岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  高く、強いセンターバック、
  空中戦に強いフォワードが必要だ、セネガル戦評2

 セネガル戦について。

 先制され、後半になった。
 たしかにいいサッカーはしていると感じた。
 が、負けていて、しかも、そういうふうに感じている時間がいちばんあぶない。
 いいサッカーだから、いつかは得点してくれるはず、と希望的観測で見ていると、かならず後手をふむ。

 いいサッカーは必要ない。
 いいサッカーならすでに得点していていいはずじゃないか。
 それまで得点できなかったのだから、これからも得点できない可能性のほうが高いのではないか。

 早急に手をうたなければいけないのは、こういうときこそである。

 ただ、皮肉なことに、小野伸二選手が交代ではいってから変ったのは、かれがニッポンの要と称される中盤を省略し、正確なロングボールを配球するようになってからである。

 小野選手が欠かせない存在であることを彼自身が証明した。
 その堂々とした動き。
 強烈なリーダーシップ。
 ニッポンにとって、かれの存在は最重要になった。

 気がつくと、いつのまにか、デフェンシブハーフばかりになっていた。

 アタッカーが我慢しきれず下がるのは、やさしい性格の持ち主のあかしで、女性には好印象を与えよう。
 が、ワールドクラスのフットボールでは通用しない。
 傲慢さが必要なのだ。
 傲慢をしぬく勇気とでもいおうか。
 ピッチ上では、たとえば役者がその役になりきるように、選手もまたその人格を変えなければならない。

 ゴールまえ、確実に決めたいのはわかる。
 だが、より安全な策をとろうと、もうワントラップくわえるから相手に詰め寄られる。

 つまりトラップをくわえることは安全策ではないんだ、ということに、そろそろ気づいてもいいのではないか。
 ここはJリーグではない。

 センターフォワードとセンターバックにもとめられるのは、たくみさ、器用さ、ではない。
 ただ強さである。
 一にも二にも、この強さである。
 不器用がいい、とセルジオ越後さんもおっしゃっていた。
 ニッポンには、高い、強いフォワードとセンターバックが必要だ。

 水戸のトゥーリオ選手。
 柏の中澤聡太選手。
 新潟の船越優蔵選手。
 川崎の岡山一成選手、寺田周平選手、箕輪義信選手。
 大分の紫小屋雄一選手。

 あなたがたの身体、それだけでも相当なアドヴァンテージを、世界に通用する可能性をもっている。

 もっともっと背をのばし、自信をもって、代表選手をめざしてほしい。
 すくなくとも、わたしが関係者なら、呼ぶ。(9.12.03)




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