房州石(ぼうしゅういし)
房州石は、正確には富津市から鋸南町にかけて採掘されていたいくつかの石材、「元名石」(鋸南町元名)、「金谷石」(富津市金谷)、「天神山石」(富津市海良他)、「高宕石」(富津市高宕山)などの総称です。いずれ材質は多少異なっており、最も質の良いものが、鋸山で採掘されていた金谷石です。
これらの石材の採掘は明治末〜大正時代が最盛期で、戦後、急速に衰えており、最後まで残っていた金谷石の採掘も昭和61年3月で終わりを告げています。やわらかく、加工がしやすい点が長所だったのですが、逆にそのもろさが災いし、大谷石やコンクリートなどに取ってかわられてしまったようです。
房州石の特徴
房州石(金谷石)は、「竹岡凝灰岩層」と呼ばれている地層から切り出されたもので、次のような特徴を持っています。
○ほとんど火山噴出物からできている
大粒(直径数mm〜2cm程度)の軽石、スコリア(玄武岩質の軽石)などからなる。
○斜交層理が発達している
火山噴出物が直接海底に降り積もったものではなく、いったん海底にたまったものが水流で流されて二次的に堆積した。
大粒軽石、スコリアの白、黒、ピンクのモザイク模様の中に、水流による白いすじが入った外観は、たの装飾用石材にはない独特のデザインであり、一見してそれとわかるものです。
引用
千葉県中央博物館 「夏休み親子の体験教室 海岸で石ころをひろおう」2003.8.2