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まだ勝っちゃいないんだぜ
ラモス瑠偉はいった
末續選手の走りはいままでに見たことがない。
だいいち、ワールドアスレティックスやオリンピックの大舞台で、予選、2次予選とはいえ1位通過。
しかも150bをすぎて、左右を確認するところなぞ、ついぞ見たことがない。
驚きとはそういうもので、いつも新鮮である。
ただ、気になるのは、そのあとのレース後のインタビューに見られた余裕?である。
まるで、もう勝ったとばかり。
はしゃぎすぎていたことである。
気持ちは判る。
あまりにも予定どおりなのだろう。
だから、妙におかしくてたまらないのであろう、顔が緩む。
しかし、ほんとうは、ここからが世界、ここからが勝負なのだ。
いわば、かれにとっても、観衆であるわれわれにとっても、ここからは未知の世界だからである。
女性のインタビュアーにおちゃら系のスマイル。
いままで見たことのないことをしているのに、そんなところを微塵も感じさせない。
相当な練習量と綿密な計画がなした自信なのであろう。
うれしい表情は見ていてもうれしくなるものである。
そのとき、ふうっと、ドーハでの韓国戦が終わったときのラモス瑠偉の顔がうかびあがってきた。
宿敵韓国にワールドカップ予選ではじめて勝った。
泣きじゃくる同僚をまえにして、ラモス瑠偉はいった。
「まだ、勝っちゃいないんだぜ」。
杞憂であることを祈りたい。(8.28.03)
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