『空に舞う』


 シレジアに青空は珍しい。冬の季節が長く、雪が積もっている事が多いからだ。もっとも、雪だらけだというのならば、食べるものも無く人も住めたものじゃないが、幸いにも季節は巡り、恵みをもたらせてくれるし、動物も暮らしているから、細々ながら生きている国だった。
 名物はペガサス。このシレジアにしか生息しない生き物で、女性しか乗せる事は無い。そのため、この国では戦いとなれば女性が槍を持ち、ペガサスを駆って戦い、男性は古来より得意である風魔法で戦うのだ。
 もっとも、この寒く厳しい国土を攻め込んで奪おうという国は無いので、そこまで軍事は大事な話でも無かった。それでも、自衛のために、ペガサスナイトや魔導士達が日々訓練に励んでいた。
 彼は青空を眺めていた。冬の珍しい雲の切れ間。真っ青な空から太陽の光が零れ落ちてくる。眩しかったが、目が開けられないほどではない。
 貧しい国だったが、彼はこの国が好きだった。
 でも、欲しいとは感じた事が無かった。
 それは正式な王位継承者であるからだろうか。当然受け継ぐから、欲しいと感じたりしないのだろうか。
 彼は今の国の現状に嫌気がさしていた。
 確かにこの貧しい国を奪い取ろうという輩は居ない。
 でも、この国を我が物にしたい者は居るのだ。何人も。それも自分の肉親の中で。
 母が女性だからと馬鹿にしているのか、自分が若年だと侮っているのか……それともその両方か。
 この国は愛している。だが、このままでは内戦にだってなりそうだ。
 ……国土を壊してまでこの国を継承したい訳じゃない。欲しい奴が王位を継げばいい、そんな風に考えるようになっていた。
 だから、この国から逃げ出そうと。
 王位継承者の自分がいなくなれば内戦は避けられると、そう信じていた。
 だから、この晴れた青空の下、こっそり城を抜け出すつもりだった。
 服も用意していた。吟遊詩人の服。それに楽器も。ふらつくには丁度良いだろう。申し訳ないけれど、多少の路銀も持っている。どのくらいの旅になるかは分からないが、それでも良かった。
 こっそりと裏口から抜け出したものの、城から外に出るためには城門はくぐらなくてはならない。
 人が居ないのを確認してから、こっそりと気付かれないように細心の注意を払って彼は前進する。
 だが、目の前を緑の長い髪が横切った。それに気が付き、彼は足を止めた。一番見つかってはならない人に見つかってしまったようだった。
「レヴィン様?何をしてらっしゃるのです?」
 彼女はマーニャ。レヴィンにとっては幼馴染ともいえる存在であり、憧れの人でもある。彼女は今はシレジア城のペガサスナイトになっていた。
 マーニャは様子のおかしいレヴィンに再度問いかける。
「レヴィン様、そのお姿はどうされたのです?
 何を考えてらっしゃるんです?今がどういう時か分かっておいでなんですか?」
 レヴィンは顔を上げた。怒った顔が胸に突き刺さった。
 見つかってはいけない相手に見つかったという顔でレヴィンは逃げ腰になる。だが、逃げられないようにマーニャはその捕まえた腕を放さない。鍛えた腕なら王子の腕程度の抵抗には対応できるからだ。
 ぐいっとマーニャに引っ張られて、流石のレヴィンも諦めが入る。
 マーシャが真剣な顔でレヴィンに詰め寄った。
「レヴィン様、今がとても大事であるという事はお分かりですか?」
 マーニャは今までの幼馴染とは全く違う言葉のトーンでそう問い詰めた。
 レヴィンはそれでマーニャは今までのレヴィンとマーニャの関係で居られない事を感じざるを得なかった。
 今の二人の関係は、シレジア王子と、それに仕えるペガサスナイト。
 だから、交わす言葉は決まっている。
「……逃げ出そうと考えておいでなんでしょう?何です、その似合いもしない吟遊詩人の姿は……。まさか、本当にシレジア王位継承を放棄するおつもりなんですか?」
 マーニャの口調は強かった。とてもそんな事をさせないという、強い強い口調だった。
 その口調に負けないようにレヴィンは言い返す。
「もう嫌気が差してきたんだ!
 俺は親父が死にそうでそれが、辛くて仕方が無かった。なのに、周りは王が死にそうだというのに次の王位継承が誰だとか、そんな話ばっかりだ。亡くなりそうなのは父上なのに……!それなのに、俺では子供だから継承に足りないとか、伯父たちが王位を狙っているとかそんな話ばかり聞かされる。
 もう嫌なんだ。こんな争い、もう無駄だろう?いっそ、俺が居なければ良いんじゃないかってまで思ってしまうんだ!」
 レヴィンに襲ってきた状況は、父王の死に悲しむ事ではなく、シレジアを継ぐものは誰なのかとそればかりだった。そこに父王を悲しむ心はないようにしか感じられなかった。これが王位継承なのだ。それに嫌気が差してしまった。
 だが、思いのたけを吐き出したレヴィンは頬を軽く叩かれた。マーニャにぱしんと。
「王位はラーナ様が継がれているのです。問題ありません。貴方が気に病む必要はないのです。本当に気になされるのなら、逃げ出すのではなく、立派な後継者として成長してください。ラーナ様を支える存在になってください」
 マーニャは真剣な視線でレヴィンをじっと見据えた。その表情は真剣そのものだった。
「……レヴィン様はこの国を愛しておいででしょう?それは間違いないと私は信じてきました。それは間違いだったのですか?」
 レヴィンはその言葉に慌てて首を横に振った。
「違う、そうじゃない!俺はシレジアを愛しているんだ。だからこそ、この国を離れる!このままじゃ内戦にだってなりかねないだろう?!」
 レヴィンは必死に訴えた。分かってもらえないかもしれないけれど、精一杯の自分の気持ちだけは伝えたかったのだ。分かって欲しかったのだ。
「……まさか、ご自分さえいなければ内紛は起こらないとでも?」
 マーニャは冷静にそう問い返してきた。マーニャからすればその返答はすでに分かりきったものだったのかもしれないと、レヴィンは今になって気が付いた。
 そう、彼女は先に言ってきたのだ。「逃げ出すつもりなのか」と。
「……その通りさ。それともマーニャは戦争を起こしたいのか?」
「まさか。その逆です。レヴィン様のお考えが甘いのです」
 マーニャははっきりした口調で、言葉を続けた。それはレヴィンに反論をさせないようなはっきりとした言葉だった。
「王位継承をはっきりさせ、他の入る余地が無いようにするのが一番の内乱を収めるものなのです。レヴィン様がしっかりと王位継承者として振舞ってくださる事こそが、この国を支えるもの。お分かりになりませんか?
 いいですか、狙っているのは叔父上方なのですよ。お一人だけではないのです。レヴィン様が戦線離脱をされても内乱が起きるのは避けられません」
 マーニャの言葉には隙が無かった。あまりにもそれが的を射た答えだったからだ。レヴィンもそう言われるとマーニャの言う事が正しいような気になってきた。
 確かに相手が一人ならば逃げ出しても意味があるかもしれない。だが、叔父は二人も居る。どちらかが覇権を狙い争うだろう。それを思うと頭が痛かった。
「……止めていただけますね?」
 マーニャは念を押すようにレヴィンにそう問いかけた。
 その言葉にレヴィンは頷くしか方法が無かった。
 彼女に言われたのが余計にそうさせていた。
 レヴィンにとって、マーニャは幼馴染であるだけでなく、憧れの存在だった。いつも、そのまっすぐな姿に憧れていた。その憧れの人から叱責されたのだ。言う事を聞いてしまうのが本当だろう。
 そして、レヴィンはマーニャに手をとられ、シレジア城へと引き返していった。


 だが、レヴィンはしっかりとした王位継承者として振舞う事がやはり負担であり、自分が王位を継ぐべきなのか分からなくなってきていた。
 王位は次第にどうでもいいものになり、国を愛していた心も薄れてきつつあるように感じた。
 やはり逃げ出そう。
 レヴィンの中でそれは決定されてしまった。
 胸の中にマーニャの言葉が蘇る。
 「私の信じていた事は間違いだったのですか?」と。
 マーニャの心に応えられない自分はふがいなかった。
 母にも会わせる顔が無かった。
 それでも出て行きたい気持ちは抑えられなかった。
 すまない、マーニャ、母上……。
 ……レヴィンは、今度こそ失敗しないように静かにシレジア城を後にしたのだった。


 マーニャに再会したのはシグルド軍救援のために彼女が現れた時だった。シレジアに来るように進める彼女を、レヴィンは遠巻きに見ていた。
 マーニャが話す相手はシグルドであり、自分ではなかった。
 それはまるで、あえて無視しているかのようで、自分に対しては話す価値も無い、そう言われている様だった。
 そう、マーニャが話さないのはレヴィンに対してだけ。フュリーにはいつもと変わらず優しい姉の顔をしていた。
 嫌われているのだ。レヴィンはそう感じていた。
 マーニャがシグルドに話すシレジアの現状は、はっきり言って不安定であり、レヴィンが出て行く前より遥かに状況は悪化したようだった。
 そう、マーニャが言ったとおりだったのだ。
 国を出ても何の解決にもならないという事は。むしろ事態を悪化さえさせてしまったかもしれない。
 いくら強欲深い叔父達でも、まさか女王を狙うだろうとは思ってもみなかった。母は大丈夫なのだと思い込んでいた。だが、それすら怪しいというのだ。それは国が崩壊する内戦への始まりの兆しでもあった。
 レヴィンはマーニャに謝りたいと思うことが沢山あった。
 子供の頃は、いたずらをして謝って、笑って許してくれたけれど、今回はそうもいかないだろう。辛い思いをしてきたのは、マーニャ達なのだ。
 だが、なかなか話しかけるチャンスが見つからなかった。
 マーニャはシグルドを優先しているために彼の傍に居る事が多く、二人だけの時間を作ろうとするのは難しかったし、たまに離れていれば、フュリーの傍に居る。姉妹団欒を邪魔するのも気が引けた。
 そして、そのまま話せない状態が続いてしまったのだった。
 そう、シレジアに戻ってきた今でさえ……彼女は口を開こうとしなかったし、話しかけられないままだった。

「ねえ、お姉さまはレヴィン様と喧嘩でもされているの?」
 不思議そうにフュリーが姉の顔を覗き込みながら聞いてきた。
 それに対して、マーニャは首を横に振って否定する。
「いいえ、別に喧嘩はしてないわ」
「そうなの?でも、お姉さま、レヴィン様とお話しようとされないし、レヴィン様も避けているように見えるんだけど……」
 フュリーは心配そうな顔で姉を気遣った。そんな妹に、マーニャは頭を軽く撫でてやった。
「そうね……。喧嘩に近いことはしてしまったかもしれないわね。だけど、それはそれだから。今は話しにくいだけだけれど、いずれ普通にまた話せるようになると思うわ。レヴィン様も以前とは随分と変わられたようだから」
「そう……、それならば良いのだけれど」
 妹はそれでも不安そうにそう俯いた。やはりどうしても気にかかるのだろう、この不自然な状況は。
 とはいえ、マーニャも話しかけにくい事情があった。
 レヴィンが出て行った気持ちも分からなくは無いし、彼がシグルド公子に出会ったことで随分と変わったのも目に見えて分かった。今なら、彼はシレジアの後継者となれるだろうと感じていた。
 だが、出て行った事実は変わらないし、相談すらされずに黙って出て行かれたことは彼女や女王にとってショックな出来事でもあった。
 苦しいのなら、その話を聞けたかもしれない。力になれたかもしれない。
 だけど、自分達はレヴィンに対して王子としての自覚ばかりを促していたのではないか、そう感じていたから。
 きっと彼を苦しめた一因には自分達もあるのだろう。マーニャはそれを感じていた。だから、どう接していいか分からなかったのだ。
 だけど……本当にいずれ普通に話せるようになるのだろうか。それまでにこの国は安定するのだろうか。
 シレジア四騎士で女王の傍に残っているのはもうマーニャとフュリーしか居なかった。そして、フュリーは今はシグルド公子の元に居る。マーニャは妹が密かに心寄せる相手がシグルド公子の元に居る事を知っていた。だから、彼女を呼び戻す事は出来なかった。
 ……妹には幸せになって欲しかった。好きな男性と結ばれて幸せな家庭を築いて欲しかった。自分の分も幸せになって欲しかった。
 私は騎士として生きると決めたから……。
 だから、次はあるのだろうか。このままシレジアから妹とレヴィンが去ったら次に会えるのだろうか?それまでに内乱が起こらないといえるのだろうか?
「……そうね、ちゃんと会って話してくるわ。それなら心配ないでしょう?」
「良かった……」
 姉のその待ち望んだ言葉に妹は満面の笑みを浮かべた。
 マーニャは思う。やっぱり笑っていて欲しかった。妹にはいつも明るい優しい笑顔で。
 ……そして、あの人にも。

「レヴィン様」
 そう呼び止められて、レヴィンは驚いて振り返った。
 シレジア城の廊下。彼女を探していたつもりで逆に見つけられてしまった。
「……どうされました?おかしな顔をされて」
 余程驚いた顔でもしていたのだろうか、マーニャはおかしそうな顔で、ふふっと笑った。笑われてレヴィンは思わず言い返してしまう。
「おかしな顔はないだろう。昔からマーニャはいつもそうだ、俺を子供扱いして……」
「ふふ、今でもまだ大きな子供じゃありませんか。ラーナ様を困らせてばかりで」
 言い返すものの、すぐに反撃にあう。どうしても頭が上がらない。これは変わらないのだ。
 レヴィンはふてくされてから思う。あれだけ徹底的に無視され続けてきたのに……今度は彼女から声をかけてきてくれた。そして交わす会話はまるで何も無かった日々のようで……。
「……マーニャ、俺は謝らないといけない。俺は……」
「それ以上は言わなくても良いんです、分かってますから」
 マーニャの指がレヴィンの唇に当たる。そうしてレヴィンは言葉を封じられてしまった。まるで子供がされるかのように。背だって自分の方がずっと高くなったのに、その扱いはまるで変わることが無い。
 そう、彼女は変わらない。ずっと変わらないまま……。
 ただ、シレジアを護る為にずっと戦い続けている、あまりにも真っ直ぐで尊い騎士……。
 ……決して手の届かない、光のような存在。
「……マーニャ、俺は君を……」
「レヴィン様、良いのです。私の気持ちは変わりませんから」
 レヴィンが口を開くと、それに重なるようにマーニャは言葉を重ねた。
「……私、貴方が出て行こうとしたときに言いましたよね?その気持ちは変わりません」
 マーニャの言葉にレヴィンは過去の出来事を思い出す。初めて抜け出そうとした時に、彼女に見つかったあの時を……。
 そう彼女は言ったのだ。
『この国を愛していると信じている』と。
「……私、レヴィン様を信じています。その気持ちは変わりません。
 これからも、この先何があったとしても、ずっと……」
 そう言ってマーニャは祈るような瞳でレヴィンの手をとった。手から伝わってくる温もりはあたたかくて優しかった。
「……そう告げたかったんです」
 マーニャはぺこりと頭を下げると、そのまま走り去るようにレヴィンの傍から離れていった。
「……信じている、か」
 レヴィンは先程マーニャが握った手をじっと見つめた。まだ、彼女の温もりが残っているかのようだった。
 ……俺はそんな人間になれるだろうか。マーニャが信じてくれるような人間に。
「……でも、ならないといけないよな。信じてくれている人がいるんだから」
 そう自分に言い聞かせるようにレヴィンは心の中で何度もマーニャの言葉を反芻させたのだった。


 マーニャの訃報はそれから間もない時だった。
 シレジアを護る為に、彼女は空に散った。
 叔父を手にかけてもなお、その怒りはレヴィンに尽きる事は無かった。
 ……争いが起こらなければ良い、ずっとそう思っていた。
 その裏には、レヴィンにとって母とマーニャが安全である事が第一条件だった。
 彼女なら、シレジアの危機に立ち上がるはずなのに……それでも、どこかで大丈夫だと思っていた。
 ……もっと俺がしっかりしていたならこんな事にはならなかったのだ……。
 それはトラウマのようにレヴィンにのしかかってきた。
 ずっと手の届かない光は、本当に届くことなく消えてしまったのだ。
「信じている」という言葉を残して……。


「マーニャ!」
 それから十数年後、レヴィンは彼女の名前を聞いた。その名前に反応して降りてきたのは一匹のペガサスだった。呼んだ相手は最近セリスの軍に入ったというフュリーの娘のフィー。
「そのペガサスはマーニャというのか?」
 レヴィンは思わずフィーに問いかけた。その問いにフィーはにっこりと笑って返す。
「ええ、レヴィン様。私の伯母から名前を貰ったんです。素晴らしい騎士だと聞いていましたから、母と相談して決めたんです」
「……そうか、フュリーか」
 フュリーらしい、そう思った。彼女なら娘のペガサスにマーニャと名づけてもおかしくない。姉の名前は娘を守る守り刀のようなものだろうから。
 そうか、マーニャか……。レヴィンは懐かしさと胸の痛みを同時に覚える。忘れられない記憶。彼女が信じてると告げた言葉は今もなお、レヴィンの胸をしめつけた。まだ、マーニャの思いに応えられない自分自身を思うからだ。
 それは忘れられない、切ない青春の頃の記憶だった。そして、なおもまだレヴィンの心にマーニャは輝いていた。いつまでも輝く光として。
 そして、このマーニャの名を貰ったペガサスもフィーを守っていくのだろう。
 そんなレヴィンにフィーは楽しそうな顔で微笑んだ。
「それにしても、残念でしたねレヴィン様。本当ならマーニャ伯母様と両思いだったのに」
「な、なんなんだ、それは」
 いたずらな子供のような笑顔でからかうように言うフィーに、レヴィンは思わずたじろいだ。
 マーニャと両思いだと?
「あれ、知らなかったんですか?マーニャ伯母様って、ずっとレヴィン様のことがお好きだったんですって」
 フィーは驚いた顔のレヴィンに、きょとんとした顔でそう言った。
 レヴィンはその言葉で、初めてマーニャの言葉に隠されていたもう一つの彼女の思いにやっと気が付いた。
 信じている。あの言葉の裏にはマーニャの自分に対する思いがあったのだ。
 それにしても、こんな事をフィーに吹き込んだのはフュリーだろう。自分が憧れの目でいつもマーニャを見ていたのに気が付いていたのだろうな、と思う。
 分からない。マーニャは騎士として生きる事を選んでいたから、もし生きていたとしても彼女と自分が結ばれたとは限らない。
 それでも……変わらない思いは確かにあるのだ。
『レヴィン様を信じています。この先、何があったとしても、ずっと』
 マーニャの言葉が思い出される。
 そう、変わらない思いはずっと自分の傍にあるのだ。
 ふわり。
 フィーがペガサスのマーニャに乗って舞い上がる。それは、かつてのマーニャの姿を思いおこさせた。
 ……そう、フォルセティの力を借りて生きているのには理由があるのだ。
 そして、いつか、いつかシレジアを復興させるのだ。
 今度こそ、今度こそ、マーニャの思いに応えられるように。
 レヴィンは飛び去るペガサスを眺めながら、新たに胸に誓った。
 マーニャという輝く存在が信じてくれる、そんな人間へとなれるようにと。



 終。


念願のレヴィンvマーニャでした〜vレヴィマーニャ、大好きなんですよ〜vマーニャが仲間に入っていたら絶対くっつけてたと思いますもの。あんまりにも好きすぎて、レヴィン独身にもしてしまった事が(笑)。そのくらい思い入れあります、レヴィマーニャ。
この二人の良い所というかドリーマーになれるところは双方向片思いのプラトニックラブな所でしょうか。綺麗過ぎるがゆえにはかなく美しいというか……。
とはいえ、この二人ですので当然、結末は悲劇となる訳なのですが……。
マイナーカップリングですが、大好きです〜vなかなか二時創作を見つけられないのが残念でもあるんですけどね〜。

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