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このページは
「フェルメールの絵」から
始めることにしましょう
ルーブル美術館の小さな部屋に
展示されていて
絵の小さいことでも有名です

階段を少し降りると
小さいけれど特別な空気感が漂う部屋

私が訪れた際には
すぐ右側の壁にありました

「小さい~」
初めて見る人は必ずこう言います

1669年-1670年頃の作品
油彩 23.9㎝X20。5㎝
現存する作品のなかで最小

「レースを織る女」
オランダの風俗画家 
ヨハネス・フェルメール




絵の右上から採光を感じて下さい
この時代の絵画では
「光と影」を表現する事が珍しく
フェルメールの画風を見た
ルノアールが
絶賛したと言われています

レースも最初は
「影の時代」と言われ
とにかく埋めつくすという織り方で
空間がありませんでした

フランスに入ってから少しずつ
隙間を作る技法が生まれました
18世紀になると
この絵のような「光と影」を
表現するようになり
「レース」らしい雰囲気になります

私たちのレース作りやデザインも
「光」はどこから入れる?とか
模様の影になっているモチーフを
決めるとか
平たい1枚のレースを作るのではなく
立体感や重なりや
それらからくる動きを糸で表現します

これがとても楽しいのです



(3)



世界で最も古いレース
「ポワン・クッペ」と呼ばれています

16世紀にヴェネチアで生まれました
このような形を何枚も作り
パッチワークのように繋ぎます
そして大きな1枚のレースにします

周りはブレードと呼ばれる
細長いレースで仕上げます

但し
このレースは現在のように
何もない空間からうまれるものではなく
「布」が土台となっています
縦と横の糸を残しておいて
碁盤の目のようにし
その間の不要な部分は糸を抜いて
空間にします

残した碁盤の目の糸に
斜めや曲線を加えてから
かがる方法で模様にします

実際に作業を見ないとわかりにくいですが

さて
このレースにもデザイン画があります
このデザイン画から少し
想像出来るかも知れません

ニードル・ポイント・レースを
学んでいる方はより一層
身近に感じて頂けるかも知れませんね

ポワン・クッペの
デザイン画




(2)

学術的にレースとは
ボビンレースと
ニードルポイントレースの
二つだけです

そのうちの
ニードルポイントレース
(以後ニードルと表記)
についてお話します

写真はニードルの
「ポワン・ド・ローズ」というお花です
似た名前のレースで
「ポワン・ド・ガーズ」という
お花があります

見た目は
ほとんど変わらないのですが
ローズのほうは
中心の花弁が何枚も
重なっているのが特徴で
ガーズは花弁がシングルで
一枚仕立てなのです

今回はダブル花弁のローズです
糸は麻糸ですが
今のエジプト綿の番手を参考にすると
#200番位かと想像します




1900年始め ベルギーで制作
サイズは横4㎝ 縦2・5㎝


(1)


マリーンレース
ベルギーにメヘレンと言う小さな
美しい町があります
フランス語ではマリーンと言います

そこで作られたマリーンレースは
世界で一番細い糸で織られ
マリア・テレジア皇女のドレスで
有名です

マリアテレジア皇女は
マリー・アントワネットの母です

このレースは他のタイプの
レースと違い
織り方に特徴があります

模様と模様の間の空間を埋める
「ネット」も
一定の決まりがなくそれが
とても楽しいです