岩井不巡 スポーツコラム
スタジアムで会いましょう

  宣教師エジムンド、2003年Jリーグをうらなう

 浦和の補強、東京Vの補強は好感がもてる。
 また、藤本主税選手の名古屋への移籍は、かれにとっても確実なステップアップといえよう。
 ベルデニックらしい好みだ。
 どちらにしても好補強といえよう。

 当該チームのフロントがそれぞれの弱点を把握しての人選である。
 弱点を自分でいいあらわすのは簡単なようで難しいものである。
 だからこそ、どのチームも迷うのである。
 対して、大分はこれでいいのか。
 昨年の札幌のシーズン前の状況を思い起こさせる。
 海外からくる新戦力があたればおおばけ、はずれればふたたびJ2である。
 ただし、補強があたっても夏までもつか。

 浦和は現有の勢力が機能すれば補強点はゲームメーカーしかなく、東京Vはチームの芯がほしい。
 チームの要というような抽象ではなく、そのもの、その人、その存在でなくてはいけない。
 パトリック・エムボマはまさに、その人にふさわしい。
 他のチームは、もっと早く採るべきであった。

 エジムンドは、本国でもイタリアでもいろいろと騒動を起こしてきた。
 そのかれが、遠い異国の、それも真裏に位置する異教徒の国にやってきて、そこの国の子供たちのヒーローになりつつある。
 あの、エジムンドが。

 でも、それはかれの本意ではない。
 かれにとってはチームの勝利すらも単なる結果であって、さして重要なことではない。
 かれにとってのよろこびは、ジャポネにおいてフッチボルが広く浸透し、やがてはひとつの文化になることこそが重要なのである。
 そのためにわざわざやってきたのだ。

 もちろんマネーのためではない。
 ワールドカップが開催できたことは歓迎できた。
 でも、まだまだだ。
 やるべきこと、教えておくべきことはたくさんある。
 ときには、大人をからかうことが好きなエジムンドだのに、この国にはそれらしい大人がみあたらない。
 だからからかえないだけなのだ。

 施設も備わりつつあるし。
 フッチボル熱も適当にある。
 ほら、ボールはこうして蹴るのが正しいのだよ。
 基本をくりかえしくりかえし。
 フッチボルは基本さえできればだれでもが楽しめる極上のスポーツです・・・。

 ことわっておくが、かれが改心したのではない。
 かれはただ宣教師になっただけである。
 かつてはビスマルク、いやいや、それよりもずうっと前からいるじゃないか。

 現日本代表ジーコヘッドコーチもそうであったように。(2.7.03)





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