第42回(皇帝と6人の子息)

 翌朝ミラがパーティーを回復する。
 エーリッヒはトッペンハイマーと、アルは父・ハルトムートと、それぞれ個人的に話をしていた。

 トッペンハイマーは、エーリッヒに渡すものがあると言う。
トッペンハイマー「エーリッヒ、この指輪を預かってほしい。これは婚約指輪のようなもので、一族と一族を結ぶ大切な指輪だ。もし私に何かがあった場合、これをタリマに渡してほしいんだ」
エーリッヒ「わかりました……もし万が一あなたに何かがあって、私からタリマに渡す時が来たら……その時に彼女へのメッセージはありますか?」
トッペンハイマー「それは考えていないが、とにかく指輪をよろしく頼む」

 一方、呼び出しを受けたアルブレヒトは、父・ハルトムートと対面していた。
ハルトムート「アルブレヒト、私は首都に向かい、大公陛下にマイバッハの件をお伝え申し上げる」
アル「……了解。で? そんなこと言うだけのためにわざわざ俺一人を呼んだのかい?」
ハルトムート「いや。お前の成長ぶりを褒めておこうと思ってな」
アル「……は?」
ハルトムート「そして、誤解を解いておこうとも思ったのだ。……アルブレヒト、家督をアルフレートに譲ったこととお前をファシリアに送ったこと、快く思ってはいないだろう?」
アル「……そりゃあ、誰だって家から厄介払いされてニコニコルンルンって訳にはいかないだろ」
ハルトムート「だがな、考えてもみろ。アルフレートはおよそ世間を渡ったり実力で居場所を切り開くなどといったことが出来る男ではない。しかし下級騎士号とはいえ、せめてデューラー家の家督を継げれば、あいつもなんとか生きてはいけるだろう」
アル「……まあ、そう言われれば、そう……かな」
ハルトムート「だがアルブレヒト、お前は違う。お前は少なくとも、戦士として兄より優れていた。母の冷淡さに耐える強さもあった。お前なら、別の場所でもしっかりと生きていける、私はそう信じた。だからどうにか、ファシリア学院への学費を捻出したんだ」
アル「……けど、爺さんの頃の身分を取り戻そうと思ったら、兄貴より……」
ハルトムート「黙って聞け。良いかアルブレヒト、お前はデューラー家のことなど気にかけなくて良い。爺さんの願いを叶えられなかったのも、母さんやアルフレートのことなどは全部私の責任だ、お前が身代わりに背負う必要はまったくない。お前はお前の幸せを追い求めろ
アル「……なんだよ、今さら……調子狂うな……」
ハルトムート「動乱の時代だ、お前も冒険者となった。次いつ、生きて会えるか知れたものではない。だから、言わねばならぬことは今の内に言っておこうと思ったまでだ」
アル「…………」
ハルトムート「話はそれだけだ。もう行っていいぞ」
アル「……俺が、洟垂れだった時、さ」
ハルトムート「ん?」
アル「父さん、言ってくれたろ? 『グラストの騎士たるもの、まずもって女性を愛せよ』って」
ハルトムート「ああ……あったな。そうだ、グラスト・ナイトとは愛する女のために身命を賭して守るところから、最終的にグラストを守れるまでに手を広げられるようになった者のことを言う。そうでなくば、守るべき民草を慈しむことなどできよう筈がないからだ」
アル「俺、どうにか命がけで守りたいって思える娘を見つけたところまでは行けた……と、思う」
ハルトムート「ほう?」
アル「グラスト騎士を名乗るつもりなんかないけど。まあ、俺は俺で何とかやっていってるから……父さんは、お袋や兄貴よりリーゼロッテ義姉さんを何とかしてやってよ。家で二番目に苦労してんの、義姉さんなんだから」
ハルトムート「ああ、出来うる限り気を配る。お前もしっかりやれ。その娘を守ってやるが良い」
アル「ああ、言われなくてもそのつもり。……元気で(まあ、ゴーレムが守ってくれる娘だけど)」

 パーティーはトッペンハイマーの館に戻り、それぞれトッペンハイマーやハルトムートと話が終わったエーリッヒとアルも合流して休息をとった。
クリス「トッペンさんのお知り合いに弓の名手はいますか? 事件がひと段落したら、弓を習いたいのですが」
トッペン「うむ、知り合いで名手がいるぞ。事件が片付いたら紹介状を書いてあげよう」
クリス「よろしくお願いします!」

 エーリッヒはイルに声かける。
 クリスもまたフェスタリアに声をかけ、この次の冒険は一緒に連れていってやろうと約束し今回は待機しているようにと指示した。
 マイバッハの屋敷までは2日かかる。
 エーリッヒは、タリマの指輪のことをパーティー全員に告げた。
 トッペンはマイバッハの館の地下道のことは知らないとのこと。
 トッペンは首都へ報告に行くため、マイバッハの館へは同行しない。
 パーティーは装備が目立たないようなマント的な変装道具を購入、行商人と護衛の戦士という格好で進む。
 変装道具と聞いて、アルが「これはナインが魔法学院の教員室から入手してきた最強の鎧だ」という触れ込みで(ナインもそれに同意)バニースーツを取り出し、エーリッヒに譲った(笑)
 クリスは魔法1つを消費(ミラーイメージを消費)し、遠話石をクリスとファルケに設定した。
 エーリッヒは雑談の最中、様々なことが自分には足りていないと "事件が終結したら学園へ連れていってほしい" と言う。

 2日ほど特に何事もなく過ぎてマイバッハの居城の城下街・ケルハムに到着。
 その間にミラがパーティーを回復し、クリスもファンタズマルフォースを覚えて魔力を補充した。
 夜になり雪が降ってきた。
 ナインはこの街の裏情報を集める。
 街中に続く道を進んだ先の小高い丘に館が見える。
 街の入口には番兵が見張りをしている。
エーリッヒ「最近ここらの治安はどうだい?」
番兵「どこそこの採掘場に盗賊団が出たそうだ」
エーリッヒ「な、なに?」
番兵「ちょうどお前らのような人数のチームらしい。リーダーは女妖術使いらしいぞ?」
エーリッヒ「賞金首になっているのかい? どこら辺を張っていれば見つけられると思う?」
番兵「そこの街道だな。盗賊団のリーダーは死霊をも操るらしいぞ。捕えたら金貨1000枚だ」
エーリッヒ「なに? なら、もし見つけたらオレの剣のサビにしてやる」
番兵「ハハハ、お前じゃ無理だと思うぞ。1人で立ち向かったら八つ裂きにされて死ぬだろうな」
 指名手配犯として、パーティーたちのイラストが出回っているようだ。
 街に入るには、足1本につき金貨1枚の通行料をとられる。
ナイン「ならばオレが潜入して情報を探してこよう。わけあり者を泊めてくれる宿を探してみる」
ミラ「そうね、それでちょっと様子をみて私たちは野営しましょう」
 ナインは2GPを払いケルハムの街に入った。
ナイン「私はミューラー商会の者だ。この街で商売をさせてほしい」
番兵「それなら組合に行くといいぞ」
ナイン「商人の組合かな?」
番兵「商人ギルドへ行き申請するんだ。オレには詳しく分からないが、最終的にはマイバッハ様の承認を得る必要がある」
ナイン「それと仲間が何人かいるのだが宿はとれるかな?」
番兵「あぁ、特に問題ないと思うぞ。だがここで商売するなら、最近でる盗賊団に気を付けた方がいい」
ナイン「賭博場のようなものはあるか?」
番兵「あぁ、立ち飲み屋にあるぞ」
ナイン「そうか、いろいろありがとう(銀貨を3枚ほど渡した)」
 ナインは立ち飲み屋に入る。
ナイン「この街に仕事はあるか?」
主人「だったら、強い酒はやめておきな」
ナイン「この辺に気軽に泊まれる宿はあるか?」
主人「なくはないが、割高だぞ」
ナイン「いくらだ?」
主人「1人につき金貨5枚。ただし、どんなヤツでも泊まれるが通報はしない。それに最近は賊の噂が絶えない。お前も血を吸われるぞ?」
ナイン「マイバッハと何か関係が?」
主人「それはないと思うが……分からないところもある。ここらは夜は1人でフラフラ歩かないが、健康な人間が狙われているんだ」

 ナインは教えてもらった廃屋亭という宿に向かった。ボロくて悪臭のただよう宿。
主人「おや客かい? 泊まりかい? 1人につき金貨5枚だよ」
 ナインは盗賊的な合図を使ってみるが、主人は分からないようだ。
主人「3階の奥の大部屋だ。他に客はいないから好きに使いな」
ナイン「最近、商売の方はどうだい?」
主人「ここはワケありの者しか来ん。ここでは他の客について何も語ってはならん。例え1000GPの賞金首だったとしてもな」
ナイン「最近ここらであった噂話とか面白いネタはあるか?」
主人「そうだな、ノドまで出かかっているが……」
ナイン「ならば、そのノドを潤してこい(金貨2枚を渡す)」
主人「最近ここらで吸血鬼が出る。もっとも夜は誰も出歩かんがな」
ナイン「実はオレは以前にヴァンパイアを倒したことがある」
主人「ハハハハ、そんなことは信じられんね。だが本当なら狙われているだろうな」
ナイン「おっと、ここの宿では客の詮索は無用なのだろ?」
主人「そうだったな」
ナイン「ここの領主はどんなヤツだ?」
主人「マイバッハだな、あまりいい評判は無い。所詮ヤツは金で地位を買い取った騎士だからな」
ナイン「領主を慕っている民は多いのか?」
主人「支持率は相当低いな。税金ばかり取りよる」
ナイン「その政権を倒そうというレジスタンスはいるか?」
主人「いや、いないな」
ナイン「そうか、分かった。いろいろありがとよ」

 ナインはヒアノイズを使い、街中の音や声を聞く。
 すると川の反対側からガラスの割れる音などが聞こえ、税金の高さに民衆は不満を抱えているようだ。

 ファルケは館の周辺までグリフォンで飛び、堀や橋の下のダンジョンを確認にしいく。
 見張りの兵士や館の外観を調べた。兵士は1人だけだったのでグリフォンで特攻して襲撃!
 あっけなくトドメを刺しすと、すぐさま堀へ滑空しダンジョンの入り口を見に行った。
 格子がかかっている入り口を発見し、長居せずに飛び去ったが、番兵に見つかったのか警報を鳴らされてしまった。
 ファルケは森にグリフォンをとめ、徒歩でキャンプ場へ向かう。
ミラ「どうだった?」
ファルケ「入り口には格子がかかっていて、人が入るには外すなりしないとムリそうだ」
ミラ「どこかにスイッチがあるのかな?」
ファルケ「壊す手もあるぞ」
 キャンプではアルとオッティがシチューを作って振る舞う。アルの調子が良かったらしく、物凄く美味しかった(笑)
エーリッヒ「アル、これも学園で習ったのかい?」
アル「普通は習わないけど、俺は食堂の給食のオバちゃんに頼み込んで教えてもらった」
エーリッヒ「そうか、宿の経営についても学園で学びたいな」
アル「……冒険者学院にそれ主目的に学びに行くの違くね?

 翌朝ナインが合流し、手に入れた情報をパーティーに話す。
 街では昨晩の館の襲撃事件の噂が広まっていた。
 エーリッヒはどさくさに紛れて "ドラゴンライダーは吸血鬼らしいぜ" "襲撃犯は女が5人、男が2人だったらしいぜ" などと偽の情報を流した。

 夜になったら潜入しようということで、昼間のうちに森の中に潜み様子をうかがいつつ作戦を練る。
 オッティにノックの魔法を覚えてもらい、格子に試してみようということに。
 クリスはグリフォンに触って暖をとりながらグリフォンを隅々まで観察する。
 作戦はファルケがグリフォンで上空を飛び、去ったと同時にクリスがファンタズマルフォースでグリフォンの幻影を作り出し、その間に潜入する。
 何事もなく夜になった。夜になると橋や館の周辺で番兵が警戒をはじめる。

オッティの魔法:スリープ、ホールドポータル、ノック、ウェブ、ディスベルマジック

 ファルケがグリフォンに乗り、塀の上の番兵2人をひっかけて飛び去る!
 オッティがスリープをかけ門番2人を眠らせる! その隙に橋にダッシュで移動し堀の下へ降りる準備!
 次のラウンドでナインから順番に堀の下へと降りる!(クライミングロープを使用)
 ファルケのタイミングに合わせてクリスがファンタズマルフォースでグリフォンの幻影を出す!(遠話石で合図してもらいタイミングを合わせた)
 オッティがノックの魔法で鉄格子の鍵を開ける! エーリッヒが降りて "さぁミラ、降りておいで!" と両手を広げるがミラは拒否(笑)
 敵側の攻撃でグリフォンの幻影が射撃され消されてしまった! しかし格子は開き、順番に堀を降りて、ファルケも戻ってきてパーティーはものの2分ほどで地下道に潜入成功。
 ミラが明かりをつけると、奥にゾンビの番犬が2匹待ち構えていた!
 エーリッヒは "淑女を守るのは騎士のたしなみ!" とミラを守るように身を挺して前衛に立った。
 ミラはターンアンデッドを試みる! 1匹を退治成功!
 2匹目にエーリッヒが大ダメージを与える! ミラが再びターンアンデッドで2匹目も成功!


 パーティーは警戒しつつ前進。しばらく進むとT字路で人のようなものが引っかかっているのが見えた。
 近づくと、やはり人が倒れている。ナインとミラが近づいて様子を見ると人間の死体だった。食われたような感じだが非常に新しい死体で、身なりが良さそうだ。
 ナインが顔を見ると、街で出会った商人だと分かった。首筋に2本の傷跡が確認できた。ミラはお祈りを捧げる。
 手がかりを探すために死体を調べると、メモ紙と商売の許可証が出てきた。武器と穀物を取り扱っていたようだ。ラーデン出身で名前はモリー・スクランバー。許可証の日付は今日になっている。
 右の奥から物音が聞こえ "餌だぞ、さぁ食え。臭ぇ臭ぇ" と何かを投げ落としてまた閉じられた。
 パーティーは音のした方へと行ってみると、ヘッドドレス(頭飾り)が流れてきた。
 っというところでゾンビ犬が4匹登場! すかさずミラがターンアンデッド!
 エーリッヒが一撃で1匹をブッた斬って討伐! オッティの目の前まで番犬が迫っているのでクリスがウェブで2体を止める!
 次のラウンドも総攻撃を仕掛け4体すべてを撃破!


 先ほどのヘッドドレスを着けていたであろう人の様子を見に行くと、メイドの格好をした女性だった。
 ミラが天井を見ると15フィート上空に格子の落とし戸が見えた。
 メイドさんはまだ生きていたのでミラが回復してあげる。
アル「大丈夫ですか?」
看守「なんだ? まだ生きているのか?」
 と声が聞こえたので慌てて明かりを消して闇に潜む。
看守「もう流れていったか。まぁ、口封じとはいえ可哀想なことをしたな。やれやれ、こんな仕事つらいぜ」
アル「……バレなかったみたいだね。やれやれ」
ミラ「よくご無事でしたね(首元を見るが傷跡は無い)」
アル「お名前は?」
メイド「アグネシアと申します」
アル「どうして落とされたのですか?」
アグネシア「そうだ、早く大公様に伝えなければ……ここの領主様は吸血鬼なんです」
ミラ「私たちはその情報を知って調べに来たの。トッペンハイマーさんに依頼されてね」
アグネシア「はっ、そうでしたか。貴族の方でしたか」
エーリッヒ「貴族は私だけだ」
アル「……ご先祖様が、だろう」
ミラ「私たちは冒険者よ」
アグネシア「この館は吸血鬼だらけです。領主様は自分を皇帝と名乗り始めました。どこからか来た者たちは皇帝と呼んでいます。早く伝えなければ。彼らは傭兵連合から来たんです。モリーさんの首に牙を立てて血を吸ったのです」
アル「モリーさんって……」
ミラ「あの人?(と、先ほどの食べられた死体を指差す)」
アグネシア「ひ、ひ~……!(死体を見て気絶)」

 ナインは天井の落とし戸にクライミングロープを投げ、聞き耳を立てるが何も聞こえない。
 気絶したアグネシアを起こす。
 別の通路へと進んでいくと、正面にシークレットドアがありそうな壁を発見。

エーリッヒ「マイバッハに嫁いだトッペンハイマー様の妹は今どうしていますか?」
アグネシア「奥方様のことは噂話でしか知りません。最近、姿を見ていないのです」
エーリッヒ「悪い噂は聞いてないのかい?」
アグネシア「奥方様のお話は誰もいたしません……それとマイバッハ卿のお父上の最期はあまりよいものではなかったようです。今のヴァンパイア……いやマイバッハ様が父上を手にかけたとの噂です」
クリス「ヴァンパイアは何体ぐらいいましたか?」
アグネシア「皇帝の子供と呼ばれているのは6人います。1人は娘でした。あ、皇帝はヴァンパイアにした者を子息と呼んでいました。もう1つ秘密があるんです。子息たちにも2つの派閥があって……3人と3人は仲良くないのです」
アル「吸血鬼にも派閥あるんだ……」
 エーリッヒがシークレットドアを探し当てた。
アグネシア「さすが貴族様ですね」
エーリッヒ「まぁね♪」
アグネシア「あなたはどのぐらいの領土の貴族様なんですか?」
ファルケ「宿1軒分だろ?」
アル「元は大変な貴族さんの末裔です。が、今は落ちぶれて一宿屋の息子さんです。そうだよね?」
エーリッヒ「あ~! あ~! あ~!(マイナスな情報をかき消してゴマかす)」
アグネシア「……他にこの中に貴族様はいらっしゃるの?」
アル「なんでそんなことを聞くの? まずはここから生きて戻らないとね」
アグネシア「生きて返してくれるの? 本当に? ならここにサインして!」
 などとしつこくパーティー全員に迫し、面倒なのでクリスがサインした。

 先の扉を調べるとナインが天井のトラップを発見。巨大な岩の塊が落ちてくるようだ。
 天井の罠を巧く解除しなければ先に進めないようだ。
 ファルケのアイデアで天井の仕掛けにウェブをかけ、ナインが罠解除を試みる!
エーリッヒ「見てごらん、あの手捌き。ナインもまた貴族だよ」
アグネシア「え? そうなんですか!?」
ファルケ「だがナインはもう結婚しているがな」
アグネシア「うう……」

 すると奥から冷たい風が流れてきて、ここから先の地面は乾いた土になっていて棺がいくつも並んでいた!
 そして暗闇から赤い点々が4~6個見えた(人間の目の位置よりも低い)

経験点:次回にもらえる(前々回と前回と合わせて)
終了時のゲーム時間:1994/13/10