第3回(殺人鬼)
神聖暦1993年12月1日 ネールラント連邦

ピューリー・ケルトヤカン
 ピューリーは、ネールラントはハーフリング氏族の一里長・ミキサーラ一族の遠縁にあたるもので、住まいもミキサーラ一族と同じくしていた。
 ピューリーの日課は日々の食材購入・運搬。その日も朝早く市場に赴き、行きつけのパン屋のおばさんにパンを求める。
おばちゃん「お、ピューリー今日も早いね。パンはいつもと同じでいいんだね?」
ピューリー「ああ」
おばちゃん「しかし怖いねー。聞いたかい? 最近、無差別殺人を行う狂人が出歩いてるんだってさ。こういうのは美人が狙われるのが常だから、私も気をつけないとねー!」
ピューリー「……そうだな」
 おばちゃんに調子を合わせつつ、パンを購入し市場を後にするピューリー。
 ミキサーラ邸に戻ると、パンを調理室に収めて母親に一族の食事を作ってもらう。
 しばらくして朝食タイム。食堂では、ミキサーラ氏族の姫君(?)ノーダがいつも通り元気一杯だった。
ノーダ「聞いた、ピューリー? 巷では最近、殺人鬼が徘徊して無差別に人を殺してるんだって!」
ピューリー「聞いた」
ノーダ「怖いねー。こーゆーのは美人が狙われるのが常だから、私も気をつけないとねー!」
ピューリー「……………」
 奇しくも市場のおばちゃんと同じことを言うノーダに、ピューリーは呆れた(笑)


 ピューリーは自室で寝る準備に入っていると、扉が乱暴に叩かれる。

ノーダ「ピューリー起きてるー?」

 お転婆姫か……そう思うとピューリーは、これから寝る前ということもあって面倒になり、爆睡のフリをして無視を決め込む。
 しばらく扉を叩いていたが、ピューリーが出ないと悟ると「チェ、使えないー」と呟いて扉の前から去っていった。
 ピューリーは安心してそのまま眠りについた。

翌日、12月2日
 朝、いつも通り早起きして市場に向かうと、パン屋のおばさんから妙な顔で出迎えられる。
ピューリー「どうかしたか?」
おばさん「ピューリー……いいかい、強く生きるんだよ。これはサービスだ」

 と、パンをくれるおばさん。
 意味不明ながらも、ただならありがたいともらっておくピューリー。
 パンをもらったピューリーは、そのままミキサーラ邸へと帰還した。

  ミキサーラ邸
 無料パンを抱えて意気揚々と帰宅するピューリー、しかし普段ならもう誰かしら置きだしてきているのに、今日は誰もまだ起きていない。
 だらけてるなと思いつつ、ピューリーはパンを食堂に届けた後に自分の部屋に戻る。
 しばらく待ったが、いつまで経っても誰も起きてくる気配はない。いや、むしろ今ミキサーラ邸には誰もいない……?
 そう思い、部屋を出たちようどその時にピューリーの母親の声が聞こえた。ただし、いつものように食堂からではなく、玄関から。
ピューリーの母「ピューリー、ピューリー、帰ってきた?」
 急ぎ玄関に向かうピューリー。そこでピューリーが見たものは、いつもの私服ではなく、喪服に身を包んだ母の姿だった。
ピューリー「母さん、いったいどうしたんだ?」
ピューリーの母「ピューリー……気を確かに聞いて。お嬢様が……ノーダお嬢様が、今、世間を騒がせている殺人鬼に殺害されてしまったのよ」

 その言葉を、ピューリーはすぐには理解できなかった。
 ノーダが殺された? あのジャガーノートで挽いても死にそうになかったじゃじゃ馬が?
 母の言葉をようやく理性が受け入れると、信じられない気持ちはそのままにピューリーは自身も喪服に着替え、母に連れられ教会に。
 そこから3日3晩、ミキサーラ氏族のハーフリングたちに見送られながらノーダの葬儀が行われた。ただし死体は惨殺された無残なものとのことで、最後の姿を見送ることも出来なかった。
 慌しい数日を過ごした後、ようやく落ち着き、かつ空虚な時間が訪れる。ノーダのいないこれからは、かなり静かな日常になりそうだ……そんなことを考えつつ、ピューリーは日常に戻ろうとした。
 しかし、運命(という名のシナリオ)は、さらなる悲劇をピューリーに用意していた……

12月6日、夜
 ノーダのいなかった1日。静かというにも静か過ぎた1日に、これからの日々ずっとこうなのかと戸惑いながら眠りにつくピューリー。
 しかし深夜、何者かの気配がミキサーラ邸に侵入したように感じて、ピューリーは目を覚ました。
 こんな時間に侵入してくる者が、まっとうであろう筈もない。ピューリーは自室で気配を殺しながら、侵入者の気配を探ることにした。
 部屋の中にいては、細かい気配が分かる筈もない。しかし何者かの気配が屋敷から出たか出ないかくらいは分かる。1ターンほど隠れていたが、屋敷内を右往左往し出て行く気配を見せない侵入者に、ピューリーは覚悟を決めて廊下へと出た。
 相手の気配を探りながら、屋敷の中を移動するピューリー。自室のある階には賊はいない、と別の階に移動すべく階段を上ると……
 そこに、月明かりを背に受けて立つ一人の皮鎧姿の男があった。
ピューリーPL「深夜、明かりのつかない家屋。月明かりは背を照らしているのみ。で、なぜ男と分かるんですか?」
DM「……………そういや何でだろうね? んー、月明かりで顔が見えたことにしよう」

 PLから鋭い指摘があったため細部が変更(笑)、月明かりの中、血に濡れたダガーを手に恍惚とした笑みを浮かべた皮鎧の男が、階段上からピューリーを見下ろしていた。
 
「つまらない。シェリフと言えどもつまらなかった。……お前、ピューリーか?」
ピューリー「……そうだとしたら?」
「先日バラした姫様が言っていた。ピューリーは強い、と。自分など比べるべくもない、と。……見せてくれ、お前の実力。楽しませてくれ、お前の命で!」

 凶賊が問答無用で襲い掛かってくる。戦闘!
 しかし、その実力差は歴然としていた。あっさりと倒されるピューリー。  
「ダメだ……ダメだ、ダメだダメだダメだダメだダメだ! お前、本当にピューリーか? てんで弱いじゃないか……これなら、あの姫様の方がマシだった」
 何を言われても、もはや返答できる状態ではないピューリー。薄れ行く意識の中、自分を見下ろしてくる相手を睨み返すのみ。
「ガッカリだ……俺は期待を裏切られるのが一番嫌いなんだ……だからお前、強くなれ。一年間、時間をやるよ。一年経ったら迎えに行く……だから強くなれ。必死になって強くなれ。その時は、俺の期待を裏切ってくれるなよ、ピューリー……」
 瀕死のピューリー、力を振り絞って相手の名前を聞く。すると、
「セブン……」

 そう相手が答えたか答えないかというところで、ついに意識が途絶える。

 次に目覚めた時、ピューリーは教会の集中施療室にいた。
 ここはあの世か、一瞬そう思いつつもすぐに自分が動けることに気づき、ベッドから這い出て教会の中を歩き回るピューリー。
 やがて神官と出会い、自分や周囲がどんな状況だったのかを聞き出せた。

◇ピューリーは瀕死だったが、それは血が足りなくなっていただけで大切な臓器などには一切ダメージはなく、呪文も用いたため蘇生は楽だった
◇ピューリーの家族、ミキサーラ一族は、残念ながら全員惨殺されていた
◇犯人は十中八九、巷を騒がせている殺人鬼であろうということ
◇これから葬儀やら施療に掛かった呪文費やらで大変になるが、それはミキサーラ一族の資産で賄われるであろうからたぶん大丈夫であること

 以上のことを聞き出せたピューリーは、後は氏族の仲間たちの協力を得て自分とミキサーラ一家の葬儀と遺産相続などを済ませる。
 その際、ミキサーラ邸はネールラントの自治体に「調査」の名目で差し押さえられたが、、ピューリーが唯一の生存者であると分かると特別に最後、家を捜査することを許された。

 その際、ピューリーはノーダの部屋から豊饒祭の露店でプレゼントした指輪(おもちゃ)、手投げ槍の名手だった父の部屋からジャベリンを入手した。
ピューリー「……形見になってしまったな」

 おもちゃの指輪を見て、一人ピューリーは呟いた。

酒場にて
 1年の間に強くなる――見逃されたピューリーは、強くなるためにはどうしたら良いかと思案し、結果冒険者という回答にたどり着く。
 実際に冒険者になるかどうかはともかく、冒険者というものがどのようなものなのかを知るのは強くなるのに有益だと判断。ピューリーはネールラントで冒険者が集う酒場『朝焼け亭』に足を運んだ。
 そこで酒場の親父と会話を始めると、まずは親父の若かりし頃の武勇伝を聞かされる。適当に聞き流した後に色々と話すと、セブンという名に反応する親父。
ピューリー「知っているなら教えて欲しい」
親父「確かな情報でなし、ヘタなことを言ってお前を惑わせたくない」
ピューリー「そういえば殺人鬼は次の標的は朝焼け亭の親父だと言っていたらしいな。昔の武勇伝に恥じぬよう、せいぜい頑張ってくれ」
親父「じょ、じょじょじょ冗談だよなっ?」
ピューリー「確かな情報でなし、ヘタなことを言って惑わせたくない」
親父「いや、若い頃なら殺人鬼なんて返り討ちなんだがよぅ……」
 という親父、しかしなにやらソワソワが止まらない(笑)
親父「そ、そうだお客さん、何か飲むかい? 奢るぜ!」
ピューリー「ではロイヤルワインをいただこうか」
 一本数百ゴールドはしようというバカ高い酒を所望してきたピューリーに、
親父「このクソガキャァァァァァっ!」
 という顔をしつつも歯を食いしばって用意する親父(笑)
そこで改めて自分の家族が殺人鬼に一家惨殺されたこと、殺人鬼の名がセブンというらしいこと、そのセブンに自分も狙われていること、セブンが猛者と戦うことを楽しんでいる様子であったことを教える。
親父「なに!? するとお前、いま話題になってるミキサーラ一族縁のもんか。もしかして、一人生き残ったとか言うハーフリングか!?」
ピューリー「そうだ」
親父「……もう一杯奢りだ。まあ飲め。で、さっきの話だが、あれは別に勿体つけた訳じゃなくて、本当に不確かな情報ってだけなんだがな。ここネールラントより南方、ルーベリア傭兵連合で、コードメンバーだけで呼び合う集団があると聞いた。セブンっていったら数字の7だろう? もしかしたら関連あるんじゃないかと、そう思っただけなんだ。俺も詳しくは知らないが、その集団はダスライヒと言い、いつくかの傭兵団と結託しているとかいないとか」
 親父も酒場のマスターとして客から又聞きの又聞きしたくらいのものなので、確かなことは言いようがないという。
ピューリー「では話を変えて。親父、強くなるにはどうしたら良い?」
親父「それはやっぱり、冒険者になるのが一番早いだろうな。しかし正直、金じゃなく強さが目的ならここネールラントで冒険者をしていてもなかなか強くはなれん。ここは人間と亜人間が集う都市、治安は良いが逆に言えば荒事が少ないんだ」
ピューリー「ではどこで冒険者になれば強くなれる?」
親父「それは常に戦いに駆り出される傭兵連合か、さもなくばリザードマンとの抗争が激しいレティシアだろうな」

 と聞き、ピューリーは必要な情報は得た、と親父に礼を述べて酒場を後にするのだった。

 以後、まずは傭兵連合に赴き傭兵の仕事をしてみたが、面倒臭いことが嫌いなピューリーには傭兵の規律が性に合わず、一回コボルドの残党を退治するミッションに参加してすぐに離脱。
 そうしてピューリーは、レティシア王都シャンブルクへとやってきたのだった。

今回の経験:200点
今回の報酬:なし
終了時のゲーム時間:1994/02/04