超音波療法
●痛みには血液やリンパ液の滞り、冷えによるもの、筋繊維が切れて痛む場合とさまざまですが、このような時に用いられる物理療法の一つに、超音波療法があります。超音波が筋肉痛や関節炎の治療に利用される最大の理由は、痛みを取り去る作用が顕著で、即効性に優れているからです。痛みのある場所に、超音波の振動で動きを与えてやると、振動によって細胞が生き返ってくることで、張っている筋肉が緩み、痛みが軽減します。痛みを取りながらマイクロマッサージをするのが大きな特徴です。
1
血管拡張とリンパ流の加速が生じます。
2 老廃物や浸出物の吸収を促進させます。
3 鎮静・鎮痛効果
4
温熱効果と機械的ミクロマッサージ効果・作用により、拘縮、筋線維症などで収縮した組織を伸張させます。
5
非細菌性の炎症反応を抑制し、また代謝活動を賦活します。
超音波の生理的な作用は、温熱的効果と非熱効果(機械的効果)に分けられます。
温熱効果としては、
1 組織の伸展性を高める。
2 血流の改善を行い循環不全による疼痛緩和を行う。
3
筋紡錘の緊張をなくし筋スパズムの改善を行う。
4 骨格筋の収縮機能を改善する
などか挙げられます。
一方、機械的効果としては、
1 微細振動による細胞膜の透過性や活性度を改善させ、炎症の治癒を高める。
2
細胞間隙の組織液の運動を活発にして浮腫を軽減させる。
という効果があります。
●文献
超音波療法は温熱および非温熱効果(音圧効果)を伴う理学療法の一種で、血流やコラーゲン線維組織の進展性を増加させる。医科領域では1930年代から超音波の治療への応用が始まった。主として筋ならびに関節組織の障害に対して適用し、疼痛緩和と関節部可動化の獲得を目的とする。治療に使用する周波数は1MHzあるいは3MHzの2種類が主流となっている。超音波療法の特徴の一つとして、ホットパックや遠赤外線などのように伝導加温ではなく、熱転換によって目的とする組織に作用を及ぼすことである。つまり伝導加温では、与えられた温熱エネルギーはほとんど皮膚表層にて吸収され、表層下に存在する内部組織にまで達しないが、熱転換では深部にまでその作用が及び、効果的に電気エネルギーを到達させることが可能になる。
欧米では、顎機能異常に対して超音波治療の効果に関して経験的に認められている。最近、我が国においても顎機能異常患者に対して有用性が報告されつつある。しかしながら、超音波治療の症例選択基準、治療スケジュールならびにその効果等など詳細についてはこれからの科学的研究報告が待たれる。