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2012/05/01(火)
自民党の日本国憲法改正草案に関する感想。今日は、国旗・国歌と元号について。
改正草案では第三条で
国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
第四条で
元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。
としている。
まず気になったのは、国旗と国歌を憲法で制定できるのか、制定すべきものかという点。
現状、国旗・国歌に関する法律があるのだから、わざわざ憲法に書かなくてもいいのではないか、というのと、日章旗(日の丸)・君が代を憲法で制定してそれを尊重しろというのは思想の自由の侵害になるのではないか、というのが気になる。
その一方で、国旗・国歌を憲法で制定するのにも意味がある。現憲法第九十九条には
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
とあるので、国旗・国歌が憲法で制定されれば、公務員は基本的にそれを守らなくてはならないことになる。まぁ、左翼教師にとっては一種の思想弾圧になるわけだ。
これを思想弾圧と見るかどうか。常識的に考えれば、国旗・国歌を軽んじる公務員はおかしいわけだが。
とはいえ、そういう公務員のために、国旗と国歌を憲法で制定するというのはいかがなものか。裁判による判例法で決めても良さそうなものだが。
国旗と国歌を憲法で制定しなくてはいけないほどの判例が出たんだろうか。この辺、詳しくない。
日の丸については、第二次世界大戦以前から使われているもののようだし、第二次世界大戦を理由に廃止するのはナンセンス。
君が代については一考の余地があるが、天皇制が国民に支持されるのであれば、君が代を国歌にしても何ら問題はないはず。
やっぱり一度は天皇制の是非を国民に問うたほうがいいような気がするが、実際やったらどうなるんだろうな。案外、廃止になったりして。
ところで、改正草案では第九十九条は以下のように改正している。
全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」。一見まともな言い方に見えるが、これも思想の自由の侵害になりそうな条文であるし、憲法と現実に齟齬が出来たらどうするんだろうか。憲法に現実を合わせろとでもいうんだろうか。なんとも変な条文である。
元号についても天皇制と関連があるので、天皇制が国民に支持されるのであれば、憲法でわざわざ触れる必要はないはず。というか、何で憲法で触れるんだろうな。元号法の拠り所を強化したいだけなんだろうか。
国旗・国歌と元号について憲法で触れるべきなのは、「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする」だけか。もっとも、これを憲法に組み込むには天皇制に対する日本国民の総意とやらをはっきりさせないといけないが。
国歌についてはネットでいろいろと調べてみた。新しい国歌を作る試みもあったようだが、失敗に終わったらしい。
新しい国歌として作られたもので有名なのは日本教職員組合が作った「緑の山河」と、サントリーの前身の壽屋が「われら愛す」らしい。
両方ともYoutubeで聞いたのだが、正直、君が代のほうがましだと思った。曲と歌詞が微妙すぎる…。
現状、新しい国歌を作るのはとても難しいことなのかもしれない。
明日は、憲法第9条について書いてみる。
2012/05/02(水)
自民党の日本国憲法改正草案に関する感想。今日は、憲法第9条について。
改正草案では憲法第9条の一を
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
としている。
この条文にはいろいろと問題がありそうな、と思っていろいろ調べたりしていたのだが、そのうちこの条文の言わんとするところが分かってきた。
ようは、第1項がどういう解釈をされようとも、自衛権は発動できる、そういう趣旨らしい。自衛権が発動できれば、現憲法では行使できない集団的自衛権も行使できる。
こんな憲法の論理はありなんだろうか。
ちなみに、第二次世界大戦でお仲間だったドイツとイタリアはどのように戦争を規定しているかというと、ドイツの場合は
Article 26 [Ban on War]
(1) Acts with the potential to and undertaken with intent to disturb
the peaceful relations between nations, especially to prepare war or aggression,
are unconstitutional. They have to be made a criminal offence.
(2) Weapons designed for warfare may not be manufactured, transported,
or marketed except with the permission of the Government. Details are regulated
by a federal statute.
第26条 戦争行為における禁止事項
(1)諸国間の平和的関係を妨害するような可能性のある行為、または諸国間の平和的関係を妨害する意図でなされた行為、特に戦争もしくは侵略の準備は、違憲である。これらの行為は刑事犯にされなくてはならない。
(2)軍事用に設計された武器は、政府に許可されたものを除いては、製造、輸送、取引してはならない。詳細は、連邦法で定める。
イタリアの場合は
Article 11 [Repudiation of War]
Italy repudiates war as an instrument offending the liberty of the peoples
and as a means for settling international disputes; it agrees to limitations
of sovereignty where they are necessary to allow for a legal system of
peace and justice between nations, provided the principle of reciprocity
is guaranteed; it promotes and encourages international organizations furthering
such ends.
第11条 戦争行為の否認
イタリアは、人々の自由を侵害する手段としての戦争及び国際紛争を解決する手段としての戦争を認めない。相互主義が保障されている国家間における平和と正義を維持する法的体制のために必要ならば、主権を制限することにも同意する。この同意は、同様の目的を持つ国際組織を促進し支援する。
となっている。イタリアの第11条は憲法第9条に近いが、放棄(renounce)ではなく、否認(repudiate)としている。
侵略戦争を否定するのにもいろいろな書き方があるのは興味深い。また、両国とも自衛権や武力による威嚇及び武力の行使には触れてはいないのも興味深い。
改正草案の憲法第9条の一にはなんだか釈然としないものを感じるのだが、まぁ、論理的には問題ないか…。
改正草案の憲法第9条の二は無駄に長いような気がする。
日本国は、国家の平和と独立、及び安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保有する。国防軍に関する事項、及びその運用については、法律で定める。
軍事裁判を行うため、国防軍に裁判所を設ける。詳細は、法律で定める。
これで、事足りると思うが。
改正草案の憲法第9条の三は憲法に書く必要があるんだろうか、といった感じ。国家(政府)が領土の保全に全力を尽くすのは当たり前のこと。こんなことを憲法に書くということは、国家(政府)は領土の保全をしていない、あるいは怠けている、ということを意味するんだが。
領土の保全を国民の義務にするのであれば、憲法に書く意味はあるのだが、改正草案の条文はそんな文章ではないし。
改正草案を精読してはいないのだが、全体的に、憲法(constitution)と法律(law)・規則(rule)がごちゃまぜになっている印象を受ける。
こんなんで憲法改正して大丈夫なんだろうか。
改正草案の憲法第9条の一については、思うところがあっていろいろと書いていたのだが、そのロジックに気づいて、ボツになってしまった。
「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」。この項を付け加えるだけで、集団的自衛権が行使できるようになるのは、戦後の憲法第9条に関する議論とはいったい何だったのだろう、という気になる。。
すごいロジックがあったものだ。いったい誰が考えついたのだろう。
憲法第9条の一については「武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない」という文言も気になるところではある。
国連から武力行使を伴いそうなPKO活動の要請をされても、無視するということか。また、湾岸戦争のようなことが起こっても、大金を払って国際社会から総スカンを食らうということか。
そんなんで、日本の国際的立場は大丈夫なんだろうか。頼みの綱である経済力も落ち目だというのに…。
まだ、改正草案については思うところがあるので続く。
2012/05/04(金)
数年ぶりにCDからmp3を作ってみたのだが、思っていた以上に手軽に作れて唖然とした。いまじゃ、Windows Media Player(WMP)で簡単に作成できるんだなぁ。
昔(2000年ごろ)は、「午後のこ~だ」の使い方をネットで調べて試行錯誤したもんだが。「午後のこ~だ」が配布停止になっていたときがあって拾ってくるのにも一苦労したような記憶が。
時代は変わったなー…。
こんな簡単にmp3が作れるのでは、CDが売れないのは当然じゃないか、という気がする。CDが売れないのは本当に違法ダウンロードのせいなんだろうか…。
違法ダウンするよりも、レンタルCDからmp3を作ったほうが時間がかからない気がするんだが(CDをレンタルしてくるのが面倒ということはあるが)。
WMPよりも高音質のmp3を作るとなると、LAME3.98.2とExact Audio Copy(EAC)が必要らしい。
WMPで作ったmp3を聞いてもそんなに悪くないと思うんだが、ちょっと気になる。
音の違いは耳で聞いても分からないとは思うんだが、サンプリングの波形を見るとけっこう違ったりする。
日本国憲法改正草案について。
国旗と国歌を憲法で定めている国があるというのをネットで見かけた。フランス・ドイツ・イタリア。
フランスでは
Article 2 [State Form and Symbols]
(1) The language of the Republic is French.
(2) The national emblem is the blue, white, and red tricolor flag.
(3) The national anthem is the "Marseillaise".
(4) The Motto of the Republic is "Liberty, Equality, Fraternity".
(5) Its principle is government of the people, by the people, and for
the people.
ドイツでは
Article 22 [Capital, Federal Flag]
(1) The capital of the Federal Republic of Germany is Berlin. The representation
of the whole state in the capital is a task of the federation. Details
are regulated by federal statute.
(2) The federal flag is black, red, and gold.
イタリアでは
Article 12 [Flag]
The flag of the republic is the italian tricolor: green, white, and red,
in three vertical bands of equal dimensions
となっている。
ということで、国旗と国歌を憲法で決めても問題はないのだが、「国旗は日章旗とし」といった定義で大丈夫なのか、というのはちょっと気になる。この表記の仕方だと、日章旗の定義は法律のほうで定めることになる。
白旗の中心に赤丸、ぐらいは憲法のほうに書いておいたほうがいいような気がするんだが。
各国の憲法を眺めてみると、いろいろと興味深い。
2012/05/05(土)
ソーシャルゲームのガチャ商法に規制がかかることになったのだが、規制のかけかたがコンプガチャが景品表示法に引っかかると微妙なもの。
本来なら風営法でガチガチに締め上げてもいいところなのだが、この辺はいったいどういう思惑が働いているのだろう。
やまもといちろうブログ:消費者庁がコンプガチャ禁止へ、GREE田中社長は暖かくして寝る(補足あり)
を読むと、第三者機関を使った認証サーバーを使うことでガチャ商法を手打ちにしようという話があったようだが。
ガチャ商法の問題はその仕組みよりも、確率操作の疑惑やサービスの対価が割高、パチンコやスロットど同様の中毒性があるにもかかわらず未成年でもできてしまう、そういったところのほうが問題なので、この辺が解決できれば、パチンコやスロットのように生き残れるはず。
第三者機関、ようは警察の天下り先に確率を任せておいて、未成年に対する制限を設ければ、それでだいたいの問題は解決するし、そういう方向に落ち着かせたい、そんなところなのかもしれない。
まぁ、ガチャ商法の問題が片付いたからといって、ソーシャルゲームに先があるかどうかまでは分からないが。
ガチャ商法の問題よりも、デフレや少子化、ゲーム文化の発達による新しいアイデアの枯渇やユーザーのゲームに対する飽き、といったもののほうが深刻のような気がするが。
この辺はゲームだけでなく娯楽産業全般にいえることかもしれない。
2012/05/06(日)
第62回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第5局 鈴木大介八段対千葉幸生六段。
先手:千葉幸生六段、後手:鈴木大介八段。
棋譜
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二銀
▲5六歩 △7一玉 ▲5八金右 △3二銀 ▲5七銀 △5二金左 ▲7七角 △6四歩 ▲8八玉 △7四歩
▲6六歩 △7三桂 ▲9八香 △9四歩 ▲9九玉 △4三銀 ▲8八銀 △8四歩 ▲2五歩 △3三角
▲6七金 △5四銀 ▲9六歩 △8二玉 ▲7八金 △4五歩 ▲3六歩 △6三金 ▲3八飛 △4四角
▲5九角 △1四歩 ▲4八角 △1五歩 ▲6八銀 △2二角 ▲5七角 △1三角 ▲2四歩 △同 角
▲2八飛 △2二飛 ▲1六歩 △同 歩 ▲5五歩 △4三銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲6五歩 △同 歩
▲7五角 △4二角 ▲4六歩 △1七歩成 ▲4八飛 △7四歩 ▲6四歩 △7五歩 ▲6三歩成 △同 銀
▲1七香 △同香成 ▲同 桂 △1五角 ▲1八飛 △2七角 ▲2八飛 △3六角成 ▲6四歩 △7四銀
▲7七香 △7二金 ▲8六金 △8三銀 ▲7五金 △3七角成 ▲2九飛 △3八馬 ▲7九飛 △7四歩
▲同 金 △同 銀 ▲同 香 △8三金打 ▲6三銀 △6一香 ▲7三香成 △同金寄 ▲7四歩 △6三金寄
▲同歩成 △同 金 ▲7六金 △7四金 ▲7五歩 △6四金 ▲7四金 △5五金 ▲5九飛 △5八香
▲7九飛 △7三歩 ▲8四金 △8三歩 ▲8五金引 △7二玉 ▲7四歩 △6三玉 ▲7三歩成 △5四玉
▲6二歩 △4六歩 ▲6一歩成 △4八銀 ▲3九歩 △2八馬 ▲4九香 △3九銀成 ▲5七銀 △4五玉
▲6八金 △3五玉 ▲4六銀 △同 金 ▲同 香 △同馬寄 ▲5八金 △2六玉 ▲4八金 △7九馬
▲同 銀 △4四香 ▲4五歩 △1七玉 ▲4四歩 △同 銀 ▲3七角 △同 馬 ▲同 金 △5五角
▲8八角 △6六桂 ▲4六香 △7八歩 ▲6八銀 △5八飛 ▲6九香 △4八飛成 ▲2七金打 △1八玉
▲6五金 △7九歩成 ▲同 銀 △7八桂成 ▲5五金 △7九成桂 ▲同 角 △7八銀 ▲1九歩 △同 玉
▲2八角 △2九玉 ▲8八角 △5五銀 ▲7九歩 △7七歩 ▲6八桂 △8七銀成 ▲7七角 △6六歩
▲8六金 △7七成銀 ▲同 桂 △6七歩成
まで、184手で後手の勝ち。
戦型は後手四間飛車対穴熊。
鈴木八段が後手ということでどこに飛車を振るのかなぁ、と思ったら普通の四間飛車に。
普通の四間飛車にすると穴熊を阻止するのは無理。かといって、穴熊対策として編み出された藤井システムは後手番ではプロレベルでは勝ちにくい。
ということで、穴熊に競り合って勝てる自信がないと後手番で普通の四間飛車にはできない。対穴熊には定評のある鈴木八段らしい戦型選択。
仕掛けの辺りでは先手やれそうな気がしたものの、67手目▲6四歩と角・金交換を選ばざるをえないようでは、ちょっとおかしいかった。
といっても、穴熊であれば角・金交換でもどうにかなってしまうが。
中盤以降はプロレベルではただ指しているだけ、といった感じで勝負形にもならなかったのだが、アマだと簡単にひっくり返る内容なので、見ていて飽きなかった。
先手がどこで投げるかなぁ、と思っていたのだが、まさか最後まで指すとは。160手目△1八玉のところで投げても別に不思議ではなかったのだが。
後手の快勝といえる内容だったが、簡単には真似できない指し回し。これではゴキゲン中飛車に棋士でも流れてしまうのは仕方ないのかなぁ、という気がする。
来週は、南芳一九段対行方尚史八段。
2012/05/07(月)
今日も日本国憲法改正草案について書こうかと思っていたのだが、ガチャ商法の話が面白いことになってきたのでメモ代わりに書いておきたい。
やまもといちろうブログ:ソーシャルゲームへの「コンプガチャ」規制関連のメモ
やまもといちろうブログ:冗談のような「ソーシャルゲーム被害者の会」が立ち上がり、返還訴訟を起こすらしい
を読んで思ったことを書く。
「コンプガチャ」というのはある期間内にレアカードをコンプリートするとおまけのカードがもらえるという仕組み。
今回、このおまけのカードが懸賞に当たるという判断になったのだが、法律的には微妙な判断のように個人的には思っている。
法律上では、懸賞というのは「商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供すること」となっている。
問題は「コンプガチャ」のおまけのカードが景品類に該当するかどうか。
景品類の法律上の定義は、「顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう」。
「コンプガチャ」のおまけのカードの場合、「顧客を誘引するための手段として」、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して」という点に該当するのは明らかなのだが、「相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」に該当するのかが微妙。
消費者庁:景品類の指定の告示の運用基準(PDF)
を見ると、「事業者が、そのための特段の出費を要しないで提供できる物品等であっても、又は市販されていない物品等であっても、提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を支払って取得すると認められるものは、「経済上の利益」に含まれる」とある。
「コンプガチャ」のおまけのカードの場合、経済的対価(お金)を支払っていることは明らかなのだが、取得に該当するのかどうかが分からない。
感覚的に、景品類の取得といえば所有権が伴うものなのだが、ソーシャルゲームにおけるカードの所有権はユーザーにはない。
ソーシャルゲームにおけるカードは、提供を受ける者には所有権がなく経済上の価値もない、なので、景品類には該当しないというのが建前で、この建前を前提に「コンプガチャ」を含む「ガチャ商法」が成り立っている(と考えられている)。
もし、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するとなれば、「コンプガチャ」どころか現状の「ガチャ商法」も出来なくなる可能性がある。
また、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当する、ということは、ゲームデータが財物になる可能性も出てきて、窃盗罪や詐欺罪の対象にもなる。
「コンプガチャ」のみを規制するにしては、微妙なところから踏み込んできたなぁ、といった印象を受ける。
「コンプガチャ」を切り口に、「ガチャ商法」を規制する気なんだろうか。
「コンプガチャ」はともかく「ガチャ商法」そのものが違法かどうかは微妙なところ。ただ、現実のガチャガチャで現状の「ガチャ商法」と同じやり方をすると公正取引委員会の指導が入る可能性が高いので、現状の「ガチャ商法」は維持できないような気がする。
というのも、昔のガチャガチャや食玩にはシークレットというものがあったのだが、中身が見えない形式でシークレットをまぜると、景品ではなく懸賞扱いにすると、公正取引委員会から指導が入ったので、今では中身が見えない形式でのシークレットはあんまり見かけなくなってしまった。
現状の「ガチャ商法」のレアカードもガチャガチャや食玩のシークレットに相当すると考えられるので、何らかの規制が入りそうな気がする。
この点を問題にするとTCG(トレーディングカードゲーム)のレアカードも問題になるのだが、今のところ、TCGのレアカードは混入確率の透明性が高く、ユーザーからも不満が出ていないということで、特に問題になっていないよう。
もし、TCGに「コンプガチャ」の仕組みを導入したらいったいどうなるのか、というのは興味深い。やっぱり懸賞扱いになるんだろうか。
混入確率の透明性が高ければ、現状の「ガチャ商法」は維持されるんだろうか。11連ガチャはTCGの箱買い扱いになるんだろうか。この辺も気になるところ。
TCGと比較すると、「ガチャ商法」はぼったくりに見えるんだがなぁ…。
行政判断はどういうものになるんだろう。
あと、「コンプガチャ」に対して返還訴訟が起こるかも、ということだが、未成年の支払いが全額返ってくれば御の字といったところだろう。
成年については自己責任ということで済まされそうな気がする。「コンプガチャ」は原理的にいえば、宝くじと同じ。
1等1億円の宝くじに100万つぎ込み全部外れたからといって、詐欺だ、返還しろ、という論理は成り立たない。宝くじの仕組みを理解できないほうが馬鹿、ということになる。
「コンプガチャ」についても同様の理屈が成り立つんじゃなかろうか。「コンプガチャ」についてはレアカードで煽っているところはあるが。
未成年については判断能力が未熟、と見なされそうなので、全額返ってくればいいかなぁ、といったところか。
あと
企業法務戦士の雑感:景表法は変質したのか?~「コンプリートガチャ」規制をめぐって。
::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉:::::コンプガチャ規制問題の補足
の内容も参考に。素人考えでは出てこない内容があるので興味深い。
「ガチャ商法」で白黒つけたければ、景品表示法より風営法の拡大解釈のほうがはっきりすると思うんだが、景品表示法で警告して穏便に事を進めたい、ということなんだろうか。
パチンコ・スロットの1分400円ルールを、オンラインゲーム全般に適用するとどうなるのかは気になっている。
11連ガチャは1分400円ルールに引っかかるのかどうか。1分あたりで考えれば違法だが、1時間あたり、1日(8時間)あたりで考えると違法とはいえない。
パチンコだと当たりがないとして1時間あたり24000円、1日(8時間)あたり192000円つぎ込むことになるが、「ガチャ商法」で1日20万つぎ込む人はどのくらいいるんだろうか。
また、「ガチャ商法」の場合、パチンコと違って毎日つぎ込むというわけでもないし。
パチンコで毎日20万つぎ込むよりは、「ガチャ商法」につぎ込んだほうが安上がりなのかもしれない(もっともパチンコで毎日20万つぎ込む人はいないだろうが)。
パチンコにしろ、「ガチャ商法」にしろ、金持ちの道楽ということなのかねぇ…。
2012/05/08(火)
「コンプガチャ」に関する記事を幾つか眺めてみたのだが、内容をちゃんと分かっている記事とあんまり分かっていない記事があって興味深かった。
「コンプガチャ」に関する問題点をまとめてみると、まず「コンプガチャ」のおまけのカードが景品類に該当するかどうかが今の問題点。
で、おまけのカードが景品類に該当するとなると、ソーシャルゲームにおけるカードは景品類に該当するのかどうかという問題が起こり、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するとなると、ソーシャルゲームにおけるカードは財物になるのかどうか、という問題が起こる。
で、ソーシャルゲームにおけるカードが結果財物になると、窃盗罪や詐欺罪などの対象になって、警察のお仕事が増えるということになる。
現状は、ソーシャルゲームにおけるカードは単なるデータでそれ自体に経済的価値はなく財物ではないので、景品類に該当しないだろう、ということでやりたい放題。
経済的価値がないものに数十万つぎ込ませている状況については、つぎ込む・つぎ込まないはユーザーの自己責任なので企業側に責任はなく、別に数十万つぎ込まなくてもゲームをするのに問題はないですから、というのが建前。
まぁ、実際は違うようだけど、やったことがないのでなんとも。
「コンプガチャ」を含む「ガチャ商法」については、その仕組みが風営法の「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」に該当するかどうかが問題。
部分的に見ると、「ガチャ商法」は「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準」に該当するところがあるのだが(1分400円ルールには違反している)、全体的に見ると、該当するかどうかは微妙。
ようは、パチンコ・スロットよりもお金を消費させていれば風営法違反になる可能性があるのだが、現状の「ガチャ商法」だと、消費させているといえば消費させているし、消費させていないといえば消費させていない、といった感じ。
とはいえ、行政(警察)のほうで消費させていると判断すれば、風営法違反になる可能性はある。
あと、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するとなると、こちらのほうで風営法違反になる可能性もある。
なので、「コンプガチャ」のおまけカードが景品類に該当するかどうか、引いてはソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するかどうかは、オンラインゲーム業界にとって、とても重要な問題。
そんな問題をここまでこじらせたのは企業側の失態だと思うのだが、どうやって収拾するんだろうな。
今のところ、消費者庁は「コンプガチャ」を絵合わせとみなし規制の対象としているようだが、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するとなれば、風営法が発動するのを分かっていてやっているんだろうかねぇ。
「コンプガチャ」は景品表示法で、「ガチャ商法」は風営法で規制するとなれば、いかにも日本の縦割り行政らしい。
自民党の日本国憲法改正草案に関するメモ。今日は憲法第12条について。
改正草案では
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
となっている。現憲法では
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
で、英語では
The freedoms and rights guaranteed to the people by this Constitution
shall be maintained by the constant endeavor of the people, who shall refrain
from any abuse of these freedoms and rights and shall always be responsible
for utilizing them for the public welfare.
改正草案での1行目は現憲法の言い直しなのでいいとして、問題は2行目。内容的に問題が多い。
「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し」が新たに付け加えられているが、こんなのを憲法に書いて意味があるのか、といった感じ。こんな文を憲法に書いたからといって自覚できるものではない。自由及び権利に責任及び義務が伴うことを国民に自覚させるのは教育の問題。
仮に、こういった内容を憲法に書くのであれば、「教育機関は国民に対し自由及び権利には責任及び義務が伴うことを教えなくてはいけない」、といった感じになる。
でも、義務教育でこういったことを教えるのは当たり前のこと。今の義務教育は教えなくなったのだろうか?
それから、「常に公益及び公の秩序に反してはならない」も相当問題のある文。「国民は、常に公益及び公の秩序に反してはならない」ということなんだが、「公益」や「公の秩序」は永久不変のものではない。
ときには、既存の公益及び公の秩序に反対することも必要なのだが(というか国民主権の国家では公益や公の秩序を決めるのは国民のはずだが)、「常に公益及び公の秩序に反してはならない」なんて憲法に書かれたら、デモすらできなくなる可能性もある。
改正草案では、「公共の福祉」の部分をすべて「公益及び公の秩序」に置き換えたいようなのだが、「公益及び公の秩序」に置き換えたついでに、言葉じりも変えるとおかしなことになる。
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、公益及び公の秩序のために、これを使用するときには常に責任を負う。
といった文でも別に問題ないはずだが、なんで余計なことをするんだろうな。分かっていてやっているとしたら最悪なんだが…(まぁ、分かってやっているんだろうが)。
あと、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えられるのか、という問題があるのだが、これはかなり難しい問題。
「公共の福祉(public welfare)」では一般的に理解しにくいので、「公益(public good[benefit, interest(s)])及び公の秩序(public
order)」にしましょう、というのが意図らしいのだが、英英辞典を引けば「public welfare」を理解するのはそれほど難しくはない。
また、日本語で「公益」といっても、英語に置き換えた場合、「public good」と「public benefit(interest(s))」ではニュアンスが微妙に違う。
「public welfare」に置き換えられうるのは「public good」としての「公益」なのだが、日本語の「益」の意味は「benefit(interest)」で、「good」の意味はない。
「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えると、こういった解釈のずれが生じるので、この辺をどうするのか、といった問題がある。
今のところ、この辺はたいして問題視されていないようだが、裁判になったらかなり影響するように思える。
また、「公益及び公の秩序」は、「公共の福祉」と同義なのか、それとも「公共の福祉」+「公の秩序」という意味なのか。この辺もはっきりしていない。
あと、「公の秩序」をどう解釈するのかも問題。国際慣習法、国際法、国内慣習法、国内法は「公の秩序」に含まれると思うんだが。
ということは、権利およびその使用は「公共の福祉」だけでなく法律によっても制限されるということなんだろうか。
この辺をすっきりさせないことには、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えることはできない。
「公共の福祉(public welfare)」については明日、書いてみることにする。
書いていて思ったのだが、自民党の改正草案だと、自由と権利の使用に伴う国民の責任が憲法からなくなってしまうのだが、他の条文のところで補っているのだろうか…。
ネット上の改正草案に関する意見を見ると、国会議員たちは今の憲法よりも国民の義務規定を多く憲法に盛り込みたいらしい。
「義務」に関する規定が納税、教育、勤労と3つしかないのに比べ「権利」に関する規定が多く、バランスを欠いている、というのが理由らしいが、国民に「義務」を押し付ける前に、先に政治に「責任」を取ってもらいたいんだがなぁ。
あと、憲法での義務規定を多くすると、それはそれで問題が生じるんだが、この辺どう考えているのかが分からない。憲法における義務規定は必要最小限に留めておくべきだと思うんだが。法律のほうでも義務規定は作れるんだし。
法律で義務規定を作っても、憲法による保障がなければその効果が薄い、というものであれば、憲法に盛り込む意味はあるのだが、改正草案に盛り込んでいる国民の義務規定を見ると、これって法的拘束力が生じるのかなぁ、と思うものばかり。
努力目標としてしか機能しない義務規定ならば、憲法に無理に盛り込む必要があるのかなぁ、といった感じ。
この辺は、改正草案の他の条文を読んで考えてみたい。
やっぱり、改正草案の条文はひどいね…。
2012/05/09(水)
消費者庁がちゃんとお仕事をしたので、「コンプガチャ」は廃止の方向へ。あとは、「ガチャ商法」に対して風営法が発動するかどうか。
消費者庁のコメントを見ると、ソーシャルゲームにおけるカードが景品類に該当するかどうかという問題は棚上げといったところ。
なので、風営法が発動するとしたら、どこから切り込んでいくんだろうな。
2ちゃんねるなどを見ると、「ガチャ商法」は悪、といった論調なのだが、「ガチャ商法」はその原理が悪いというよりは、ゲーム、あるいはガチャガチャにしては金を取りすぎているのが問題。価格や確率を変えれば、特に問題はない。
問題は、その価格や確率の適正値なのだが、この辺の判断が難しい。ソーシャルゲームの「ガチャ商法」は実態上はゲームセンターでのゲームかパチンコに該当する。で、現状はパチンコ寄り。
もし、パチンコ寄りにするなら、パチンコ店に対する風営法上の規制がかからないとおかしい。また、ゲームセンター寄りにしても、ゲームセンターに対する風営法上の規制がかからないとおかしい。
この辺の決着をどうするのかが今後のみどころといったところか。
現状、ゲームセンターの経営はかなり苦しくなっている(と思われる)ので、ソーシャルゲームが生き残るならパチンコ寄りにしないといけないと思うが、そうするとパチンコ業界とのつぶし合いになる。
あと、ゲームセンターもパチンコもどきやスロットもどきを導入しているので、ソーシャルゲームがパチンコ寄りにしたとしても、パチンコ業界だけでなくゲームセンターとも競合する。
さらに、ゲーム業界全体まで視野を広げてみると、さらに家庭用ゲームとかオンラインゲーム、携帯電話のアプリなどが競合相手になる。
ファミコン対アーケードの構図の頃から比べると、すごいことになっているなぁ、といった感じ。
ファミコン対アーケードの頃はファミコンとアーケードの住み分けができていたけれど、今は住み分けをするとなると、高付加価値を付けるか、安値競争をするか、ぼったくるしかない。
昔からゲームでのぼったくりはあったけれど、単価が安かったからそれほど問題にはならなかったし、ゲーム自体も物珍しかったから不満もなかった。
今ではゲーム開発のコストも馬鹿にならないし、そのぶん単価も高くなったのだが、ぼったくり感はあんまり変わっていないし、ゲームそのものの魅力も物珍しさがなくなったぶん落ちた。
ぼったくり感が同じで単価が高い、そのくせ魅力があんまりない、となればそりゃあ寄り付かなくなるだろう、といった感じ。
この辺の問題は、ゲームに限った話ではないのだが。
まぁ、一番の問題は経済的に苦しくなって娯楽にかけるお金の余裕がなくなった人が昔に比べて多くなったからなのだが、この問題を解決するのは無理だろうな。
ということで、娯楽産業の先行きは暗い。さらに、日本の場合、過度の少子化が加わる。これは経営努力でどうこうできるという問題ではないのがつらいところ。
娯楽産業が生き残るには金をもてあましている層から手段を選ばずむしり取るほかない。そういった意味では「ガチャ商法」は合理的ではあったのだが、未成年からもむしり取ってしまったのが、問題だったか。
今日は、「公共の福祉(public welfare)」について書くつもりだったのだが、明日にする。
2012/05/10(木)
「公共の福祉(public welfare)」に関するメモ。
福祉は「welfare」の訳語で、戦後に出来た言葉らしい。というか、戦前には「welfare」の概念すらなかっただろう。というか、「welfare」の概念や制度自体、西洋でも20世紀に入ってから広まった概念らしい。
日本語の「福祉」は、「福」も「祉」も「幸い(happiness)」の意味らしい。しかし、英語の「welfare」は少しニュアンスが違う。
手持ちの英英辞典で「welfare」を引いてみると
1 health, comfort, and happiness;wellbeing
2 help provided for people with social problems, money difficulties,
etc.
3 (in the US) (the system of) additional government help given to people
in special need
とある。
「welfare」にはhappiness(幸せ)だけでなく、health(健康)、comfort(安心・快適)といった意味も含まれる。「welfare」と同義語の「wellbeing」の意味はというと
personal and physical comfort, esp. good health and happiness
とある。
日本語の「福祉」の幸福という意味に比べれば、「welfare」の意味は広い。healthやcomfortも幸福といえばそうだが、幸福という言葉から健康や安心をすぐに思い浮かべるだろうか。
「幸福」と「welfare」では言葉から受ける印象に違いがあるような気がする。
制度としての「welfare」は理解しやすい。生活保護や失業手当といったものが制度としての「welfare」である。
「welfare」の意味を考えれば、。生活保護や失業手当といったものが社会制度としてああいう形で存在するというのも分かる。
「welfare」の意味が分かれば、個人の権利が「公共の福祉(public welfare)」で制限を受けるのも、まぁ、そんなものかな、という気はする。
自民党の改正草案では、この「公共の福祉(public welfare)」を「公益及び公の秩序」に置き換えようとしている。言葉の意味を考えれば、「公共の福祉(public
welfare)」と「公益及び公の秩序」は同義ではない。
「公共の福祉(public welfare)」と同義といえそうのは「公益」のみで、「公の秩序」は別の概念である。というのも、「welfare」の中には秩序(order)の概念は含まれていない。
じゃあ、「公の秩序(public order)」とは何なのか、というと、これもよく分からない概念であったりする。
「order」の意味はたくさんあるのだが、法律に関係しそうなものとしては
the condition in which laws and rules are obeyed
の意味。法律や規則が守られている状態ということだが、これでも「public order」の意味は分かったような分からないような。
「公の秩序(public order)」の問題は、この概念に法律が含まれるのかどうかという点。もし、法律が含まれるのだとしたら、権利と法律が衝突したときに問題が生じる。
権利と法律が衝突することはそうそう起こることはないのだが、性器に対するモザイクの問題、代理母出産、同性婚といった問題では「公の秩序」に反するかどうか、というのは問題になるだろう。
そういった問題のときに、「公の秩序」に法律が含まれるとなると、権利の制限は現憲法よりもさらに厳しく制限されることになる。
あと、「公の秩序(public order)」を「国家社会の一般的利益を意味する」と解釈する説があるようなのだが、この解釈だと「公益」と意味がかぶる。
ということは「公益」と「公の秩序」は別々の概念ということになるが、その違いは何なのだろう。
「公共の福祉」では分かりにくいから、「公益及び公の秩序」に置き換えるというのが自民党の主張だが、置き換えたら置き換えたで分かりにくい点があるのだが、この辺の説明はない。
それから、「公の秩序」という言葉は民法90条にもある。民法90条は
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
これを見ると、「公の秩序」は「善良の風俗」とも違う概念ということになる。
「公共の福祉」、「公益」、「公の秩序」はそれぞれ違う概念で、「公共の福祉」を単に「公益及び公の秩序」に置き換えるのは無理があるように思う。
「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に置き換えた憲法を施行したらいったいどうなるのだろうか。
自民党の改正草案については、今後も書いていくことにする。
2012/05/11(金)
第70期名人戦第3局の感想。
棋譜は
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀
▲5八金右 △3二金 ▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △7四歩 ▲6七金右 △5三銀右 ▲2六歩 △8五歩
▲7七銀 △5五歩 ▲同 歩 △同 角 ▲7九角 △7三角 ▲4六角 △6四銀 ▲7五歩 △8四飛
▲7四歩 △同 飛 ▲5六歩 △3一玉 ▲2五歩 △5一金 ▲7六歩 △3三銀 ▲6五歩 △同 銀
▲7三角成 △同 桂 ▲8二角 △8六歩 ▲同 歩 △8八歩 ▲同 金 △4九角 ▲6八歩 △2二玉
▲9一角成 △4二金上 ▲5八香 △7六銀 ▲同 金 △同 飛 ▲同 銀 △8七歩 ▲同 金 △2七金
▲同 飛 △同角成 ▲3九金 △7七歩 ▲7九歩 △2六飛 ▲7三馬 △2八馬 ▲同 金 △同飛成
▲5九銀打 △5七歩 ▲同 香 △1九龍 ▲7一飛 △2九龍 ▲7七金 △4九金 ▲7八玉 △5九金
▲同 銀 △同 龍 ▲2四歩 △同 歩 ▲2三歩 △同 金 ▲3一金 △4一香 ▲同 金 △同 金
▲同飛成 △3一金 ▲5二龍 △3二銀 ▲8四馬 △4五桂 ▲4六香 △5一歩 ▲9二龍 △5七桂成
▲4三香成 △4二歩 ▲3三成香 △同 金 ▲2三歩 △同 玉 ▲1五桂 △1二玉 ▲2三歩 △同 銀
▲2二歩 △同 玉 ▲5一馬 △4一香 ▲7五角 △6四銀 ▲9三角成 △7五歩 ▲8五銀 △5六成桂
▲5二銀 △7六香 ▲8七玉 △9五歩 ▲7六銀 △同 歩 ▲同 玉 △8四歩 ▲同馬左 △7三銀打
▲8五玉 △8四銀 ▲同 玉 △4八角 ▲8三玉 △6六成桂 ▲4一馬 △3二金引 ▲8一龍 △4一金
▲同銀不成 △7七成桂 ▲4四金 △5一歩 ▲3二銀成 △同 銀 ▲2三歩 △同 銀 ▲3一銀 △同 玉
▲2三桂不成 △3二玉 ▲3一金 △2二玉 ▲2一金 △同 玉 ▲2二歩
まで、157手で先手の勝ち。
38手目△3三銀が新手だったよう。ただ、結果的には敗着級。
△3三銀を咎めにいかないと先手は面白くないので▲6五歩から仕掛けるところ。▲6五歩と仕掛ければ1日目の指し手46手目△8八歩までは一直線。△8八歩に封じ手の▲同金も自然な一着。
問題はこの後の後手の指し手。△4九角は自然なのだが、こう指すと本譜の△7六銀から飛車を切って△2七金か銀で飛車を取り返すぐらいしか手がない。
△7六銀から飛車を切って馬を作る順もあるが、どうも攻めが続かないよう。本譜は△4九角に自然と▲6八歩だったが、△7六銀から飛車を切って馬を作る順、または△7六銀から角を切って飛車を残す順に対して受けきる自信がないとこうは指せないように思う。
本譜はすぐに△7六銀とせず、△2二玉~△4二金上としてから△7六銀。飛車を切ると1段目に下ろされるので、△2二玉~△4二金上は必要な手なのだが、こう指すようでは後手の作戦負けといった感じ。
△9二香といったん香車をかわす手もあったはずだが、▲5八香と角道を遮断されても先手の駒の働きが弱いとみたのかもしれない。
▲5八香と打つようでは先手面白くない感じだが、駒得は確定しているのでここは変化を限定させるところ。
△4九角と指せば63手目▲3九金まで読み筋といったところ。ここから後手はどうにか攻めをつなげていくのだが、ちょっと足りない。
とはいえ、58手目△8七歩、64手目△7七歩、72手目△5七歩といった利かしの手はさすが羽生二冠といった感じの手だった。
△4九角では単調なので、△8五歩という手もあるかなぁ、と思っていたのだが、こちらも駄目らしい。やっぱり△3三銀自体がどうかといった感じ。
内容的には一方的だったものの、先手がちょっとでも緩むと形勢が逆転する模様だったので、致命的なミスをしなかった森内名人の指し回しが素晴らしかった、ということなんだろう。
前期の名人戦でも勝敗を分けそうな局面からの踏み込みがすごかったのだが、今期もその点は変わっていないようである。
持ち時間の長さと名人戦という舞台がそうさせているんだろうか。この指し回しで前期の成績が勝率3割というのはちょっと信じられない。
将棋世界での森内名人のコメントを見ると、やや準備不足のところがあるようなのだが、それだけで勝率3割まで落ち込んでしまうものなんだろうか。
最近の将棋は実力だけでは勝ちにくくなっているのは確かなのだが。
コンプガチャに関する記事を見ていたら、いまさらながら消費者庁の大臣と国家公安委員会委員長が同じ人だということに気づく。
これだと、すぐには風営法は発動しないかもなぁ、と思った。とはいえ、未成年対策やRMT対策が甘いと風営法がいつ発動してもおかしくはない。
逆に、未成年対策やRMT対策がしっかりしていれば、風営法の発動は難しいか。パチンコ・スロット基準でも1日あたり20万つぎ込んでも違法ではないのだよなぁ…(もっとも1日で20万溶けるとなると1日中やって1回も当たらないことになるが)。
1日20万が1つのラインかなぁ、という気はする。でも、現状、ガチャ商法にはこういう縛りさえないんだよねぇ…。
2012/05/13(日)
第62回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第6局 南芳一九段対行方尚史八段。
先手:南芳一九段、後手:行方尚史八段。
棋譜
▲7六歩 △3四歩 ▲1六歩 △8四歩 ▲6六歩 △8五歩 ▲7七角 △6二銀 ▲7八銀 △5四歩
▲1五歩 △4二玉 ▲6七銀 △5二金右 ▲4八銀 △4四歩 ▲4六歩 △4三金 ▲4七銀 △3二玉
▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △3三角 ▲7八金 △5三銀 ▲5八金 △5一角 ▲2六歩 △3三桂
▲4八玉 △2一玉 ▲2九飛 △3二金 ▲6五歩 △8四角 ▲5六銀左 △7五歩 ▲同 歩 △同 角
▲9六歩 △9四歩 ▲7九飛 △7二飛 ▲6七金左 △8四角 ▲7六歩 △8二飛 ▲7八飛 △7三桂
▲7五歩 △6四歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲4五歩 △6五桂 ▲6六角 △6二角 ▲1四歩 △同 歩
▲1三歩 △4五歩 ▲1四香 △2二銀 ▲7四歩 △7五歩 ▲7三歩成 △同 角 ▲4四歩 △4二金引
▲7九飛 △1三香 ▲同香成 △同 銀 ▲1九飛 △1四香 ▲7九飛 △2二銀 ▲9七桂 △5五歩
▲6五銀 △同 銀 ▲7五飛 △7四銀打 ▲7九飛 △4六歩 ▲同 銀 △5六歩 ▲5五桂 △4五歩
▲同 桂 △同 桂 ▲同 銀 △4六桂 ▲4七金 △6六銀 ▲同 金 △8八角 ▲7四飛 △6六角成
▲5六銀 △5五角 ▲7一飛成 △4一歩 ▲3九香 △5八金 ▲3七玉 △5七金 ▲1三歩 △4七金
▲同 玉 △4八金
まで、112手で後手の勝ち。
戦型は先手右玉。
3手目▲1六歩でダイレクト向かい飛車を想像していたのだが、紆余曲折あって先手は右玉。
3手目▲1六歩は、ダイレクト向かい飛車、四間飛車(藤井システム)、向かい飛車と幅が広く、序盤の駆け引きが熱い。
まぁ、居飛車のほうは船囲いから穴熊に組む、という黄金パターンがあるので、対振り飛車に対してはとりあえず船囲いに組めばいいのだが、仕掛け方やそのタイミングを取るのが難しい。
本譜は普通に8筋を伸ばして四間飛車(藤井システム)と向かい飛車に限定させたといったところか。
あとは囲い方だが、本譜は菊水矢倉に組んで、結果的にはこの構想が勝ちにつながった印象。
右玉に比べれは飛車に強い形なので、飛車交換もできなくはないといった感じ。こういったところが仕掛けに影響するんだろう。
37手目△7五歩以降は自然な展開だったが、50手目△7三桂が思いきった一着。こう指すと後戻りはできないし、模様からみても修正は難しい。
先手が形勢を損ねたとすれば、△7三桂以降の競り合いのところでだが、どの手が悪かったのかは謎。駒組みの段階で悪かったのだろうか。
形勢は後手が良さそうといっても決め手がさっぱり分からなかったのだが、87手目△4六歩からの寄せが鮮やかだった。76手目△1四香が最後まで利いた。
相手がミスをしてくれないと駆け引きをしながらの右玉はつらいのかなぁ、と思った本局。
来週は、神谷広志七段対永瀬拓矢五段。どういう戦型になるのか興味深い。
2012/05/18(金)
GMがフェイスブックでの広告を打ち切ったニュースを見て思ったことを書いてみる。
よく考えてみるとネットの広告はテレビや新聞の広告と違う特徴がある。ネットの広告はクリックすれば購入ページに行くこともできる。気になったものがすぐ購入できる仕組みがあるというのはネット広告の強みではないだろうか。
逆に言えば、テレビや新聞と同じ広告のやり方をネットでしては駄目ということであるし、ネットでは購入する気が起きないものをネットで広告してもあんまり意味がない、ということでもある。
車をネットでさくっと購入する仕組みや習慣がなければ、車をネットで広告する意味は薄いんではないだろうか、そんなことを思った。
個人的には、ネットでの買い物には抵抗感が強い。ちゃんと確認して購入しても、誤発注しているのではないかという妙な不安にかられる。
この辺は慣れの問題であるのだが、ネットで頻繁に買い物することはないのでなかなか解消されない。
書籍なんかはネットで購入してもいいかなぁ、と思うことはあるのだが、地元の店舗が全滅することを考えると、ネットでの買い物はあんまり気が進まない。
こんな人間が少なからずいるうちは店舗は残り続けるんだろうか。まぁ、店舗が全滅したとしても物流に置き換わるだけなのだが。
店舗で商売をするのと、店舗を物流に置き換えて商売するのと、トータルでどちらがコストが安いのかは気になるところ。
電気や石油が無限にあるのであれば、店舗を物流に置き換えて商売したほうが便利な世の中になりそうだが、日本の場合、電気も石油もやばい。50年ぐらいは、なんとかなると思うが、その先はどうなるのだろう。
2012/05/19(土)
消費者庁がコンプガチャに対して出した
「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表 及び 景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて(PDF)を読んで思ったことを書いてみる。
今回、ガチャ商法のカードは景品類には該当せず、コンプガチャ、または景品表示法の絵合わせに該当するとみなされるサービスで提供されるカードは景品類に該当する、という現実的な判断に落ち着いたのだが、法律的にはやや苦しい解釈なのではないか、と思った。
ガチャ商法のカードが景品類に該当しない理由として、ガチャとカードをまとめて取引とみなした(ような)のだが、ガチャ自体をサービス(取引)、カードをサービスに付随して提供している景品類と解釈することも可能なはずであるし、こういう解釈をしないと現状の規制と整合性がつかないような気がする。
例えば、「ひもくじ」も原理的にはガチャと同質であるのだが、「ひもくじ」で提供される品物は景品類に該当するはずである。
この辺は、データを財物扱いにするか否か、といったややこしい問題が絡んでいるので、法律的にやや苦しい解釈をしなければいけないのだと思うが、今回、ガチャ商法のカードは景品類には該当しないと行政(消費者庁)が明確にしたことで、企業側がどういう対応をするのかは気になるところ。
今回、11連ガチャについてはまったくノーコメントなのが気になるところで、11連ガチャを今後も続けるのかは見物といったところ。11連ガチャは踏み絵になりそうな予感。
11連ガチャについては、常態化しない限りは大丈夫だとは思うのだが、消費者庁に苦情が来ると、これも問題になるのかもしれない。
ガチャ商法については一段落ついたが、確率操作や著作権侵害といった地雷はまだ残っている。この辺について今後どうなっていくかは見守ってみたい。
2012/05/20(日)
第62回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第7局 神谷広志七段対永瀬拓矢五段。
先手:永瀬拓矢五段、後手:神谷広志七段。
棋譜
▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △5四歩 ▲6六歩 △4二銀 ▲7八飛 △5三銀 ▲4八玉 △3二飛
▲3八銀 △6二玉 ▲5八金左 △7二銀 ▲3九玉 △7一玉 ▲7四歩 △同 歩 ▲同 飛 △5二金左
▲9六歩 △6四歩 ▲9五歩 △8二玉 ▲7六飛 △3五歩 ▲6五歩 △8八角成 ▲同 銀 △3六歩
▲同 歩 △5五角 ▲7七角 △1九角成 ▲1一角成 △3三桂 ▲2一馬 △3一香 ▲7三歩 △同 銀
▲3二馬 △同 香 ▲3一飛 △5一金寄 ▲3二飛成 △2五桂 ▲7五香 △7四歩 ▲同 香 △同 銀
▲同 飛 △7三香 ▲2八銀 △2九馬 ▲同 玉 △7四香 ▲6三角 △4二桂 ▲7四角成 △3七歩
▲同銀右 △6九飛 ▲8六香 △3七桂成 ▲8三馬 △7一玉 ▲7七香
まで、67手で先手の勝ち。
戦型は相振り飛車。
変わった戦型になるのかなぁ、と思っていたのだが、その通りになった。10手目△3二飛がプロでは珍しい手になるようだ。
本譜は26手目△3五歩に▲6五歩と反発して一直線の展開に。43手目▲3一飛で先手が良さそうに見えたのだが、△5一金寄で分からなくなった。
感想戦では46手目△2五桂のところで△4五桂、53手目▲2八銀の前に△2八角、54手目△2九馬のところで△2八馬としていたほうが本譜より良かったらしい。
54手目△2八馬以下▲同玉△7四香▲6三角に△7二飛の自陣飛車の受けが好手のようで、これではっきりしない。この順であればむしろ後手のほうが有望な気がする。
となると、27手目▲6五歩の反発自体がどうだったか、ということになるが、珍しい形なのですぐには結論が出てこないだろう。
本譜を見ると、将棋にはまだ鉱脈が残っているのかなぁ、という気になる。
来週は、中田宏樹八段対瀬川晶司四段。こちらも変わった戦型になりそうな予感。
first update 2006/06/08
last update 2012/05/20