こころのせかい

あるはれた秋の日,たれみみうさぎさんは,空を見上げて,かんがえました.なんて空は青くてひろいんだ.秋の木は,あかやきいろに,なんてカラフルなんだ.

それにくらべて,わたしはちっぽけ?でも,わたしの心の中には,青い空も秋の木々も,みんなすっぽり入ってしまう.夏のにゅうどう雲だって,きのう食べた大根やかぼちゃの,形や味.このあいだ読んだ本の中の世界.みんなすっぽり,私の心の中に,はいってしまう.私の心の中は,なんてひろいんだ.

すると,それを聞いていた,きいろきつねさんが言いました.「ほんとかな?どうやって,それを証明するつもりだい?」そこで,たれみみうさぎさんは,考えました.しばらく考えた後,「そうだ,絵にかいて見せればいいんだ.」たれみみうさぎさんは,自分の心の中にはいっている秋の木々の絵を,赤や茶色のクレパスでかきました.

するとそれを見ていたまめだぬきくんが,「あっ,ぼくの心の中にはいっている秋の木は,黄色いよ」と言って,大きないちょうの木の絵をかきました.

やまねのぐーたくんもやってきて,「ぼくの心の中にはいっている,秋の木は,赤い実がいっぱいなって,おいしい白い花がさいているよ.」と言って,おいしかった白い花と,赤やオレンジ色や草色の葉っぱがついていて,ちいさい赤い実がたれさがっている秋の木のえだをかきました.

それを見ていたきいろきつねさんは,「ふーん,同じ秋の空や,木々を見ていても,みんなの心の中の世界では,それぞれすこしずつちがうんだなあ.じゃあ,ぼくは絵はにがてだから,」と言って,葉っぱをくわえて,草笛をふきだしました.「ぼくの心の中に入っている,秋の木々を見ると心からわき出すかなしい日のことだよ.」みんなは,その草笛をきくと,それぞれの心の中に,その悲しい日の心が入ってきて悲しくなりました.

まめだぬきくんは,「よしっ」と言って,「楽しくて元気な,秋のえんそくの日のうただよ」.
ぽんぽこぽんぽこ,はらずつみをうちながら,こえを上げて歌いました.

♪ あきのすすきと,
♪ りんどうのはな
♪ おちばかさこそ
♪ えんそくのひ
♪ もりをあるけば
♪ とりがなく
♪ みんなであつめた
♪ ドングリの実
たれみみうさぎさんも,やまねのぐーたくんも,どんぐりの森を心の中からひっぱりだして,それぞれクレヨンでかきました.きいろきつねさんは,草笛でえんそくの日の心をふきました.

空では,太陽が,西の空にかたむいて,秋の木々も木の葉もくさも,みんなのすがたも,そしてみんなのこころも,まっかないろにそめあげました.


(C) 2007.1.1 みすず絵画教室主宰  藤森陽子