血液型の文献を探していたら、血液型と出生についての文献を見つけました。どちらも同じ筆者によるものです。最近は、CD−ROMで文献を検索できるので非常に便利ですね。(^^)
帝京大学医学部による研究です。
執筆者:川名はつ子 井尾裕子 小川昭子 中村泉
三浦悌二(帝京大学医学部衛生学教室 青葉学園短期大学)
原題:ABO血液型と出生季節との関係
掲載誌:医学と生物学・第122巻・第1号・1991年1月10日
細かい説明は省いて(って、要するに私がわからないのですが…f(^^)、まず、この論文のグラフを見てみてください。
見ればわかるとおり、学生、新生児については、明らかに差が見られます。χ2検定を行うと、確かに差があることがわかります(危険率は0.1%〜5%まで分布)。
この論文によると、出生率は、季節により大きく変動し、そのパターンは年代によってかなり急速に変化することが知られているそうです。決定的な結論は出していないものの、執筆者はその原因を(従来の社会的や気候性の要因による説明ではなく)季節や年代によって大きく変動する感染症のようなものとしています。これが正しいとすれば、環境によって血液型の分布が変わることになります。
#あるいは、性格の差が出生率の差になっているのでしょうか…。
なお、データの元となるサンプルは、老人は東京都内の老人施設から、学生は東京付近の大学・高校・中学などから、新生児は東京のある大学病院の産科からのものだそうです。
同じく帝京大学医学部による研究です。
執筆者:川名はつ子 井尾裕子 中村泉
三浦悌二(帝京大学医学部衛生学教室)
原題:ABO血液型と出生月による性比の変動
掲載誌:医学と生物学・第122巻・第4号・1991年4月10日
では、グラフを見てみましょう。
元のデータは、東京都内の献血者などから、1921−35年生まれの17,614人について調べたものです。献血者は男性の方が多いので、トータルの性比(1.524)を1として相対的な値になっています。
これまた見ればわかるとおり、明らかに差が見られます。χ2検定では、確かに差があることがわかります(危険率は同じく0.1%〜5%まで分布)。性比は、一般的には夏に高くなるそうで、ここでも同じ傾向が現れています。ただ、B型だけは例外のようです。やはりマイペースなB型なのでしょうか…。
#まさか、赤ん坊のときからマイペースとも思えませんが…(笑)。
性比は、出産年齢、出産順位、気温、季節などに影響されるのだそうです。夏は前述のとおり出生数が少ないようで、なぜかこの時期には性比が高くなっています。ただ、全部の血液型に一様に影響が現れるわけではないようです。いずれにせよ、環境と血液型に関連がある(らしい)というのは、非常に興味深いことです。