング
若い選手を使うのがじょうず。
フィリップ・トルシエの印象であった。
フィリップにとって、ノルウェー戦での敗北は相当にこたえた。
なにせ完敗であった。
フィリップは焦る。
これではいけない。
振り子は守りに傾いた。
人選に表れた。
この瞬間、攻撃のアイディアは減った。
守りもできて攻撃力もある選手、なぞと簡単にいってくれるな。
そんな選手はいない。
ただ、かんどころ、というか、ポジショニングに巧拙はある。
それは才能とよばれるもので、嗅覚とも表現される。
ただ、それだけでは大成しない。
シュートの正確さに、ふたたび巧拙がでる。
チームというのはマイナスの総体ではなく、プラスの総体として考えるべきもので、下手を普通にレベルアップするのではなく、上手をもっと上手にもっていくべきなのである。
得意をのばしてこそ、はじめて苦手な部分の向上が必要だ、と意識する。
それもいたって自然な流れのなかで認めることになる。
実感として捉えられるからである。
あとはどの方向でいくか。
ここではじめてコーチの登場になる。
攻撃のアイディア。
それはあくまでも個人に帰結する。
名波浩選手、中村俊輔選手の起用がなくなったことで明らかにベクトルは変った。
それをよしとしたフィリップ。
おちつきのないフィリップ・トルシエ。
それは自分が蒔いた種でしかなかった。
そのころ、もうひとつの開催国のヘッドコーチ、フース・ヒディングはフィリップ・トルシエと好対照をなす。
かれフース・ヒディングは結果がでなくても動じなかった。
ただ、チームの弱点はわかっていた。
そこを補強するだけである。
迷いはあった。
が、それを見せなかった。
見せてはならない。
数々の大舞台をへたことで、指揮者は泰然としていなくてはならない。
ここでふたりの経験の実相が如実にあらわれた。(9.2.03)
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