本当にあった恐怖体験の館

ここでは、私が聞いた「怖い」話を紹介します。

お祓いなどしていないので、霊感体質の方は御遠慮下さい。

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第1話 母の影

これはもう随分昔の話です。私の小学生から高校生くらいまでの頃ですね。近所にとても仲良くしてもらっている二人の姉妹がいました。私たちよりずっと年上で、それはとてもよく面倒などみてくれて、家に遊びに行くとおやつを作ってくれたり、お風呂を使わせてくれたりと本当に世話になったものです。上のお姉さんはM子ちゃん、妹はY子ちゃんといいました。

で、その彼女らのお母さんが癌になってしまったのです。本人はずっと隠していたらしく、既に手遅れの状態でした。そして、ついにある晩、入院先の病院からM子ちゃんたちに連絡がきました。いよいよ危篤ということでした。

M子ちゃんたちは急いでタクシーを呼び乗り込みました。車中での不安はつのるばかりです。ふと、M子ちゃんは助手席に何か見えたと思いました。よく見ると、それはまぎれもなく母の姿でした。そのうちにタクシーは病院に到着しました。しかし、時既に遅くお母さんは亡くなっていたのです。それはちょうど、M子ちゃんが車中で姿を見た時間だったということです。

死ぬ間際に間に合わなかった娘達に一目会いたかったのではないのかと、その話を聞いて私は思いました。しばらくして、M子ちゃんたちは引っ越してしまい、今はもうただの思い出のひとつにあるだけです。

第2話 海から…

A君から聞いた話。

A君の友だちのK君が仲間同士で海に遊びに行った時のことです。K君たちは海の中で泳いだりはしゃいだりしていました。しばらくしてそろそろ上がろうと、みんな岸にむかって戻っていきました。

K君は最後にいて、岸の方へ泳いでいこうとしたその時、何かが足をつかんだのです。K君は引っ張られて水に潜ってしまいました。最初は足がつったのだと思ったそうです。K君は必死に水を掻いて浮き上がろうとしました。でも、やはり何かが足をぎゅっとつかんで離れないのです。K君は足の方を見ました。

そこには白い手が2本、彼の両足をつかんでいました。

K君の様子が変なことに気付いた仲間が助けにきました。K君はようやく引き上げられ、命拾いをしたということです。

第3話 あの世からの誘い

妹の友人Sさんの話。

Sさんが盲腸で入院した時のことです。ある晩、そばにはお母さんが付き添っていました。ふと夜中に目が覚めたお母さんは部屋の隅の洗面台に誰かが立っているのに気がつきました。それは髪が肩まである幼い少女のようでした。

気のせいかと思い、目をそらしてもう一度見ても、まだ少女はそこにいました。少女の顔は洗面台の灯りに照らされてはっきりと見えたというのです。

その頃Sさんはある夢を見ていました。幼い少女が自分の病室にいて、外へ外へと招くのです。Sさんは少女の招く方へと歩いていきました。しかし少女が病院の玄関から外へ出てそこから呼んでいるのを見て、Sさんはふと「病院の外に出てはいけない」と考え、そこから引き返したそうです。

翌朝、その夢のことをお母さんに話したSさんは、お母さんからその同じ少女らしき人物を目撃したことを聞き、怖くなりました。もしも、あの時少女に招かれて病院の外に出ていたら…。

SさんもSさんのお母さんも霊感体質だということで、この話はその中でも最も怖い話のひとつであるとの妹の談。

第4話 通院

これはつい最近の話です。うちの喫茶店でパートに来ているYさんが、夜だけバイトにいっている近所の接骨院の先生が体験した話を聞かせてくれました。

その接骨院にUさんというおばあさんが通院していました。ある時、Uさんは倒れて危篤状態に陥りました。Uさんはうわ言で「接骨院にいかないと…」と言い続けていたそうです。

翌朝、接骨院の先生が朝の準備をしていてふと窓から外を見ると、階段のところにUさんが座っているのが見えました。そんなところに待たせてはいけないと思い、あわてて戸を開けて、「Uさん、どうぞ中にはいって…」と声をかけようとしたのですが、そこにUさんの姿はありませんでした。

そのあとで、先生はUさんが前日に亡くなっていたことを知ったのだそうです。

第5話 部屋の中に…

これもまたSさんの話。

Sさんも同人誌をやってる人で、ある夜せっせと原稿描きに専念していました。勿論部屋でひとりでいたのですが、なんだか部屋の中に誰かがはいってきたような気配がしました。でも、そんなはずもなく、Sさんは構わず原稿に向かっていました。

しかし、また誰かがはいってきたような気配がします。それも、ひとりではなく、次から次へとどんどんはいってくるのです。しまいには部屋いっぱいにぎゅうぎゅう詰めのようになり、Sさんは息苦しくなってしまいました。狭い空間に大勢が閉じ込められたような、ひどい酸欠状態に近いものでした。

と、そこへお母さんが戸を開けて入ってきました。お母さんはSさんの顔を見てびっくりしました。「どうしたの、その顔!?」

それほどにSさんの顔がすごい形相になっていたというのです。幸い、そのときには部屋いっぱいの人の気配は消えていました。

その人の気配は一体何だったのかは不明ですが、霊体験に慣れているはずのSさんにもそれはものすごく恐ろしい体験だったそうです。

第6話 血を噴く死体

長年の私の友人である霊感体質のKさんの話。Kさんの70を過ぎたという伯母さんが体験したということですが…。

今から40年ほど昔のこと、伯母さんの夫はある政治家の優秀な秘書でした。人当たりのいい、おとなしい性格だったということですが、これがまたありがちな話というか、その政治家が汚職をしてその責任を彼にかぶせてしまったのです。おとなしい性格の彼は妻子を置いて一人で日本中を逃げ回ったそうです。そしてついには伊豆の沖で身投げしてしまいました。

乗っていた船の中に遺書があり、数日してから浜に遺体が打ち上げられたとのことで、伯母さんは現地に急行しました。遺体は既に地中に埋められており、伯母さんが到着してから掘り返されることになりました。次第に夫の体が見え始め、対面しようと穴を覗き込んだその時。

夫が口から血潮を噴いた、というのです。もちろんのこと、死体なのに…。

その後、続々と現地入りした親戚がそれぞれ顔を見せるたび、死体は血を噴いたそうです。伯母さんいわく、「肉身の顔を見るとねえ、喜んで血潮噴くんだよ」とのことだそうですが、なんとも哀れな話です。Kさん自身も語られていましたが、切なくやりきれない想いがします。

第7話 真夜中の原稿

これはずっと前の私自身の体験ですが…。

その頃、私はT書房というところでマンガを描いていました。そこで出していた雑誌「恐怖体験コミック」というので、いわゆる読者の体験談をマンガにする、というもの。それで担当さんから編集部に届いた手紙のコピーをもらい、それをマンガにするという仕事をしていました。

手紙を読むとまあよくある、幽霊を見た、といったような内容が簡単に書かれていて、具体的な状況とかはそれほど書いてないのでこちらで考えるしかないのですね。演出なんかも脚色しなきゃならない。もちろん怖くしなければいけないだろう、ってことで私なりにがんばって怖くしよう怖くしようと考えつつ描いておりました。

人が寝静まった真夜中、ひとり部屋の中で怖い原稿を怖くしようと思いながら描いている・・・そんな風に考えているうちに、さすがの私もなんだかだんだん自分で怖くなってしまいました。

まあ、それほど時間がない訳じゃないし、もう寝よう・・・と私は床の上に下書の原稿を置いたまま布団に入ってしまいました。

翌朝、さあ、と原稿を見ると・・・

ぎゃあああああああ〜〜、、原稿の上に猫のゲロがぁぁ〜!!!

これはひょっとして怖い仕事に関わった故の祟りなのか、それとも猫の呪いか…?いや、当の本にゃんは気持ち良さそうに寝ておりましたから、猫の呪いではないでしょう。それにしても、むごか〜。

で、その原稿はどうしたかというと…さすがに捨てましたよ。下書だけでまだよかったよ(;_;)

第8話 予兆

これは「怖い」というのとは少し違うのかもしれませんが、やはり人間の命の不思議さを感じる話ということで。

うちは母が喫茶店を経営しているのですが、常連のお客さんで「としちゃん」という90過ぎのおじいさんがいました。コーヒーが大好きでよくモーニングサービスの時間に来てはその朝のひとときを楽しみにしているようでした。

そんなとしちゃんもさすがに今年は体のことを家族が気遣って、あまり出歩けなくなり店にもあまり来なくなっていました。

すると、突然の訃報。「えっ、あの元気なとしちゃんが!?」と、ほとんど店には行かない私でさえ驚いてしまいました。私もほんのたまに店の手伝いに行ったりすると、としちゃんには会うことがあったので「あのおじいさんがねえ…」と思いました。

さすがに高齢なので天寿というものかもしれませんが、その直前の話というのが…。

としちゃんがいつも行く訳でもない近所のお寺さんへ出向き、和尚さんに「もうすぐ世話になるでよろしく頼む」というようなことを言うと、その翌日入院してしまったのです。それからついに10日後、手の平に「もうおしまい」と字を書いて家族の目の前で息を引き取ったということです。

人はその最期を迎えるにあたって、いつ頃からそれと分かるのでしょうか。普段の体の不調とは違う、死を予感させる何かを感じ取るのでしょうか。そしてもしそれができることだとしたら、果たして自分はその旅立ちの日までどうするのか…。改めて人生の終わりと言うものを考えさせられた話でした。

第9話 ぶどう子

これもうちの店のパートのYさんが話してくれた話。

Yさんは九州・宮崎県の出身。昔、聞いた怪しいうわさ話の一つです。

昔、胞状奇胎(ほうじょうきたい)のことを葡萄状鬼胎と称しましたが、一般には「ぶどう子」と呼ばれていました。胎盤の一部組織が異常増殖してぶどう状嚢胞になり胎児が死亡して流産になるというもので、近親相姦の多かった昔は割にあったそうです。

で、当然、それは胎児の形をとっているわけではないのですが…。

産婆さんがそのぶどう子に乳を注いでやった。すると無数の小さな口が一斉にピチャピチャと音を立ててその乳を舐め始めた……

というのです。想像するだけでちょっとぞっとする光景ですよね。

第10話 駆けてくる足音

これはにきジュンいちさんが寄せて下さった体験談です。以下の文面は改行以外そのまま掲載しました。

ボクは小学生でした。 幼稚園にあがるかあがらないかの妹、そして母と3人で買い物をした帰りです。 バスは丘の上の遊園地に停車します。 ボクら3人は、バスを降りて山道を下り15分ほど歩いて 当時住んでいた借家へ帰るのです。

その日は雨が降っていました。しっとりと静かな雨の中を 親子3人は傘をさして歩きました。 山道は二通りありました。 一方は山を削り創った道で、地元の人しか使わないような 急で暗く、通称「お宮さんの方」と言っていました。坂を下った先に お宮さんがあって、大きな鳥居が立っていたのです。 もう一方は比較的明るく、坂も短めで「鹿さんの方」と 呼んでいました。神社の横を通る道で、そこには鹿が養われており、 この鹿を眺めながら下っていくのです。 我が家ヘ帰るには幾分遠回りの道でした。 雨の日は道の悪い「お宮さんの方」よりも、「鹿さんの方」を 選ぶのが無難です。

しかし、ボクは・・・つまり男の子は 冒険心も手伝い暗く急な「お宮さんの方」を行く事にしました。 母と妹は、「鹿さんの方」を選びました。 「じゃあね」といってお互い別れ、ボクは傘をさし、 ひとり歩き出しました。家に着くのはボクの方が先です。 静かな雨でした。 今外を歩いているのはボクたち親子しかいません。

すると後ろから長靴を穿いて駆けてくる足音が聴こえてきます。 こちらに近付いてくるのです。 「はは〜ん、妹が追いかけてきたな?」とボクは思い、 少し心強い物を感じました。 ドッタ、ドッタ、ドッタ、ドッタ、ドッタ、ドッタ、・・・ ドッタ!! ボクのすぐ後ろでその足音は立ち止まりました。 ボクは、妹にいっしょに帰ろうと言うつもりで笑顔で振り向きました。

しかし振り向いた瞬間、全身に電気が走り、心臓がズッキーンとしました・・・ 誰もいないのです。 全身の毛穴が開いてました。怖いとは思わなかったと思います。 ただ、ただ、驚きました。今さら母と妹の後を追い掛けるわけにもいかず、 そのまま「お宮さんの方」の道を歩いて帰りました。

第11話 白い人

これは先日、6月の初めの時の話、しかも私の妹の体験談です。

ある晩の夕食の時、たまたまその日一緒にいた姪っ子(8才)にいつものごとく「怖い話をしてあげようか〜」などと脅かしていると、妹が何か言いたげにしていたのですが、姪が怖がるので「まあ、2,3日したら分かると思う」とその日は謎の言葉ではぐらかされてしまいました。

それから2,3日経ったある日、近所に住むJさんという人が家から救急車で運ばれ入院してしまいました。その日、妹は「やっぱりあれは・・・」と先日のことを話してくれました。

当日、妹が自営の喫茶店の午後の手伝いに帰る途中、Jさんの作っている畑のそばを通ったのです。妹は自転車に乗っていて風に飛ばされないように帽子を目深にかぶっていたため、そこを通った時にはじめて人の存在に気が付きました。そこにはJさんの旦那さんが畑の方を向いてたばこを吸っているところを妹はよく見かけているので、初め旦那さんかと思ったそうです。

ですが、その人は畑の方ではなく道の方を向いて立っていたそうです。しかし帽子のせいでその顔は見えず腰から下しか見えなかったのですが、不自然に足先まで真っ白だったというのです。それがどんなものを着ていたのかもよく分からなかったのですが、異様な白さだったと妹は言うのです。ズボンの裾は絞った感じに見えたとも言います。とにかく全部白かったと言い、なぜだか訳も無く怖いものを見た気がして、振り返ってはいけないと感じ、そのまま自転車を走らせたそうです。

妹がその話をしてから、間もなくしてJさんは亡くなりました。

第12話 白い花

これも先日妹が体験した話です。

妹は家から自転車で5分とかからない距離にあるうちの喫茶店に手伝いに行ってるのですが、いつも通る近所の家の前を通ったところあれ?と気付いたことがあったそうです。

その家の前庭には白い壁の前にプランターが置いてあり、そこには沢山色とりどりの花がいつも植えてあったのですが、ある日何げに見たらそれが全て真っ白な花になっていたというのです。それで妹は、どうしてあんな色みのない見映えしない花に植えかえてしまったのだろうと思ったそうです。

それから間もなくしてその家で葬式があったのです・・・

その葬式が午前中で終わった後、妹はまたその前を通りました。すると、あのプランターの花はすっかり前のままの状態であったというのです。勿論植えかえた様子はなかったといいます。

なぜ花が全部真っ白に見えたのか、原因は謎です。

第13話 コール

この話は掲示板に書き込んで下さった池田さんの話を転載しました。

秋田さんこんばんは。先日ちょいと恐い体験をしたんでお知らせします。

ここしばらく仕事が忙しくて残業続きだったんですが、この日も遅くなって12時近くまで一人事務所に残ってた時のことです。
突然電話とFAXが同時に鳴り出して、なんだなんだと思ってたら、電話はとる前に切れて、FAXからもなにも出てきません。しばらくすると今度は僕の携帯がワンコール鳴って切れました。誰からだろうと思って着信番号を見た瞬間思わず鳥肌が!その番号は、なんと僕がいる事務所の番号だったのです。事務所といっても2階建ての小さな出張所のようなもので、僕以外には間違いなく誰も居ません。

なんじゃこりゃあってことで冷えまくって、気晴らしにインターネット繋げたところ、これが裏目に出ました。僕は何を血迷ったか、秋田さんとこの「本当にあった恐怖体験」を読んでしまったんです。さらに追い打ちをかけられた僕は電気を全部付けっぱなしにして、忍者のように背後に気を配りながら事務所を後にしました。あの電話はなんだったのかなあ。いやあ、ホント恐かったす。

と、いうことなのですが、ここのコーナーに繋げてしまったというのも偶然じゃなかったりして・・・

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