沖の島のサンゴ
館山市にある城山公園の館山城跡から見渡せる湾のいたるところにサンゴがあり、サンゴ礁を造っているなんてみなさんは信じられますか?
そして、そのサンゴ礁のまわりには、黒潮によってはこばれてきた赤・黄・青など色とりどりの小魚も生息しています。
館山海上自衛隊基地から、海岸沿いの道路を15分ほど歩いたところに「沖の島」があります。もともと島ではあったのですが、今では砂州が伸びて陸地とつながっています。この島のまわりの岩礁のいたるところに、いろいろな種類のサンゴがあって、なかにはサンゴ礁となっているものもあるのです。
沖の島はサンゴの北限として知られています。しかもみなさんでも水中めがねさえあれば見られるような浅いところに生息しています。ミドリイシ科・ハマサンゴ科・キクメイシ科など、主に造礁サンゴを中心に、大小様々なサンゴを見ることができます。この周辺には、25種類、272個体のサンゴがあることがわかっているそうです。
サンゴは水温の高いきれいな海水のもとでないと、生きていけません。その点、いくら温暖とは言っても、冬場には摂氏0℃を下回ることがある地域にサンゴが生息するのは大変不思議なことです。黒潮が大きく関係しているようですね。また、生活排水が流れ込んでいるようなところは、たとえ館山であってもサンゴは定着しないのだそうです。
サンゴ礁は館山周辺だけでなく、もう少し北の、鋸南町のあたりまで見ることができます。鋸南町の勝山地区の海には、20畳ほどの広さに育った、大きな「エダミドリイシサンゴ」という造礁サンゴがあります。
参考文献:近藤精造監修「千葉の自然をたずねて」築地書館