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末續選手は勝ったのか
末續選手は勝ったのか。
かれはまさしく歴史を創っていた。
と、同時に、世界を確実に、その視野に据えられたであろうことは間違いない。
いわば、かれは世界一を目指してきたからこそ、世界第三位になったのである。
が、それまでは世界とはいえ未経験の領域であった。
しかし、あの決勝レースのなかで走れたことで、その世界を実感として、はっきりと認識できたであろうことは疑いない。
このフィーバーが一段落し、ふたたび起つとき、その練習はいままでよりも過酷な消耗をしいるだろう。
なぜか。
世界はかれの掌中にあるからだ。
もう迷いはない。
ただ黙々とメニュを消化するだけである。
末續選手の偉業は、今後、だれひとりなしえないであろう。
アナウンサーはいう。
そうかもしれない。
ただ、かれの偉業は、まずかれ末續本人がぬりかえる可能性がある。
そして、幾千万の言葉を要するよりも簡潔なスタイルで、かれ末續慎吾はテレビのまえの子供たちに、メッセージを送り続けることになる。
それは91年東京大会のファイナルレースに挑む、高野進の姿を見て鳥肌がたったという、末續慎吾の子供のころの記憶のように。
期待しないわけにはいかない。(8.30.03)
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