13 小児救急に関するアンケート(平成12年7月集計)

 インフルエンザ・脳症親の会『小さないのち』の会報「こころの扉」より抜粋。

5月末現在でご回答いただいた118例を集計し報告いたします。

<総回答数>

  男    女   性別不明   合計
 57例  59例    2例   118例

 死亡及び後遺症はともに59例

 

<年齢別発症数(有効回答116例、年齢・性別不明の2例は除く)>

         死亡   後遺症
 年齢    男  女  男  女  合計
 0      1      6  4   11
 1      5  10   7  5   27
 2      8   7   6  8   29
 3      6   6   2  3   17
 4      3   3      2    8
 5          4  1       5
 6      1   1   2       4
 7          1   1       2
 8      1      5  2    8
 9             1       1
10
11〜15      1     2    3
16〜19
20〜     1             1
 合計   26  33 31 26  116

 

 右図は名古屋大学医学部保健学科 森島氏らによる「インフルエンザに合併する脳炎・脳症に関する全国調査」から抜粋しました。

 今回のアンケートも同様の形状を示す事がわかります。

 

<最終診断名(回答数118例)>

診断名                      死亡 後遺症 合計
インフルエンザウイルスによる脳炎・脳症  26   27  53
同ウイルスによる脳炎・脳症の疑い       7    5  12
同ウイルスなどによるライ症候群        3    2   5
細菌性髄膜炎                   2    2   4
単純ヘルペスウイルスによる脳炎            5   5
ロタウイルスによる脳症              2        2
RSウイルスによる脳症                  1   1
麻疹ウイルスによる脳症             1       1
突発性発疹による脳症              1   2   3
その他原因による脳炎・脳症               2   2
原因不明の脳炎・脳症             17   13  30

 

<容態が急変する前に気付いた事(複数回答)>

症状等          回答数
特に無い(未記入)    22
悪寒・震え         10
発熱 37度〜(微熱) 8( 3)※
    38度〜       10
    39度〜(高熱) 23(11)※
    詳細不明      14
発熱なし           5
食欲 有           7
食欲 無          10
下痢              6
頭痛              4
腹痛              2
熱が下がらない       8
けいれん           6
嘔吐・吐気         20
ぜん息            3
ぐったり           16
くしゃみ・鼻水        4
ぐずる・泣き止まない   10
せき              5
機嫌は良い        15
はしか            1
異常行動         16

※回答の表記がまちまちなため、微熱は37度台、高熱は39度以上として分類。

 回答数は○人中カッコ内数字○人が微熱または高熱と表記しています。

 「特に無い」との回答には普通のカゼ症状で特記する症状が無いというのも含まれます。

 総回答数に占める各症状の割合から、発熱だけが特に大きな数値を示す事がわかります。

 なお、この時点ではその後の急変はまったく予想できないと思われます。

 

<急変前の医療機関受診(有効回答41例)>

小児科医院・診療所 20
入院中          2
夜間救急外来      1
小児科以外の医院   1
総合病院・個人病院  7
不明(未記入)      6

<急変前の診断(有効回答41例)>

カゼ        13
突発性発熱    1
インフルエンザ  4
肝機能障害    1
ぜん息       4
不明(未記入) 18

 回答文から急変前に医療機関を受診したと記載のあったものについて集計しました。

 有効回答としたものは半数以下の41例でしたので再調査の必要がありますが、この時点で医師の監視下に置かれたケースは肝機能障害の1例だけでした。(入院中を除く)

 

<異変に気付くきっかけ(複数回答)>

症状    回答数
けいれん   78
嘔吐      22
下痢       4
いびき      2
意識障害   57
チアノーゼ   10
泣く        3
腹痛       2
高熱      48
ぐったり     7
失禁       2
心停止      2

 

<意識障害の中に見られた具体例>

・ 呼びかけに対し無反応
・ 異常な首振り
・ 体の一部が不自然な動きをした
・ 枕を頭に打ち付けた
・ 急に暴れ出した
・ ふらつく、目が回る
・ 目つきがおかしい
・ 白目、眼球上転
・ 目を見開く
・ 口から泡を吹く
・ 舌を出したり、ペロペロさせた
・ いびき
・意味不明な言動
・言葉にならないうめき声をあげた
・ 奇声を発した
・ 覚えた言葉を繰り返し言う
・ 突然歌を歌い出した
・ 幻想的な言葉を発した
・ ろれつが回らない
・ うわ言を言う
・ 耳が聞こえにくくなった

 異変に気付くきっかけとしては、けいれん・意識障害・高熱が圧倒的多数を占めています。

 

<急変後の搬送手段及び転送回数>

1ヶ所目(回答数118例)

        死亡 後遺症 合計  %
救急車     27  29   56  47
自家用車   19  15   34  29
タクシー等    3   3    6   5
徒歩・自転車   1   2    3   3
不明・入院中   9  10   19  16

2ヶ所目・転送1回(回答数68例)

        死亡 後遺症 合計  %
救急車     26  24   50  74
自家用車     4   4    8  12
徒歩           1    1   1
不明        4   5    9  13

3ヶ所目・転送2回(回答数16例)

        死亡 後遺症 合計
救急車      4  10   14
不明        1   1    2

4ヶ所目・転送3回(回答数1例)

        死亡 後遺症 合計
救急車          1    1

 急変直後の搬送手段は「救急車を呼ぶより早い」「救急車を呼ぶのに躊躇した」「医療機関からの帰宅途中」等様々な理由から救急車の出動は50%以下となりました。

 中には医療機関側から「救急車では来ないでくれ」といったケースもあり驚かされました。

 医療機関収容後の処置については、救急車のほうが他と比べてスムーズに処置が開始されていますが、全てではありません。

 2ヶ所目への搬送方法は救急車がほとんどで、医師同伴のケースも相当数ありましたが、自家用車の中には「医療機関で救急車を呼んでもらえなかった」という例もありました。

 また、徒歩については隣接した建物で連絡通路があるにもかかわらず、一旦屋外に出て表玄関に回らされたというケースです。

 

<急変後の最初の診断名(回答数118例)>

診断名      死亡 後遺症 合計
急性脳炎・脳症  4    6   10
同上の疑い    5    5   10
熱性けいれん  16   22   38
けいれん重積   2    5    7
かぜ         9    1   10
インフルエンザ   1    2    3
髄膜炎            4    4
てんかん          2    2
脳ヘルニア     1        1
ライ症候群     1    1    2
その他疾患    3    3    6
心配無し      3    4    7
原因不明     4    2    6
詳細不明     10    2   12

 この時点でも緊急を要する事態と診断されたのは全体の30%程度にしか過ぎません。

 しかし、下表では急変後2日以内の死亡は50%近くに達しています。

 

<急変から死亡までの期間(回答数死亡59例)>

0〜6時間   9
7〜12時間  8
13〜18時間 5
19〜24時間 1
2日目     5
3日目     4
4日目     3
5日目     1
6日目
7日目     1
8日目     2
9日目     1
10日目    3
11〜30日目 5
2ヶ月目    7
3ヶ月目    1
4ヶ月以上  3

 今回の調査を集計するにあたり、出来る限り数字として表してみましたが、回答用紙が記述式であったため、記載がなくカウントできなかった例、集計者の捉え方により左右された例など、データとしては不充分なものかも知れません。

 しかし、カゼ様症状から急変し重篤な状態に至るまでの経緯は大筋でつかめたと思います。

 そして、この病気の発見の難しさを改めて感じるとともに、それぞれの場面での認識不足というものを感じました。

 この事から、私達の経験を通じ問題提起をしていくことが必要だと思います。

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15 脳炎・髄膜炎とてんかん(2000年8月号掲載)

 日本てんかん協会会報 月刊「波」2000年8月号より抜粋。

国立療養所西新潟中央病院 金澤 治

1.中枢神経系の感染症に伴う早期けいれんと晩期てんかん

 中枢神経系の感染症に伴うけいれんについても、外傷性てんかんの分類とほぼ同様に、早期けいれん(感染症の急性期4週以内におこる一過性のもの)と晩期てんかん(感染症の急性期経過後1カ月以降に発症する真のてんかん)とを区別する必要があると思われる。

 これは、急性期の細菌やウイルスそのものの毒性などによる反応としての一過性の「けいれん」と、その後の回復期における脳の微細な傷跡(瘢痕)やアレルギー性などの機序によって引き起こされる慢性化したけいれん、すなわち「てんかん」とを治療の観点から区別する必要がある訳で、大まかには頭部外傷によるけいれんと同様に扱えることになるからである。

2.てんかんの原因としての中枢神経系感染症

 小児と成人とを全て含めたてんかんの原因のうち、1〜5%が中枢神経系の感染症に因るといわれる。

 中枢神経系の感染症の発症頻度は小児期で最も多いが、若い成人でもよくみられる。

 各年齢別にみても、35歳頃までに発症するてんかんの原因の10%以上が中枢神経系の感染症に因るといわれ、とりわけ乳幼児期に罹患した感染症に因ることが多い。

 中枢神経系感染症の既往を持つ人がてんかんを発症する危険性は、一般の人達の3倍程になるといわれる。

 このてんかんの発症のみに関する危険性の強さは、感染症に罹患した年齢には無関係で、主に感染症の種類や早期けいれんの有無と関連しているという。

 粟屋らによれば、脳炎・脳症の16%以上にてんかんが合併し、内3〜8割が難治であったという。

 急性期のけいれんの有無、特にけいれん重延状態の有無がてんかん発症に関連しているという。

 また、脳炎・脳症の罹患からてんかん発症までの潜伏期はほとんどが半年以内であったという。

3.脳炎・髄膜炎におけるてんかん発症の危険性

 一般的に無菌性髄膜炎では、てんかんの発症する明確な危険性の増大はないという。

 しかし、細菌性の髄膜炎ではその危険性が5倍に跳ね上がる。

 たいていの場合、てんかんの発症は感染の2年以内である。

 中等度の頭部外傷の場合と同様、てんかん発症の危険性はほぼ5年以内に限られるという。

 ウイルス性脳炎では、てんかん発症の危険性は一般の10倍にも達する。

 この危険性は少なくとも感染後15年は続くといわれる。

 早期けいれんがみられた脳炎の患者さんでは、てんかん発症の危険性が5年以内では10%、20年以内では22%もあるという。

 早期けいれんがみられなかった脳炎後の患者さんでは、20年以内のてんかん発症の危険性は10%という。

 細菌性髄膜炎で、20年以内のてんかん発症の危険性は、早期けいれんをみた例では13%で、早期けいれんをみなかった例では2%といわれる。

4.無菌性髄膜炎と急性期のけいれん

 髄膜炎の三大臨床徴候は、発熱、頭痛、悪心・嘔吐であるが、髄膜炎のみではけいれんを来すことはないという。

 ムンプスウイルスやエコーウイルスなどによる髄膜炎でけいれんを来した場合、「髄膜脳炎」によるものか、単に発熱によってのみ引き起こされた熱性けいれんなのかが問題になる。

 特にムンプスの場合は単に髄膜炎のみと考えずに「髄膜脳炎」と考えることが妥当とされ、約3%程にけいれんがみられるという。

5.細菌性髄膜炎と急性期のけいれん

 けいれんの全体的な頻度は30%程という。

 細かくみると、急性期のけいれんを、入院までのより早期のものと、その後に起こるものとに分ける方がよいといわれる。

 前者は、持続時間が短い全身性、もしくは多焦点性で、「中毒性脳症」といわれるものである。

 後者は、これと対照的に入院後2〜3日で起こり、比較的長く、繰り返して起こる焦点性発作である。

 これは脳血管障害、すなわち血管炎と関連した静脈・動脈性の血栓症か塞栓によるものと考えられる。

 原因菌別のけいれん頻度は、インフルエンザ菌では44%、肺炎双球菌では25%、髄膜炎菌では10%、連鎖状球菌では78%である。

 新生児の髄膜炎は特異的な臨床症状に乏しいことが多く、むしろけいれんの頻度は低い。

 細菌性髄膜炎の場合、硬膜下水腫、水頭症、広汎な脳血管障害などがみられると、後遺症としててんかんが生じやすい。

6.急性ウイルス性脳炎

 麻疹、水痘、風疹などの発疹性疾患感染後の脳炎は、別名アレルギー性脳炎あるいは自己免疫性脳炎ともいわれ、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)のカテゴリーに入るものと考えられる。

 これらの脳炎による急性期のけいれん頻度は高いが、後遺症としてのてんかんは少ないようである。

 一方、その他のウイルス性脳炎(インフルエンザ、コクサッキーA・B、エコーウイルスなど)では急性期のけいれん頻度も多く、てんかん発症も80%あり、ほとんどが複雑部分発作を呈したというデータがある。

 後遺症として最悪のものが単純ヘルペス脳炎で、特に側頭葉辺縁系に重大な病変を残すもので、生存例のてんかん発症は全例に近いというデータがある。

 しかしてんかんのみの予後はそれほど不良ではないようで、多くの例で薬物による抑制が可能といわれる。

 最近は急性期に抗ウイルス剤がよく使用されるようになり、以前よりも予後は改善されてきている。

7.その他の脳炎・脳症とてんかん

 原因不明の急性脳炎・脳症の後遺症としてのてんかん(粟屋症候群を含む):けいれんの重延状態で発症し、けいれん性ないしは非けいれん性の複雑部分発作を繰り返す難治てんかんの一群があるが、急性期の髄液検査では脳炎の所見に乏しい。

 たいていの場合、急性期の髄液では、一時的にごくわずかな細胞増多がみられることがあるが、正常範囲内とみなされることが多い。

 最近、髄液内のビオプテリンという物質が増加することを脳炎の診断に用いるようになってきた。

 これよって、従来検査結果から「脳炎」とは診断できず、「脳炎もどき」というような意味合いでの「脳症」の例でも、何らかの感染による脳炎と判断せざるを得ない例が増えてきている。

 このような例では、病原体(恐らくウイルス)の正確な同定は不可能であっても、急性期に抗ウイルス剤が有効である場合があるようである。

焦点性

脳炎(ラスミュッセン症侯群):

 一般的に脳炎というと脳全体を冒すものとみなされやすいが、サイトメガロウイルスなどによる脳実質の局所的な感染により、焦点性発作を繰り返すような難治てんかんがある。

 抗ウイルス剤やガンマグロブリンが有効という報告があるが、外科的な焦点切除術が有効な場合もある。

亜急性硬化性全脳炎(SSPE):

 麻疹ウイルスの初感染後何年も経た後、脳に遺残したウイルスが再活性化したことによる遅発性脳炎で、進行性の経過をたどる難病である。

 最近は薬物の開発により延命する例も多くなったが、発症の早期にけいれんを伴うことがある。

 風疹ウイルスによる同様の脳炎もある。

多発性硬化症:

 自己免疫性の脳病変が多発する難病で、一過性の種々の神経症状がみられるが、けいれんがみられることもある。

寄生虫感染:

 日本ではほとんどみることはないが、発展途上国の出身者では疑ってみる必要がある。

マイコプラズマ、リンゴ病など:

 一般的には重症になりにくく、また中枢神経系の感染症としてはごく希にしか報告がないような例でも、後遺症として難治のてんかんを発症することもある。

白質脳症:

 感染症ではないが、白血病の治療などでメソトレキセートその他の抗癌剤を脊髄腔内に注入することがあるが、その副作用による脳内の血管周囲炎からてんかんを発症する例もあるという。

 症候性のレンノックス症侯群などの例がある。

8.中枢神経系の感染症に伴うてんかんの諸問題

 中枢神経系の感染症に伴うてんかんは症候性てんかんの一つであり、一般には難治例が多いようである。

 また、脳炎・脳症による急性期における脳機能へのダメージがその後の知的障害、運動障害、行動障害などを生じる基になるが、これに後遺症としてのてんかん発作が加わることにより、問題をいっそう複雑にする。

 てんかん発作そのもの、脳波異常、てんかん性脳症(ウエスト症候群、レンノックス症候群など)などの合併により、更に脳機能への悪影響が増大することになる。

 てんかんの治療に専念することはもちろんであるが、その他の多方面のリハビリ活動も重要である。

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16 インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について
(平成12年11月15日公表)

 厚生省ホームページ中、「報道発表資料」より抜粋。

平成12年11月15日

インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)の使用について

1.これまでの経緯
 (1)
重篤な疾病であるインフルエンザ脳炎・脳症については、平成11年度より、「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)においてその発症機序等の解明のための研究(厚生科学研究)が行われている。
 (2)11年度の同研究では、インフルエンザ脳炎・脳症例181例についての解析が行われたが、特に52例の死亡例のうち、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸の使用群と未使用群とを比較した結果、使用群について、わずかながら有意に死亡率が高いと報告された。

(参考)
1.我が国のインフルエンザの学童における罹患数は、年間50万〜100万人とされ、このうち、脳炎・脳症となる症例(インフルエンザ脳炎・脳症)は100〜300人、その死亡率は30%前後とされている。

2.ジクロフェナクナトリウム製剤は、慢性関節リウマチ、腰痛症等の鎮痛・消炎剤、解熱剤の効能効果を有しており、小児に適用を持つ解熱剤として承認されている効能効果は次のとおり。
 ア.他の解熱剤では効果が期待できない場合の急性上気道炎の緊急解熱
 イ.他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎の緊急解熱

2.今年度の調査結果
 12年度の調査では、91例のインフルエンザ脳炎・脳症発症例について検討が行われ、ジクロフェナクナトリウム使用群と他の解熱剤使用群とを比較した結果、使用群について昨年より高い有意性をもって、死亡率が高い(他の解熱剤使用群
38例中5例に対しジクロフェナクナトリウム使用群12例中7例)ことが示された。
 また、今年度の調査では、頭部断層撮影(CTスキャン)や剖検による病理学的検査が行われ、脳血管に損傷が生じていることが特徴的に見出された。なお、これらの症例での解熱剤の使用状況については調査中である。

3.今回の対応
 (1) 厚生省においては、明確な因果関係は認められないものの、次の理由から、インフルエンザ脳炎・脳症患者に対するジクロフェナクナトリウムの投与を禁忌とすることとし、本日、ジクロフェナクナトリウムを含有する解熱剤を製造、販売する関係企業(別紙のとおり)に対し、使用上の注意の改訂、「緊急安全性情報」の作成及び医療機関等への配布を指示した。
 ア.ジクロフェナクナトリウム使用群については、昨年度に引き続き今年度も有意に死亡率が高いことが示されたこと、
 イ.ジクロフェナクナトリウムは血管内皮の修復に関与する酵素を抑制する作用が強いことが海外の臨床的研究において報告されている。一方、今年度の調査で報告された脳炎・脳症に特徴的な脳血管の損傷が見出されたことを考え併せると、その修復を遅らせるおそれがあること
 (2)また、インフルエンザ脳炎・脳症の重症化と解熱剤との因果関係等について、更なる調査研究を実施する予定である。

(照会先)
医薬安全局安全対策課
工藤、郡山
TEL(03)3503-1711
内線2757,2752

別紙

内服剤
 (
25mg

ボルタレン錠(日本チバガイギー)
アデフロニック錠(大洋薬品)
イリナトロン錠(辰巳化学)
サフラック錠(日本新薬)
サンナックス錠(三恵薬品)
ジクロフェナクナトリウム錠「ホクエイ」(大原)
シーコレン錠(日医工)
ソファリン錠(日本ケミファ)
ソレルモン錠(東和薬品)
ダイスパス錠(ダイト)
チカタレン錠(イセイ)
ドセル錠(日本化薬)
ニフレリール錠(模範)
ネリオジン錠(帝国化学)
バレタン錠(東菱)
フェナドシン錠(竹島製薬)
ブレシン錠(沢井製薬)
ボナフェック錠(日新山形)
ボラボミン錠(鶴原)
ボルマゲン錠(大正薬品)
ヨウフェナック錠(陽進堂)
ワンフェロン錠(東邦新薬)
プロフェナチンカプセル(菱山)


坐剤
 (
12.5mg,25mg,50mg)  

ボルタレンサポ(日本チバガイギー)
アデフロニックズポ(大洋薬品)
アナバン坐剤(富士化学)
ジクロフェノン坐剤(オリエンタル)
ネリオジン坐剤(帝国化学産業)
ピナナック坐剤(東光薬品工業)
フェナシドン坐剤(竹島)
フェニタレン坐剤(長生堂製薬)
ベギータ坐剤(シオノケミカル)
ボナフェック坐剤(日新山形)
ボラボミン坐剤(鶴原)
ボルマゲン坐剤(大正薬品工業)
ボンフェナック坐剤(京都薬品工業)
メクロフェン坐剤(日本ガレン)
メリカット坐剤(太田製薬)
アスピゾンズポ(協和薬品)
ジフェナック坐剤(小林化工)
ジクロニックズポ(大興製薬)

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17 インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について(平成12年11月12日公表)


 日本小児科学会ホームページより抜粋。

 理事会より会員へのお知らせ

 インフルエンザに関連しておこる脳炎・脳症に対するジクロフェナクナトリウム及びメフェナム酸の使用について、本学会の見解は以下のとおりである。
 
19992000年のインフルエンザ脳炎・脳症研究班(森島恒雄班長)の報告では、解熱剤を使用していない症例でもインフルエンザ脳炎・脳症は発症しており、その死亡者が5分の1を占めているところから非ステロイド系消炎剤が脳炎・脳症を引き起こしていることは証明されていない。
 しかし、
1999年のデータに比して2000年のデータではインフルエンザ脳炎・脳症が発症した場合の致命率についてはジクロフェナクナトリウムは有意差を持って高くなっている。一方、メフェナム酸に関しては2000年の調査でははっきりした傾向は認められなかった。
 また、他の非ステロイド系消炎剤の使用については、調査症例数が少なく、現段階でその関連性が明確になっていないので、さらに調査が必要である。
 一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。
 以上より一部の非ステロイド系消炎剤はインフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではないが、その合併に何らかの関与をしている可能性があり、インフルエンザ治療に際しては非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである。
 今後も本症の原因を含めてさらに研究班の継続した調査を要望する。

平成12年11月12日 日本小児科学会理事会

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23 インフルエンザ脳症(臨床病系分類の試みを中心に)

 日本てんかん協会会報 月刊「波」2001年3月号より抜粋。

インフルエンザ脳症

大阪市立総合医療センター小児救急科 塩見 正司

1 急性脳症について

 それまでは健康であった小児がインフルエンザや突発性発疹、麻疹などのよくみられる高熱を伴う感染症の経過中に突然状態が悪化し、けいれん、意識障害、呼吸不全、ショック状態におちいり、集中治療を行ったが短期間で死亡したという症例は稀ではありません。

 1960年代までは日本で「疫痢」とよばれていた病気もよく似たものであったようです。

 この状態は「原因不明の急性脳症」と診断されましたが、何がおこっているのかが、よくわかっていませんでした。

 乳児突然死症候群(SIDS)という病気がありますが、病気は異なっても、急性脳症も同じような衝撃を小児科医に与えます。

 多くの病気の研究がすすむ中で急性脳症の研究はCTやMRIによる脳の検査、サイトカインなどの生体物質の測定などが可能となって、ようやく端緒についたところであり、まだまだ、五里霧中といっていいと思います。

2 インフルエンザ感染時に合併する中枢神経疾患

 規模の大小はありますが毎年冬にインフルエンザ香港型(AH3)、ソ連型(AH1)、B型が単独あるいは合併して流行するのが最近の傾向です。

 今年は平成6年以来インフルエンザ患者が少ないようです。

 流行の年には40%もの住民が罹患するといわれています。

 インフルエンザウイルス感染に伴う神経合併症としては、熱性痙攣、脳炎、脳症、髄膜炎、脊髄炎、多発性神経炎などがあげられます。

 インフルエンザ流行時には熱性痙攣がよくみられ、学童にもみられることも特徴です。

 てんかん発作が誘発されることもあります。

 インフルエンザ罹患中に痙攣や意識障害で発症し、意識障害が1〜2日では回復しない場合、インフルエンザ脳症とよばれます。

3 インフルエンザ脳症の臨床病型分類の試み

 平成9年には全国で100〜200人のインフルエンザ脳症による死亡があったと推定されています。

 平成11年の全国調査では1〜4歳に多く、発熱当日〜翌日に発症する、痙攣が多い、再発例・家族例はまれで、死亡・後遺症各30%でした。

 有名なライ症候群はインフルエンザの症状が消褪してきた頃に、神経症状が出現する特徴があり、アスピリンが原因でしたが、日本のインフルエンザ脳症とは異なります。

 インフルエンザ脳症をCTなどで脳の変化からみますと、いくつかに分類できると考えています。

@急性壊死性脳症−脳幹型
 興奮症状や短い痙攣の後に、意識障害を来たし、数時間で呼吸停止にいたる型で、脳幹や視床の低吸収と腫大が特徴です。

A急性壊死性脳症−病変限局型
 両側の視床、大脳白質、小脳、脳幹に対称的に境界明瞭な病変を生じるもので後遺症は軽〜重様々です。

B全大脳型
 大脳全体に浮腫像を呈し、死亡します。

C血球貪食症候群型
 意識障害、肝機能の著明な上昇、播種性血管内凝固症候群を合併しますが、画像上脳幹視床病変はなく、大脳皮質に出血巣がみられました。

D遅発性皮質型
 短い痙攣とその後意識障害をきたす。発症後数日は正常だが大脳皮質全体に低吸収を呈し、浮腫は軽度で、その後萎縮が明瞭となります。

E痙攣重積型
 インフルエンザの経過中に持続型けいれん重積で発症し、画像では発症数日は正常で、その後両前頭葉などの浮腫をきたし、やがて萎縮となる症例で、テオフィリンが病態に関連していると考えられる症例もあります。厳密には急性脳症よりも痙攣重積症というべきでしょうが、痙攣重積による脳障害は痙攣自体によるのか、痙攣を引き起こした脳の異常が原因なのか、区別する方法がありません。私達は、CTやMRIをみると区別ができると考えています。

 また、後遺症を残さなかったものには

F1〜2日間の軽度意識障害をきたすが画像は正常で、早期に回復するもの、

G痙攣重積で発症し、気管内挿管による呼吸管理が必要であったが24時間以内に著明に回復する例(熱性痙攣)、

Hインフルエンザ発症後4〜5日以後に痙攣、意識障害で発症し、肝機能異常やDICはなく、生命予後は良好で脳炎と考えられるもの、

などもみられます。

 このようにいろんな型があります。

 死亡する症例では@やBが多く、長い痙攣重積症の後に、後遺症を残す症例ではEが多いと思われます。

 インフルエンザには脳症も多いので、患児の意識状態、呼吸数や脈拍数に特に注意することが大切です。痙攣が短くても、痙攣後も意識が回復しない、多呼吸である、チアノーゼがあるといった症状は脳幹病変を示唆し、厳重な監視が必要となります。

 また、痙攣はないが興奮状態で幻覚があったり、奇声をはっしたり、ふらつきなどがみられ、その後、昏睡になった症例もあります。

 もちろん、痙攣重積症では設備のある病院で、人工呼吸などで全身状態を安定させつつ、早く痙攣を止めることがもっとも重要です。

4 インフルエンザ脳症と解熱剤

 平成11年12月に厚生省インフルエンザ脳症研究班からインフルエンザ脳症の調査結果が公表されました。全国から報告のあったインフルエンザ脳症を解熱剤の観点から分析すると、解熱剤を服用していない症例も多く、解熱剤が脳症の原因とは言えない、しかし、ジクロフェナックを投与された患者の死亡率が高く、脳症発症後の経過に悪影響を与えていると考えられました。

 インフルエンザ脳症にはジクロフェナックを投与しないように、という警告がだされました。

 日本小児科学会では、インフルエンザそのものにもジクロフェナックを使わずに、解熱剤としてはアセトアミノフェンを推奨しています。

5 おわりに

 インフルエンザの流行期には診療所には患者が殺到し、熱性痙攣などで救急車の出動が頻繁となり、救急医療の現場も混乱します。

 基礎疾患のあるお子さんは、痙攣が誘発される、肺炎などの呼吸器感染症を合併するなど、インフルエンザの影響が大きくなる傾向がありますので、発症後早期に診断し、抗インフルエンザ薬を服用する、あるいは、予防接種を受けておくことが望ましいと思います。

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24 脳炎脳症の後遺症としてのてんかん

 日本てんかん協会会報 月刊「波」2001年3月号より抜粋。

脳炎脳症の後遺症としてのてんかん

東京都立八王子小児病院小児内科  小沢 浩

1 はじめに

 インフルエンザによる脳炎脳症がテレビや新聞などで報道され注目されてきていますが、その情報は少なく不安に思っている人が多いと思います。

 1997年〜1998年には全国で127万人もの多くの人がインフルエンザにかかり、その後の調査で1999年1月1日〜3月31日には217人の方がインフルエンザ脳炎脳症にかかりました。

 そのうち完全に回復した人が86人、後遺症の残った人が56人、経過観察中が17人、死亡した人が58人でした(厚生省:インフルエンザ脳炎脳症の臨床疫学的研究から)。

 ここでは、インフルエンザを含めた脳炎脳症全般の神経学的後遺症を中心に説明します。

2 脳炎脳症の後遺症

 脳炎脳症の後遺症には、知能障害、運動障害、てんかんが挙げられます。

 脳炎脳症の後遺症はインフルエンザ脳炎・脳症治療研究会では、T群:知能低下のない群、U:軽度の知能低下を残した群、V:最重度の知能低下を残した群、W:最重度の知能低下と運動障害の重複障害を残した群の4群に分け、障害の程度と予後との関連を、T群:リハビリテーション期間中に機能の回復をみた、U:軽度知能低下と高次脳機能障害を呈した、認知訓練が主体、V:重度知能低下を呈した、てんかんの治療と家族支援が必要、W:寝たきり状態。てんかんの治療・経管栄養・排痰・吸引指導など医療面の支援が必要。というように説明しています。

 このように脳炎脳症の後遺症も軽度から重度までと非常に程度に差があります。

1)知能障害

 知能障害は、知能指数70未満の場合を指し、軽度(知能指数50から69)、中等度(35〜49)、重度(20〜34)、最重度(20未満)というように分けられます。

 脳炎脳症の後遺症としておこる知的障害は、精神遅滞とは違い一度獲得された知能が脳炎脳症により障害されてしまい、理解できなくなったり、しゃべることができなくなったりする状態になってしまうものです。

2)運動障害

 脳炎脳症の後遺症としてみられる運動障害は、運動麻痺と不随意運動があります。

 脳の障害されている部位によって症状に違いがみられます。

 運動麻痺とは、自分の思うように動かそうとしても動かせない運動状態のことであり、歩行も可能な軽度の麻痺から、寝たきりとなってしまう重度の麻痺まで麻痺の程度はさまざまです。

 不随意運動とは、自分の意思とは無関係に起こってしまう運動のことであり、手などを踊っているようにすばやく動かす舞踏病様運動やゆっくりとくねらせるような動きのアテトーゼ様運動、両方の動きが混ざった舞踏病アテトーゼをきたした報告があります。

3)てんかん

 てんかんとは、脳の神経細胞の過剰な興奮のために反復して発作が見られる状態のことをいいます。

 従って1.熱性けいれんのように発作が1回だけのもの、2.脳炎脳症の急性期だけみられその後はおこらないけいれん、3.脳波異常はあるがけいれんのみられないものはてんかんとは言えません。

 先程説明したインフルエンザ脳炎・脳症治療研究会のV・W群は、脳萎縮がみられてんかんの発症が多くなります。

 脳炎脳症の後遺症としてのてんかんは急性期からてんかんが発症するまで一定の期間(潜伏期)があります。

 埼玉小児医療センターの奈良隆寛先生の報告では、脳炎急性期からてんかん発症までの潜伏期は1ケ月から2年3ケ月でした。

 また、抗けいれん薬により発作が消失する例と、抗けいれん薬を投与しても発作が止まらない難治性てんかんの例があり、難治性てんかんの例は急性期の意識障害の期間が29日±15日と長く、その時期の発作の回数も16±14回と多い傾向がありました。

 発作は部分発作であり、ときおり全般化していました。

 強直発作、ミオクロニー発作などさまざまな発作を示した報告もあります。

 脳波は、急性期には高振幅徐波を示し、その後てんかん発症時には棘波が大脳の複数の部位(多焦点性)から出現してきます。

 前頭葉や側頭葉に多いと言われています。

 原因としては脳炎脳症の急性期に神経細胞が崩壊しその部位からてんかんが発症するようになると言われています。

 そのため神経細胞の崩壊が著しい場合に難治性てんかんになります。

3 インフルエンザ以外の代表的な脳炎脳症とてんかん

単純ヘルペス脳炎
 単純ヘルペスウイルスによってもたらされる急性出血性壊死性脳炎であり、側頭葉や前頭葉下部が障害されやすい脳炎です。ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬がありますので、早期診断・治療により後遺症を少なくすることが可能性です。てんかんを伴いやすいですが、多くの場合抗てんかん薬により抑制可能と言われています。

亜急性硬化性全脳炎
 麻疹ウイルスに感染した後、数年の潜伏期を経て発症する脳炎で、進行性に神経が変性し死に至ります。最初は知能低下、行動異常、人格変化などで発症し、その後けいれんや運動障害をきたし寝たきりになります。けいれんは非常に難治です。

日本脳炎
 日本脳炎ウイルスによって発症します。コガタアカイエカを媒介動物とし、増殖動物はブタです。ワクチン接種により日本での患者発生は非常に少なくなりましたが、インド・東南アジア・中国などでは、今も多くの患者発生が続いています。近畿以西の西日本から南日本では、ブタの80%以上が毎年感染しており、ワクチン接種は非常に大切です。致命率は高く、後遺症は重篤です。

慢性進行性限局性脳炎(ラスミュッセン症侯群)
 何らかのウイルス感染により、部分運動発作(身体の一部、半身のけいれん)と発作間歇期に持続する限局性のけいれんをきたす脳炎です。進行性の運動障害と知能低下をきたします。難治であり、抗けいれん薬による治療で効かない場合は、外科的治療が必要となる場合もあります。

特異な脳炎・脳症後てんかんの一群
 1989年東京女子医大小児科の粟屋豊講師(現聖母病院小児科)、福山幸夫教授(現名誉教授)らが報告しました。潜伏期がなく急性期から回復期まで同じ発作が持続し、急性期に頻回に重積化する部分発作を示すてんかんです。原因ウイルスは不明です。てんかんは難治性であり、運動障害はみられませんが、知的障害が出現します。

4 最後に

 最近のマスコミの報道では、解熱剤とインフルエンザ脳炎脳症の関係を非常に多く取り上げています。

 しかし解熱剤を使用していなくてもインフルエンザ脳炎脳症にかかってしまう子はいます。

 大事なことは感染の予防です。

 インフルエンザ脳炎脳症の患者さんはワクチン未接種であり、そのことからもワクチン接種の重要性がわかっていただけると思います。

 多くの人がワクチン接種することにより地域での流行を抑えることもできます。

 脳炎脳症にかかり不幸にして重度の障害が残ってしまった場合、家族のショックは大きく、我々も辛い気持ちになります。

 でも懸命な治療やリハビリ、家族の愛情のこもった介護により徐々に回復していく姿は我々も勇気づけられます。

 意識の全くないときから必死に声をかける家族。

 その気持ちが通じ家族を目で探すようになり、それからしばらくして100万ドルの笑顔をみせてくれた子ども達。

 我々はその子たちや家族に多くのことを教えてもらい感謝の気持ちで一杯になります。脳炎脳症の予防や早期診断・治療、障害を残してしまった子達のリハビリや社会的支援の整備に、我々も一緒になって努力していきたいと思っています。

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25 インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について(平成13年5月30日公表)

 厚生労働省ホームページ中、「記者発表資料」の「医薬局」のページより抜粋。

インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤について
(医薬品等安全対策部会における合意事項)

1.これまでの経緯

(1) 重篤な疾病であるインフルエンザ脳炎・脳症については、平成11年度より、「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)において、その発症機序等の解明のための調査研究が行われている。

(1) 平成11年度の同研究では、インフルエンザ脳炎・脳症を発症した患者において、ジクロフェナクナトリウム又はメフェナム酸の使用群は、解熱剤未使用群と比較してわずかながら有意に死亡率が高いと報告された。
(2) 平成12年度の調査では、ジクロフェナクナトリウムの使用群と他の解熱剤使用群との比較をした結果、ジクロフェナクナトリウムの使用群についてより高い有意性をもって死亡率が高いことが示された。また、脳の病理学的検査が行われ、脳血管に損傷が生じていることが特徴的に見出された。

(2) 平成1211月、上記の研究結果を踏まえ厚生省では、ジクロフェナクナトリウムについて、明確な因果関係は認められないものの、インフルエンザ脳炎・脳症患者に対する投与を禁忌とすることとし、ジクロフェナクナトリウムを含有する解熱剤を製造、販売する関係企業に対し、使用上の注意の改訂等を指示した。

(3) 一方、日本小児科学会では、平成1211月、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンが適切であり、非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである旨の見解を公表した。

(参考)我が国のインフルエンザの学童における罹患数は、年間50万〜100万人とされ、このうち、脳炎・脳症となる症例(インフルエンザ脳炎・脳症)は100300人、その死亡率は30%前後とされている。

2.医薬品等安全対策部会における検討結果

 平成12年から平成13年の冬季流行期が過ぎ、インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤に関して各方面の意見等をまとめるため、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の場において、日本小児科学会、研究者、製薬企業、さらに市民団体であるCOML東京も交えて意見交換を行い、次の合意事項を得た。

 『小児のインフルエンザにともなう発熱に対して、メフェナム酸製剤の投与は基本的に行わないことが適当である』

[部会での主な意見]
(1) 一般国民の立場からは、より安全な薬物療法の適用が望まれる。また、患者サイドももっと情報を得て、勉強する必要がある。
(2)今冬のインフルエンザ流行期の経験から、インフルエンザの解熱目的にはアセトアミノフェンの使用その他の代替処置で患者の予後に悪影響なく対応可能であった。
(3)企業としても、かねてから安全対策に努力しており、インフルエンザの解熱目的でメフェナム酸を使用しないことに同意したい。
(4)(1)(3)のような意見を基礎として、不確実な情報下における患者の安全と最善の対応を考えるならば、インフルエンザの解熱目的でメフェナム酸は使用しない旨の対応をとることで一致できる。

3.今回の合意事項に基づく対応

(1) 厚生労働省では、今回の部会における合意事項について広く周知を図るため、各都道府県衛生主管部(局)長あて通知を行う。また、日本医師会、日本薬剤師会等、関係団体に対して、会員等へ周知徹底を図るよう要請する。

 なお、医薬品等安全対策部会に参加した各団体に対しても、部会の場において会員等への周知を依頼している。

(2) 厚生労働省では、引き続きインフルエンザ脳炎・脳症の重症化とジクロフェナクナトリウム及びその他の解熱剤との因果関係等について調査研究を実施する。

 

平成13年5月30日 医薬品等安全対策部会
参考委員
(五十音順)

倉田雅子   COML東京
佐藤俊哉 京都大学大学院医学研究科
(厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床経過と解熱剤投与
の関係に関する研究」主任研究者)
高橋莞二 (株)三共常務取締役
鳥羽 千葉県こども病院長、 日本小児科学会理事
森島恒雄 名古屋大学医学部教授
(厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究」主任研究者)
横田俊平 横浜市立大学医学部教授
(厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究」分担研究者)

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26 小児のライ症候群等に関するジクロフェナクナトリウムの使用上の注意の改訂について(平成13年5月30日公表)

 厚生労働省ホームページ中、「記者発表資料」の「医薬局」のページより抜粋。

小児のライ症候群等に関するジクロフェナクナトリウムの使用上の注意の改訂について

1.これまでの経緯

(1) 解熱鎮痛剤とライ症候群との因果関係

 米国においてサリチル酸系医薬品、特にアスピリンの使用とライ症候群との関連性を疑わせる疫学調査結果が報告された昭和57年以降、厚生省では、国内において「Reye症候群に関する調査研究」(昭和57年度〜平成元年度)及び「重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究」(平成2年度〜平成8年度)を行ってきたが、解熱鎮痛剤とライ症候群との明確な因果関係は確認されていない。

(注1)小児のライ症候群を含む急性脳症は、その前駆症状としてかぜ様症状を伴うことが多く、発症直前に解熱鎮痛剤が投与されていることが少なくない。

(注2)ライ症候群:
 急性脳症(嘔吐、意識障害、痙攣、高熱等の症状)で、肝臓ほか諸臓器の脂肪変性、
CT上脳浮腫が見られる等により特徴づけられるものをいう。水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、主に小児において発症する。

(2) サリチル酸系医薬品への対応

(1) 昭和57年には、米国における疫学調査結果を踏まえ、厚生省において、「医薬品情報」や「医薬品副作用情報」へ当該記事を掲載して医療関係者への情報提供と注意喚起を図った。
(2) 昭和60年には、米国において新たな疫学調査結果が公表されたことを踏まえ、因果関係は不明なものの、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対して投与する場合には慎重に投与し、投与後は患者の状態を十分に観察する旨の使用上の注意の改訂等の措置を行った。
(3) 平成10年には、(1)の一連の調査研究が終了したこと等を踏まえ、アスピリン等のサリチル酸系医薬品について、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対する投与を原則禁忌とする措置を行った。

(3) ジクロフェナクナトリウムについての対応

 平成11年には、ジクロフェナクナトリウムを投与された患者において、因果関係が否定できない意識障害、痙攣等の脳症症状の報告を検討し、使用上の注意の「重大な副作用」の項に「急性脳症」を記載する措置をとった。

2.検討結果

 平成12年以降新たに解熱鎮痛剤を投与された患者において、意識障害、痙攣等の脳症症状の症例報告が集積したことから、サリチル酸系医薬品、ジクロフェナクナトリウムを含め解熱鎮痛剤全般について、改めて平成6年以降に報告されたものも含め、薬剤使用の影響が疑われる急性脳症28例(別紙1)を検討した結果、次のような結論を得た。

(1) サリチル酸系医薬品(アスピリン及びサリチルアミド)について

 ライ症候群と確定されていないものを含め28例中16例と報告例が最も多いが、使用制限の措置を行って以降に投与されていた小児の症例が、配合剤で2例あった(単味剤ではジクロフェナクナトリウムとの併用例1例)。
 このため、特にサリチル酸系医薬品の配合剤について、平成
10年の措置の趣旨を改めて注意喚起を行うことが適当と判断された。

(2) ジクロフェナクナトリウムについて

 次の理由から、ライ症候群に関する安全対策として、サリチル酸系医薬品と同様に、小児のウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)の患者への投与を原則禁忌とすることが適当と判断された。

(1) 28例中10例において投与されており、特にライ症候群と確定された症例では、アスピリン等サリチル酸系医薬品と近似した発生傾向が見られること
(2) 小児における緊急を要する解熱目的には、ジクロフェナクナトリウム以外の他の解熱鎮痛剤の投与や代替処置で十分対応が可能であること

(3) その他の解熱鎮痛剤について

(1) アセトアミノフェンについては、28例中11例において投与されているが、その使用方法は次のような状況であり、アセトアミノフェンの影響を現時点で評価することは困難であり、今後の状況をさらに注視することが必要である。
ア.サリチル酸系医薬品との配合剤として投与されたもの:8
イ.ジクロフェナクナトリウムとの併用:
1
ウ.その他の解熱鎮痛剤との併用:
2
(2) メフェナム酸及びイブプロフェンについては、次のような状況から現時点でその影響を評価することは困難であり、今後の状況をさらに注視することが必要である。
ア.集積例数が相対的に少ないこと(メフェナム酸5例、イブプロフェン3例)
イ.ライ症候群と確定された症例は、アスピリン又はジクロフェナクナトリウムとの併用例であること

3.今回の対応

(1) 厚生労働省では、本日、ジクロフェナクナトリウム製剤(別紙2)を製造する各製薬企業に対し、次の使用上の注意の改訂(詳細:別紙3)を指示し、医療関係者への情報提供を指示した。

[改訂の要旨]
(1) 解熱の目的で使用されるジクロフェナクナトリウム製剤については、「重要な基本的注意」の項に、小児のウイルス性疾患の患者への投与を原則禁忌とする記載を新たに追加する(注腸軟膏剤を除く)とともに、引き続き「重大な副作用」として急性脳症への注意喚起を図る。
(2) 鎮痛の目的のみで使用されるジクロフェナクナトリウム製剤については、基本的に小児に対して投与されないものであるが、「小児等への投与」の項にライ症候群に関する記載を新たに追加するとともに、引き続き「重大な副作用」として急性脳症への注意喚起を図る。

(2) また、厚生労働省では、日本医師会、日本薬剤師会等、関係団体へ、ジクロフェナクナトリウム製剤に関する新たな措置について、会員等に周知徹底を図るよう要請を行った。

(3) なお、サリチル酸系医薬品、特に配合剤について、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対する投与を原則禁忌としている平成10年の措置に関して、「医薬品・医療用具等安全性情報」により医療関係者へ改めて注意を呼びかける予定である。

 

(別紙1)

解熱鎮痛剤の影響が疑われる急性脳症の症例
【1994(平成6)年以降:合計28例】

サリチル酸系医薬品投与例(他の解熱鎮痛剤の併用を含む)【16例】

  報告年 性別/年齢 使用薬剤(使用目的) 転帰 備考
1 1994 女/22 サリチルアミド+アセトアミノフェン(解熱) 回復  
2 1995 男/15 アスピリン(解熱・鎮痛) 死亡  
3 1996 男/45 アスピリン(解熱)、ジクロフェナクナトリウム(解熱) 回復  
4 1997 男/17 アスピリン(解熱) 後遺症  
5 1997 男/35 アスピリン(鎮痛)、ザルトプロフェン(鎮痛)、サリチルアミ
ド+アセトアミノフェン(解熱・鎮痛)
後遺症  
6 1997 女/30 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、アスピリン(解熱) 死亡  
7 1997 男/ 3 アスピリン(鎮痛) 死亡  
8 1998 男/ 2 アスピリン(解熱)、メフェナム酸(解熱) 回復
9 1998 女/11 サリチルアミド+アセトアミノフェン(解熱・鎮痛) 回復
10 1999 女/ 1 サリチルアミド+アセトアミノフェン(解熱) 後遺症  
11 1999 女/ 2 サリチルアミド+アセトアミノフェン(不明) 死亡 82/2投与
12 1999 男/11 アスピリン(不明) 死亡 82/1投与
13 2000 女/ 7 アスピリン(解熱・鎮痛)、ジクロフェナクナトリウム(解熱) 後遺症
14 2001 男/15 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、サリチルアミド+アセトア
ミノフェン(解熱)
死亡
98/1
15 2001 男/34 サリチルアミド+アセトアミノフェン(解熱・鎮痛) 後遺症  
16 2001 女/ 8 サリチルアミド+アセトアミノフェン(解熱)、アセトアミノフ
ェン(鎮痛)
回復  

*:肝病理において脂肪変性等の所見があり、ライ症候群と確定されたもの
   
15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対する使用を原則禁忌とする措置の実施(98/12)

ジクロフェナクナトリウム投与例(他の解熱鎮痛剤の併用を含む)10例】

  報告年 性別/年齢 使用薬剤(使用目的) 転帰 備考
3 1996 男/45 アスピリン(解熱)、ジクロフェナクナトリウム(解熱) 回復 再掲
6 1997 女/30 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、アスピリン(解熱) 死亡 再掲
17 1997 女/21 ジクロフェナクナトリウム(鎮痛) 回復  
18 1997 女/77 ジクロフェナクナトリウム(鎮痛) 死亡 *1
19 1998 女/33 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、アセトアミノフェン(解熱) 死亡 *1
20 1999 女/15 ジクロフェナクナトリウム(解熱) 死亡  
13 2000 女/ 7 アスピリン(解熱・鎮痛)、ジクロフェナクナトリウム(解熱) 後遺症 再掲 *2
14 2001 男/15 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、サリチルアミド+アセトア
ミノフェン(解熱)
死亡 再掲 *
98/1
21 2001 女/ 3 ジクロフェナクナトリウム(解熱)、メフェナム酸(解熱) 死亡 *2
22 2001 男/ 1 ジクロフェナクナトリウム(解熱) 後遺症 *2
*1: 肝病理において脂肪変性等の所見があったが、典型的なライ症候群とは評価されなかった
*2: 肝病理において脂肪変性等の所見があり、ライ症候群と確定されたもの

   「重大な副作用」の項に、「急性脳症」を記載(99/11)

その他の解熱鎮痛剤投与例【6例】

  報告年 性別/年齢 使用薬剤(使用目的) 転帰
23 1997 女/ 3 イブプロフェン(解熱・鎮痛)、アセトアミノフェン(解熱・鎮
痛)、スルピリン(解熱)
死亡  
24 1999 男/ 7 イブプロフェン(解熱・鎮痛) 回復  
25 2000 女/ 1 アセトアミノフェン(解熱)、メフェナム酸(解熱) 死亡  
26 2001 男/ 3 メフェナム酸(解熱) 死亡  
27 2001 女/ 3 メフェナム酸(解熱) 死亡  
28 2001 男/13 イブプロフェン(鎮痛) 回復  

 

(別紙2)

1.解熱の目的で使用されるジクロフェナクナトリウム製剤

  商品名 製造企業
内服剤(25mg ボルタレン錠 日本チバガイギー
アデフロニック錠 大洋薬品
イリナトロン錠 辰巳化学
サフラック錠 日本新薬
サンナックス錠 三恵薬品
ジクロフェナクナトリウム錠「ホクエイ」 大原
シーコレン錠 日医工
ソファリン錠 日本ケミファ
ソレルモン錠 東和薬品
ダイスパス錠 ダイト
チカタレン錠 イセイ
ドセル錠 日本化薬
ネリオジン錠 ナガセ
フェナドシン錠 竹島製薬
ブレシン錠 沢井製薬
ボナフェック錠 日新山形
ボラボミン錠 鶴原
ボルマゲン錠 大正薬品
ヨウフェナック錠 陽進堂
プロフェナチン「カプセル」 菱山
坐剤(12.5mg
25mg50mg
ボルタレンサポ 日本チバガイギー
アデフロニックズポ 大洋薬品
アナバン坐剤 富士化学
ジクロフェノン坐剤 オリエンタル
ドンジャストA坐剤 堀田
ネリオジン坐剤 帝国化学産業
ピナナック坐剤 東光薬品工業
フェナシドン坐剤 竹島
フェニタレン坐剤 長生堂製薬
ベギータ坐剤 シオノケミカル
ボナフェック坐剤 日新山形
ボラボミン坐剤 鶴原
ボルマゲン坐剤 大正薬品工業
ボンフェナック坐剤 京都薬品工業
メクロフェン坐剤 日本ガレン
メリカット坐剤 太田製薬
アスピゾンズポ 共和薬品工業
ジフェナック坐剤 小林化工
ジクロニックズポ 大興製薬

 次の製剤については、剤形上の理由から、従来から小児禁忌となっている。

注腸軟膏剤
25mg50mg
レクトス 太田

2.鎮痛のみを目的に使用されるジクロフェナクナトリウム製剤(徐放性内服剤)

  商品名 製造企業
37.5mg ボルタレンSRカプセル 同仁医薬化工
ナボールSRカプセル エスエス
アデフロニックLカプセル 大洋
サビスミンTPカプセル 全星
ソレルモンSRカプセル 東和薬品
ダイスパスSRカプセル ダイト
ジクロニックLカプセル シオノ
ストロングコールカプセルSR 大原
ドンジャストA−SRカプセル 堀田
ブセトンカプセル 前田
ジクロフェナクナトリウムSR錠MEEK 小林化工

 

(別紙3)

ジクロフェナクナトリウム製剤に係る使用上の注意の改訂

[解熱の目的で使用されるジクロフェナクナトリウム製剤]

ア.「重要な基本的注意」の項 *注腸軟膏剤を除く

『ジクロフェナクナトリウム製剤を投与後にライ症候群を発症したとの報告があり、また、同効類薬(サリチル酸系医薬品)とライ症候群との関連性を示す海外の疫学調査報告があるので、本剤を小児のウイルス性疾患の患者に投与しないことを原則とするが、投与する場合には慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。

[ライ症候群:水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT), ALT(GPT), LDH, CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。]』

イ.「重大な副作用」の項「急性脳症」

『急性脳症(特に、かぜ様症状に引き続き、激しい嘔吐、意識障害、痙攣等の異常が認められた場合には、ライ症候群の可能性を考慮すること)』

ウ.「小児等への投与」の項 *注腸軟膏剤を除く

『ウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)の患者に投与しないことを原則とするが、投与する場合には慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。(重要な基本的注意の項参照)』

[鎮痛のみを目的に使用されるジクロフェナクナトリウム製剤(徐放性内服剤)]

ア.「重大な副作用」の項「急性脳症」

『急性脳症(特に、かぜ様症状に引き続き、激しい嘔吐、意識障害、痙攣等の異常が認められた場合には、ライ症候群の可能性を考慮すること)』

イ.「小児等への投与」の項

『ジクロフェナクナトリウムを解熱目的で投与後にライ症候群を発症したとの報告があり、また、同効類薬(サリチル酸系医薬品)とライ症候群との関連性を示す海外の疫学調査報告がある。

[ライ症候群:水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT), ALT(GPT), LDH, CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。]

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