2.出逢った。


 暖かい。


何だかとっても心地いい、この感覚。

あたしが無意識にそこに顔をこすり付けると、ぎゅうって強く抱き寄せられた。


???

「っぎゃあああ!!」

乙女にあるまじき叫び声を上げて、あたしは飛び起きた。

「何、何、いったい!?ってかあんたダレ!?」

も、もしやこれが噂に聞く『行きずりの情事』とかいうものなの!?


み、見知らぬ男があたしのベッドの中にいる…。


見下ろした枕の上に載った顔はぱっちりと目が開いていて、あたしはその瞳に吸い寄せられた。黒じゃなくて、深い紺色。中に小さな星が散ってる。宇宙になんて一生行けないだろうけど、行けたら、もしかしたら、こんな景色が見れるのかもしれない−−−なんて。

それまでじいっとこっちを見ていた男が口を開いた。

「テカスキコスルチチモビュタセキキ?」

「…はい?」

「ラコスダデチョモナラセキフ…?」

「…は?」

「デモスオ!ララビットセオンル…」

「えーっと…スミマセン、私、外国語分かりまセーン」



ちっ

つられて怪しげな日本語になってしまった。

男は眉毛をハの時に下げて、困った顔をしている。

困ってるのはこっちの方だっちゅーの!

誰か通訳連れて来い!

男はキョロキョロと部屋の中を見渡した。あんまり人の家の中じっくり見ないで欲しいんだけども。ここんとこまともに掃除してないし。

ふと机の上のパソコンに目を留めると、目をきらんと輝かせた。おもむろに起き上がってそっちに向かっていく。

「ちょっと、何勝手なこと…」

パソコンを起動させて、ふんふん、と頷きながら、一体何をするのかと思えば。


コイツはあたしが苦労して配線したケーブルを抜いて、コネクタの端っこをパクンと自分の口の中に入れた。





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