『Ring』

 空は青く澄み切った色をしている。高山地帯で、空気も違うのだろう、今までに見たことの無い青をしていた。
 シレジアは雪の国。今日はめずらしく晴れ間がのぞいていた。
 凍てつくような寒さも幾分和らぎ、この国の者だけでなくこの国の者ではない者達にとっては絶好の外出日和だった。
 皆、考える事は同じなのだろう。城下町ではいつも以上に人が賑わっていた。
 その賑わった街に二人の男達が装飾品を扱っている店の前でうろうろしていた。
 いや、うろうろしているのは正確には金髪の青年一人だけで、もう片方の深緑の髪をした青年は呆れた顔をしていた。
「……あのさ……入るなら入るらしくとっとと入れよ」
「……そんな事言ったって……いざとなると決心がつかなくて……」
 どうやら付き合わされているらしい深緑の髪の青年の方が、店に入るように勧めるが、相手は相変わらずはっきりしない。
 その返答に、さすがにしびれを切らす。
「ノイッシュ!!お前、自分の奥さんにプレゼント買うだけだろ!!俺、付き合うの止めるぞ?!」
「そんな事言ったって〜〜〜。……見捨てないでよ、アレク〜〜。
 ……俺、こういうの分からないんだから」
 怒って帰ろうとするアレクにノイッシュは追い縋る様な目で訴える。
 その捨て犬の様な目に、アレクはやれやれとため息をついた。
 確かに、このまま置いて帰ってもこの状況は変わらないだろう。
「……分かったよ。じゃあ、改めて目的を聞く。
 プレゼントを買いに来たんだよな。で、何を買うつもりなんだ?」
「……それなんだけど……考えたら指輪……買ってあげた事が無くて……」
 ノイッシュは言い難そうに答える。
 かれこれ、ノイッシュとアイラが付き合うようになってもう2年近くなる。今では双子の子供達もいた。
 だが、多くのカップルは結婚やら婚約やらで指輪をあげたりしているのを知ったのは半年ほど前。シルヴィアが自慢げに見せてくれ、得意げに話してくれたので分かったのだ。
 確かに軍内で簡単な結婚式は用意してくれたので、その時に用意してもらった指輪ならノイッシュもしていた。
 だが、それ以外に指輪を贈った事など無かった。
 だから、いつか買おうと心に決めていたのだが一向に決心がつかず、今日はなんとかアレクにも付き合ってもらってここまでやって来たのだった。
 しかし、その答えにアレクはぱっと表情が明るくなる。
 今までのおたおたした態度から、てっきり何も考えていないのかと思っていたのだが、どうやら目的は明瞭なようだ。
「それなら指輪見れば良いんじゃないか。さあ、入るぞ!」
「だ……だけど俺こういう所に入った事無いし……」
「だ〜か〜ら〜、今から入れば良いんだろ?!」
 まだ決心のつかないノイッシュを引きずってアレクは店に入ろうとしたのだが……嫌な予感がした。
 そうだ。ノイッシュはこういう事はさっぱり分かっていない。
 と、いう事は。
「……お前さ……一応念のために聞くが……アイラ様の指輪のサイズって知っているのか?」
「指輪のサイズって……?」
 予想通りの答えにアレクは頭を抱える。
 予想はしていた。していたが……
「お〜ま〜え〜は〜〜〜!!どうやって指輪買うつもりなんだよ!!!」
「指輪って…サイズなんかあるの?!」
「あるに決まってんだろ〜〜〜!!」
「……アレク、知らない?」
「どうして俺が知ってなきゃなんないんだよ!!」
 装飾店の前で賑やかに騒いでいる男二人に通りかかった人達が物珍しそうに眺めていく。
 その賑やかな様子に、そういう騒ぎが大好きな少女が気がつき、隣にいる連れの服をひく。
「ねえねえ、フュリー、見に行こうよ!」
「え……でもシルヴィア……あの人達ってもしかして……」
 フュリーに言われてシルヴィアはその賑やかな二人組に近寄り、驚いて声を上げる。
 その二人はシルヴィアのよく知っている人達だった。
「あれ〜?アレクにノイッシュじゃない。何してるの?」
「何してるって……お前こそ何してんだよ」
 シルヴィアに声をかけられてアレクはノイッシュに対する追求を止めて振り返る。
 そこには暖かそうな毛皮を羽織ったまるで姉妹のような緑の髪の二人組が立っていた。
「見て分からない?フュリーとお買い物しているのよ。お城にいたって何もする事無いし、フュリーに街案内してもらってるの。
 アレク達こそなにして……」
 そこまで言いかけて、シルヴィアは彼らがいる前が装飾品店の前である事に気がつく。
「あ〜!もしかしてあたしにプレゼント?」
「残念でした。こいつの買い物の付き合いだよ」
 アレクはそう言って傍でぐったりしているノイッシュを指差す。
 そう言われてシルヴィアはがっかりした顔をした。
「え〜〜〜がっかり〜〜〜〜」
「がっかりじゃないだろ……」
 だだこねるような顔で文句を言うシルヴィアにアレクは苦笑いを浮かべる。
 そんな二人のやり取りを微笑みながら見ていたフュリーがノイッシュに向かって話を振る。
「じゃあ、アイラ様へのプレゼントですか?」
「……そのつもりだったんだけど……」
 答え難そうにノイッシュが答える。その態度にフュリーは首をかしげた。
「そのつもりだった……?」
「……指輪買いに来て、サイズが分からないんだよ。この馬鹿」
 ノイッシュに変わってアレクが答える。そう言われてノイッシュはがっくりと肩を落とした。
 これがもめていた原因だという事はフュリーとシルヴィアにも分かった。
「じゃあ、アイラに聞けば良いじゃない」
「それが、驚かせたいから聞くに聞けないって言うんだよ」
 シルヴィアの提案にアレクが即座に答える。
「だからって俺が聞くのも変だろ。少し考えれば何のためかくらい見当つくからな」
 確かにアルクの言う通りだろう。
 関係の無い人間が尋ねて答えてくれるとは限らないし、仮に答えてくれてもアレクとノイッシュの仲の良さを知っている者ならそれがノイッシュに関わってくるのは容易に見当がついてしまう。
 そうなると秘密ではなくなってしまうのは明白だ。
 だが、打開策は簡単に提案された。
「ふうん?じゃあ、あたしが聞いてあげようか?」
 そう言うとシルヴィアはノイッシュから視線をずらし、アレクに向かってにっこり笑ってこう付け加えた。
「代わりに、条件があるけど……」
「何なんだよ、条件って……」
 その言葉が自分に向けられている事に気がつきアレクは苦い顔をする。大体、こういう時はいい話は続かない。
「さっきね、とっても可愛いショールを見つけたの♪」
 それはもう可愛らしい満面の笑みでシルヴィアは言う。その言葉の意味している所はアレクにも容易に察せられる。
「……早い話、それを買えと?」
「うん、さっすがアレク!話が早〜い♪」
 アレクはしばらく考えていたが、諦めたように首を縦に振った。
「良いよ。買ってやるから、ちゃんと聞いて来いよ?」
「分かってるって♪ありがと、アレク♪」
 アレクからお金を受け取るとシルヴィアは満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ、フュリー買い物に行こう♪」
「え?え?良いの??」
「いいの、いいの♪」
 シルヴィアはおたおたするフュリーの背中を押して、街の人並みに消えていった。
 その場に残された男共はその背中を見送っていた。
「ごめん、なんか俺アレクに迷惑かけっぱなし……」
 ノイッシュはすまなさそうにアレクにそう言った。
 一連のやり取りの間、原因は自分にあるというのに何故かアレクに不利なように話が進んでしまい、それを止める事も出来なかったからだ。
 とにかくすまない気持ちでいっぱいだった。
 だが、アレクは平気な顔で、手を振ってみせる。
「良いんだよ。どうせ、あいつの事だから何かの理由つけてねだるんだろうからさ。
 まあ、これで分かるんだからオーケーって事で。
 それに、しばらく大人しくしてもらわないといけないし……ね」
「え……なんで?」
 アレクの言葉の意味が分からずノイッシュはきょとんとする。
 それを見てアレクは半ば呆れた顔をした。
「……お前、父親になってるのに分からないんだな」
「え?え?……ええ?!」
 言葉の意味が分からず考えていたノイッシュだったが、やっとその言葉の意味が分かって驚きの声を上げる。
「わ〜、おめでとう!へえ〜、アレクももうすぐお父さんなんだ」
「そういう事。だから大人しくていて欲しいんだよ」
 アレクは冷静に答えるが、反対にノイッシュの方がわくわくしている。
「まだ分からないけれど、男の子が良い?女の子が良い?」
 嬉しそうにそうにニコニコと尋ねてくるノイッシュにアレクはきっぱりと答えた。
「女の子に決まっているだろう」
「はい?」
「シルヴィアに似た可愛い女の子、決まっているだろう?」
 あんまりにもはっきりと答えるアレクにノイッシュは呆然とする。そのノイッシュにアレクはもう一度はっきりビシッっとそう言った。
 たまに、変な所でアレクは頑固になる。
 とりあえず、こうなってしまっては話が進まない。
 どうしようかとノイッシュが固まっていると、アレクの方から話がやってきた。
「ほら、指輪を見るんだろう?行くぞ」
「え?でも指輪は……」
 アレクの言う意味が分からず、ノイッシュはおたおたする。指輪なら、買えないと分かっているはずだ。
「……あのな、デザインくらいなら見られるだろう?」
 さっぱり理解していないノイッシュにアレクは呆れた顔で言う。その言葉にやっとノイッシュは合点がいった顔をした。
「そうか、そうだね」
「そういう事。じゃあ行くぞ」
 ノイッシュが再びおたおたしないうちにアレクはノイッシュを引っ張って店の中に入っていったのだった。


「ア〜イラ!」
 子供達を寝かしつけて一息ついた時、名前を呼ばれて黒髪の女性は振り返った。
 部屋の扉の所に、ひょっこりと少女の顔が覗いている。
「シルヴィアか。丁度一息つこうと思っていた所だ。一緒にお茶でも飲まないか?」
「ええ?本当?うん、ご馳走になる♪」
「大丈夫だ。二人共誰に似たんだか、一度寝たらなかなか起きないからな。
 ……まあ、おかげで私は助かっているけどね」
 アイラの言葉にシルヴィアは安心すると、アイラのいるテーブルに近づき、椅子に腰を下ろした。
 正面に座っているアイラの顔を、シルヴィアはまじまじと見つめる。
 その視線に気が付き、アイラは慌てる。
「ど、どうした?私の顔に何かついているか?」
 慌てて顔をぱたぱた触るアイラにシルヴィアは笑って答える。
「ううん。なんかね、優しい顔をしているなって」
 初めてシルヴィアがアイラに出会ったのは戦場だった。
 凛々しい剣士で、どこか張り詰めた表情をしていた。
 だけど、少しずつ変化していく色々な彼女を見てきたが、今の顔が一番輝いて見える。
 優しくて幸せに満ち足りた母親の顔。
 ディアドラやエーディンがそういう顔に変わっていったように、アイラも確実にそういう変化を見せていた。
 自分も……いつかそういう顔になるのだろうか?そんな事を思った。
「そうか?……やはり母親になったからだろうか。
 だけど母親としてはまだまだだとよく言われるんだけどな。危なっかしいって」
 シルヴィアの言葉にアイラは微笑みながら答える。
 やっぱり母親は素敵だなとシルヴィアは思った。
「でもアイラのところは双子ちゃんだもんね。大変でしょう?
 アレクで良かったらいつでも使ってやってね」
「ふふ、ありがとう。
 アレクにも随分手伝ってもらったな……。また、頼むよ」
「伝えておくね〜」
 そう言って二人で笑いあう。
 実際の所、アイラはアレクには随分手伝ってもらっていた。
 ノイッシュと仲が良いせいで、手がまわらなくなるとノイッシュがアレクに助けを求めに行くので、何かしら手伝ってもらっていた。一緒に寝不足に陥る事もしばしばだった。
 双子という事で大変な思いをしたが助けがあったのは何よりだったのでアイラにとっては感謝している存在でもあった。
「そういえば、シルヴィアの方は大丈夫なのか?」
 アイラの言葉にシルヴィアは軽く頷く。
「うん、大丈夫だよ」
「しかしあいつは結構上手いんだよな、子供あやすの。
 そういう点ではシルヴィアも心強いだろう?」
「ん〜、そうね。それは安心なんだけど……」
 ここでシルヴィアは顔をしかめた。
「なんかね、アレクってばお腹の子は女の子だって言い張るのよ。
 違ってたらどうするつもりなんだろうね?」
 そう言ってシルヴィアは苦笑いを浮かべて自分のお腹を見る。
 まだ芽生えたばかりの命だ。性別なんて分からないけれど。
「じゃあ、私みたいに双子にしておくか?」
 笑いながらアイラは言う。
 それを聞いてシルヴィアは輪をかけて苦い顔をした。
「アイラみたいに体力ないから無理だよ〜」
 冗談だとは分かっていても、元気なアイラでさえ振り回される双子はシルヴィアも正直言って勘弁して欲しい。
 そのシルヴィアのいかにも嫌そうな顔にアイラはころころと笑う。
「アイラって本当に元気だもんね。体力もあるし〜。
 手とかも大きいよね〜」
 そう言ってシルヴィアはアイラと手を合わせる。
 アイラの手はシルヴィアの手よりも一回りは大きくて、ずっとがっちりしていた。身長はシルヴィアよりは高いが、小柄な部類に入るアイラの手が大きいのはやはり剣士ゆえだからだろうか。
「う、やっぱり大きい。指とかも結構違うし……。指輪のサイズとかも結構大きそうだよね」
 改めて大きさを実感してシルヴィアはため息をつく。
 そして思わず、口にした言葉にちょっと驚く。
 わざとこの話題にもっていくつもりはなかったのだが、何だか自然に聞いてしまっていた。
「そうだな…シルヴィアの手は小さくて可愛いものな。細いし羨ましいよ。
 私は12くらいだけどシルヴィアはやっぱり8くらいか??」
 そんな裏事情を知らないアイラは羨ましそうにシルヴィアの手を見る。がっちりしている自分の手より、細くてしなやかなシルヴィアの方が羨ましいようだ。
「うん。そうだよ。
 でもアイラの手は大きいから赤ちゃんたちも安心するよ!」
 シルヴィアの励ましに、アイラは嬉しそうな顔をする。
 その嬉しそうな笑顔にシルヴィアも嬉しくなってにっこりと笑った。
 穏やかで温かい空気がその場を満たしていったのだった。


 その日は何が何だか分からなかった。
 突然、エーディンとラケシスに子供達の面倒を見るから羽根を休めてこいと追い出されてしまったのだ。
 だからといってもアイラには突然出来た休息をどう過ごして良いか見当もつかなかった。
 時間を持て余してぶらぶらと城内を歩いていた。
 ノイッシュでも誘おうかと思ったのだが、今日は警備の担当で朝からでかけていたし、シャナンはオイフェと一緒にセリスを抱えてエーディンの所に行ってしまった。
 一人だと何をして良いか分からず、暇をもてあましていた。
 だれか、適当に捕まえて誘おうか、そんな事を考えていた時だった。
「アイラ!良かった、見つけた!」
 聞きなれた声に振り返ると、金色の髪の青年が慌てて廊下を走ってこちらに向かっていた。
 その人物にアイラは驚く。
「ノイッシュ?!お前……今日は警備だったんだろう?」
「そうなんだけど……途中からアレクに代わってもらったんだ」
 驚くアイラに、ノイッシュは息を切らしながら笑顔で答えた。
「ちょっと遅れて部屋に行ったら、もうでてるって聞いて……探しちゃったよ」
「探したって……どういう事なんだ?」
 ノイッシュの言っている事が分からず、アイラは目を丸くする。
 遅れたという事は、アイラがこうして暇になるという事を知っていた事になる。
 だが、アイラの反応にノイッシュの方が驚いた顔をした。
「あれ?聞いてないの?」
「聞いてないって……だから一体なんなんだ?!
 私はさっぱり分からないんだけど……」
 アイラは明らかに不満そうな顔をする。
 自分だけ仲間はずれにされた気分だった。
 そんなアイラの膨れた顔にノイッシュはすまなさそうな表情になる。
「ごめん。アイラ。本当は次の休みまで待つつもりだったんだけど……やっぱりどうしてもすぐにしたくて……」
「だから……一体なんなんだ?」
 ノイッシュの言い訳がさっぱり分からず、アイラはさらに不機嫌な顔をする。
 何が何だかさっぱり分からない。
「……前からね、アイラにお礼がしたかったんだ」
 ノイッシュの言葉にアイラは驚く。
 話が見えてこない。だけどノイッシュの照れくさそうな顔に、先ほどまでの機嫌の悪い感情は失われてきていた。
「アイラに結局一番子供達の面倒見てもらって……俺はあんまり手伝えなくて……だからアイラになにか感謝の気持ちを伝えたかったんだ」
「……いや……お前だって結構面倒見てくれているじゃないか。お礼を言われる事なんて……」
「ううん、やっぱり母親と父親は違うよ」
 慌てて否定するアイラにノイッシュは大きく首を振った。
 母親にしかできない事がある。きっと父親にしかできない事もあるのだろうけれど、母の力は温かくて優しくて違っていた。
「だから、アイラに贈り物をしようと思って……でも買ったらすぐに渡したくて……急に当番を代わってもらったんだ。事情話したらエーディン様たちも子供達の面倒をみて下さる事になって……。
 だから、今日は良かったら二人で久しぶりにでかけないか?」
 アイラはにっこりと微笑む。
 気持ちが心から嬉しかった。
 ずっと彼が自分の事を気にかけてくれていた事、感謝してくれていた事、そして最高の休日を用意してくれた事。
 とても幸せな気持ちで満たされた。
 ノイッシュはアイラの笑顔に嬉しそうな顔になる。
 そして、自分の服をごそごそと探り、小さな包みをアイラに手渡した。
「やっぱり、ずっと持っていられないから今渡すね」
 アイラはその包みを受けとる。
 手のひらに乗ってしまうほど小さな包み。なんだか分からなくて、アイラはじっとその包みを見つめた。
「開けてみて?」
 むしろのノイッシュの方が開けて欲しいらしい。
 仔犬のようなワクワクした瞳で見つめられてアイラは思わず微笑んで包みを開いた。
 小さな箱に収められた中には小さな青い宝石のついたシルバーのリング。
 それを見て、アイラは驚きと嬉しさで笑顔が溢れ出した。
 嬉しさと幸せな気持ちで一杯になった。
「……どう?気に入ってもらえた?」
 不安げに聞いてくるノイッシュにアイラは笑顔で返した。
「不満だったら、こんな顔なんてしないだろう?」
 その答えにノイッシュも嬉しそうな顔をした。
 ノイッシュはアイラの手をとり、指輪をその指にそっとはめた。
 その手にある指輪を見つめアイラは溢れ出す幸福感のままに微笑んだ。
「じゃあ、久しぶりに出かけようよ」
 ノイッシュはそう言うとアイラの手をとる。
 その手にひかれるままについて行った。
 その道すがら、ノイッシュはアイラに笑顔で話しかけた。
「そうだ、アイラ。お店の人に教えてもらったんだ。その宝石の意味」
「??どんな意味なんだ?」
 アイラは興味のある顔をして聞く。
 その言葉にノイッシュは嬉しそうに懐っこい笑顔をしてにっこり笑った。
「ふふ、あとで教えてあげるよ」
「ずるいぞ、ノイッシュ!そこまで言って内緒なのか?」
「いいじゃない。後のお楽しみで」
 笑顔から一転してふくれっつらになるアイラにノイッシュはクスクスと笑うとその手をもう一度握った。
 そしてアイラもその手をしっかりと握り返した。
 久しぶりの、二人だけの休暇を楽しむために。



 青い宝石はサファイア。
 その意味は―――――――――――――誠実と幸福。

 ―――――――――――――幸せの証――――――――――――。


 終わり。


 小説では初のノイアイです〜vいや、ずっとHP作ったらこの話を書こうと心に決めていたんですよ(笑)。それとカップルになってからのこの二人も書いてみたかったんですよね。
 しかもこの話、しっかりアレシルとかフュリー&シルヴィアとか私の好きなものがいっぱいなんですよvv
 ……すいません、かなり自分満足な一品です(苦笑)。しかもあんまりノイッシュとアイラが二人で話しているのが少なくて…(苦笑)。でもこんな感じですよね、私のノイッシュ×アイラは。くっつくまでは色々ありそうですけど、それからは平和であったかいカップルでしょうねv
 さて、言い訳も書かねば。
 指輪のサイズ…正しくは知らないんですよね;;で、自分の指で測ってみたんですよ…で判断した形なんですが……おかしいかもです;;違ってたら教えて下さいませ;;
 宝石はサファイアです。最初はアメジストにするつもりだったんですが(アイラの服とか紫なのでそれに合わせて)、意味とか調べているうちに「サファイアの方が良いじゃない!とか思いまして……その結果です(^^;)。
 でも楽しくお話が書けましたv
 お付き合いくださりありがとうございましたv
 宜しかったら、ご感想とかいらだけると嬉しいです♪
 

★戻る★