子供の科学


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子供の科学 平成21年1月号 B型はマイペース、O型は大ざっぱ…? 血液型ホントの話

 私も子供のころ愛読していた『子供の科学』は、血液型の特集です。
 B型はマイペース、O型は大ざっぱ…? 血液型ホントの話
 http://www.seibundo-net.co.jp/CGI/search/list.cgi?key=z_sinkan&c_bunrui=Z06

 しかし、これが結構○ンデモなのです。あ〜あ。(;_;)
 ちょっとだけ書いておきます。

○検証1 脳にはABO型物質がない!

 あります!血液型学の入門書にも書いてある話です!

ABO型物質は赤血球に存在するだけではなく、表I−5表I−6に示すごとく各種臓器、各分泌液中にも認められる。特に、胃液や唾液には多量に分泌している。そのため唾液を血液型物質の検査に利用することが多い。
( 大久保康人さん 『血液型と輸血検査(第2版)』 6〜7ページ)

表I−5 各臓器中のABH抗原

臓 器

反応(%)

100
十二指腸 90

空 腸

80

胆 嚢

78
顎下腺 76
食 道 70

膵 臓

66

回 腸

56

腎上体副腎

40

膀 胱

40
耳下腺 40
リンパ節 37

腎 臓

37

前立腺

34

肝 臓

34

精 嚢

29
肺 臓 29
結 腸 23

副睾丸

22

脾 臓

18

睾 丸

16

8

表I−6 各分泌液中のABH抗原

分泌液

反応(%)

胃 液

100

唾 液

82

胆 液

74

精 液

69
尿 16

○検証2 一卵性双生児の性格は同じ

もし血液型で性格が同じになるなら、家庭の事情で、違う環境で育つ双子も同じ性格になるはずですが、そんなことがあり得るでしょうか??

 現在では、遺伝と環境がそれぞれ半分程度の影響があるとされているようです。

R・グラント・スティーンさん 『DNAはどこまで人間の運命を決めるか』 三田出版会 H10.4

dna.jpg (7474 バイト)

 226〜227ページには、心理学で長い間論争になっていた「遺伝か環境か」にピリオドを打つかもしれない記述がありました。それによると、遺伝の影響が40%強、環境の影響が60%弱だそうです。

 現在おこなわれている人格テストに問題があるのは明らかだが、別々に育てられた一卵性双生児の間の類似度が高いという事実は、 人格の遺伝性に関する強力な証拠となる。
  職業適性、職能、および全般的な関心事に関する徹底的なテストの結果、人格のこれらの分野の遺伝率は全体として40%ほどであった(*1)。 一緒に育てられた一卵性双生児と別々に育てられた一卵性双生児の間には重大な違いが見られ、どんなことに関しをもつようになるかについては、 環境の果たす役割がかなり大きいことが確認された。また、いくつかの異なったテストによれば、社会的態度といった漠然としたものでさえ、40%の遺伝性があるとされている。現に、双生児による回答からは、人生において宗教は重要であるという奪え方の遺伝率は40%、伝統的な価値観にこだわることに関しては53%の遺伝率が出ている。双生児の2人の間のもっとも大きな違いをひとつだけ挙げるとすれば 「社会面での無宗教的な態度」で、これは受けた教育による影響がかなり強かったが、それでも遺伝率は34%となっている。別々に育てられた一卵性双生児から特性に関して最大限の遺伝率が算出されるのはもっともであることを考えてもなお、 これらの結果には驚くべきものがある。ついでながら述べておくと、別々に育てられた一卵性双生児の研究では、IQの遺伝率は69%となっている (第8章参照)。
 人格決定因は各々遺伝性の程度が異なり、遺伝性の強いものもあればほかよりも弱いものもあることは十分に考えられる。 しかし現在のデータでは、それぞれの決定因の間に大きな違いがあることは明らかにはなっていない。数年前、合計で双生児が三万組になる四つの異なった研究結果を総合したところ、外向性と神経症傾向のどちらも遺伝率は50%という数値が出た(*2)。さらに最近になって、 異なった研究からデータを集めたところ(表10・1)、異なった人格特性に見られる遺伝率がほぼ均一の数字となって現れた。もっとも遺伝率の高かったのが外向性で47%、いちばん低かったのが人当たりに関する遺伝率で39%であった(*3)。これらの結論は、多数の双生児を対象とし、近代的な心理テストをおこない、最新型のコンピュータ・モデルを採用して遺伝率を計算したいくつかの研究を基にしたものである。

表10・1 人格特性の遺伝

特性 遺伝性 環境
外向性 47% 53%
開放性 46% 54%
神経症傾向 46% 54%
誠実性 40% 60%
人当たり 39% 61%
全体的性格 45% 55%

(a) 各々の人格特性に関するデータは、多くの異なった研究の平均(*3)

*1 Bouchard, T. J., et al., Sources of human psychological differences: The Minesota Study of Twins Reared Apart, Science 250 (1990): 223-228.
*2 Plomin, R., The roles of inheritance in behavior, Science 248 (1990): 183-188.
*3 Bouchard, T. J., Genes, environment, and personality,  Science 264 (1994): 1700-1701.

○検証3 病気で血液型は変わる!

白血病などの病気では、治療によって血液型が変化することがあります。…この場合、血液型の変化によって性格は変わるのでしょうか?

 大病の治療をすれば、ホルモンバランスが変わるので、性格は変わると思います。
 なお、その場合でも脳の血液型は変わらないそうです。

芦田嘉之さん やさしいバイオテクノロジー ソフトバンククリエイティブ H19.1

115ページから引用します。

骨髄由来以外の圧倒的多数の細胞のゲノムは、移植前後で変わりません。したがって、血液型を決定している遺伝子も元のまま変わっていませんから、骨髄由来以外の「血液型」は変化していません。

 やはり、骨髄移植では血液以外の血液型は変わらないようです。

○検証6 血液型性格診断が流行しているのはアジアだけ!?

「血液型性格診断」は日本を中心としたアジアの一部のみでいわれている話なのです。

 ドイツもフランスもアメリカもありますが?

 例えば、

○もし科学的に根拠があるなら、他の国でももっと研究されているはずですよね?

 韓国・中国だけでなく、欧米でも研究されています。例えば、

○「性格が遺伝で決まる影響は…10%もないような気がしますねぇ」(筑波大学血液型教授 千葉繁教授)

 既に書きましたが、遺伝と環境がほぼ半々と言われています。

○現在の科学では、人の性格について科学的に検証されたデータは何もありません。科学で性格を語ることはとても難しいことなのです。

 心理学ってオカルトなのでしょうか?

 取材協力
 筑波大学大学院人間総合科学研究科
 臨床医学系内科学(血液)千葉繁 長谷川雄一
 日本医科大学 血液内科 猪口孝一

 確かに、心理学者はいないようですが…。

 反論自体はいいことだと思いますが、子供に間違った知識を吹き込むのだけはやめてほしいです。:-<

【『子供の科学』の内容についてのメール H21.1.1送信】

私も子供のころ愛読していた『子供の科学』の1月号は血液型の特集です。
B型はマイペース、O型は大ざっぱ…? 血液型ホントの話

しかし、この特集記事はあまりにも間違いが多いのでメールを差し上げました。
ぜひ、事実を確認していただければと思います。

検証1 脳にはABO型物質がない!
 あります!血液型学の入門書にも書いてある話です!

検証2 一卵性双生児の性格は同じ
 もし血液型で性格が同じになるなら、家庭の事情で、違う環境で育つ双子も同じ性格になるはずですが、そんなことがあり得るでしょうか??
 あります!逆に、同じ家庭で育った方が違いが大きくなるらしいです。 

検証3 病気で血液型は変わる!
 白血病などの病気では、治療によって血液型が変化することがあります。…この場合、血液型の変化によって性格は変わるのでしょうか?
 大病の治療をすれば、ホルモンバランスが変わるので、性格は変わります。
 なお、その場合でも脳の血液型は変わらないそうです。

検証6 血液型性格診断が流行しているのはアジアだけ!?
「血液型性格診断」は日本を中心としたアジアの一部のみでいわれている話なのです。
 ドイツもフランスもアメリカもありますが?

もし科学的に根拠があるなら、他の国でももっと研究されているはずですよね?
 外国って欧米だけ? 欧米でもいくらでも研究されているし…。

「性格が遺伝で決まる影響は…10%もないような気がしますねぇ」(筑波大学血液型教授 千葉繁教授)
 遺伝と環境がほぼ半々と言われています。

現在の科学では、人の性格について科学的に検証されたデータは何もありません。科学で性格を語ることはとても難しいことなのです。
 心理学ってオカルト?

詳細は
http://www010.upp.so-net.ne.jp/abofan/koka.htm
に書きましたのでご覧ください。


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最終更新日:平成21年1月1日