岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  ベテラン、新しい呼び名は「10年選手」

 ベテランの意味を辞書でひく。
 退役軍人とある。
 老練ともある。

 たしかに30歳をこした程度の選手をベテラン呼ばわりする報道関係者諸君には、おのおの辞書を引くことを勧めたい。
 ベテランという言葉。
 こういうところで使うのは適切ではない。
 いっそ、経歴年数であらわしてみてはどうか。
 10年以上の経歴を持つ選手を「10年選手」とひとくくりでいう。
 ベテランよりましだとおもうがどうだろう。

 井原正巳選手、福田正博選手、10年選手がグラウンドを去る。
 決心にはそれ相当の勇気がいったことであろう。

 なぜ、もっと10年選手をうまく使えないのだろう。
 もったいないことこのうえないのに。
 需要面ではとくに、総量として経験のないチーム、若手主体のチーム、はっきりした目標到達が悲願のチームには欠くことのできない存在であるのに。
 選手側としての供給面でも、なぜラモス瑠偉さんに見習わないのだろう。
 …と、おもっていた。
しかし、

 10年選手が使われないのは10年選手であるはずなのに、10年選手の働きをしない、10年選手の働きができていないからだ、ということがわかった。
 10年選手にできることはなにか、それが整理されていないからである。
 需要、供給ともに未整理のまま放置されている。
 単に、10年選手が若手より使いにくいからである。
 用兵にたけたヘッドコーチがいないからである。

 声をだす。
 指示をだす。
 若手を叱り、褒める。
 勇気を与える、その方法を考え実践する。
 あきらめない。
 あきらめたふりを見せたものを恫喝する。
 責任をとる覚悟があるか。
 その役割はプレーヤーではなく、ヘッドコーチである。

 こんな10年選手、いまのJリーグにいますか?(8.11.03)




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