事務局だより2月号 

 今月号の目次

   (各項目をクリックすると、その記事の始めに画面が移動します。)

 日視連中央情勢報告

 日視連の関係機関に対する陳情書(4)

 新しい視覚障害者用オリジナル防災用品セットのご案内

 柴田視覚障がい者福祉協会「四季さくら」広報掲載の紹介

 ご協力ありがとうございます(敬称略)

 貸し出します

 
日視連中央情勢報告

                                                       (社福)日本視覚障害者団体連合会長 竹下 義樹


 令和4年11月8日に竹下義樹が中央情勢報告した内容を2回にわたり掲載します。なお、詳しく知りたい方は、テキスト版・CD版がありますので必要な媒体を事務局まで連絡下さい。

1.視覚障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 (令和4年5月に成立しました)

 一言で言えば、障害者が情報を利用したり、情報を得たり、意思疎通を図る上でのハンディをどう克服するのか、それを行政はどういう形で受け止めるのか、どういう理念を打ち立てて今後の国の政策に反映していくのかということが書き込まれた法律ができました。例えば、私たち視覚障害者でいえば障害の特性に応じた情報の媒体、点字、音声、拡大文字といったものが他の健常者と同時期に自分たちが選んだ方法、望んだ方法で提供されるということが法律に書き込まれています。また、民間事業者に対して、物を開発したり、情報提供したりする場合に障害者団体との協議の場を持つことがこの法律の中で謳われています。


2.障害者権利条約

 日本政府が国連の障害者権利委員会に提出していた政府レポートというものに対する、審査・審議が行われました。日本の実情をどう分析し、どういう問題がそこにあるのかということを国連の場で議論した結果、総括所見という見解が示されました

(1)移動の支援について。日本の国の制度は制限的だから、もっと制限的でない、自由に使える移動支援、移動保障というものを実現しなさいということが指摘されています。

(2)教育の場面では、盲学校教育とかろう学校といった分離教育から、統合教育にどんどん進めていきなさいということが要請されています。

(3)精神障害者の強制入院。これは医療保護入院という、本人の同意なしに入院させられるという制度が、日本の法律で定められていますが、そうした精神障害者に対する精神科病院への強制入院はよくない、これを直ちにやめなさいということも指摘されています。

(4)情報の場面でも、もっと障害の特性に応じた情報が十分に提供されるようにしなさいということも、当然のことながら指摘されています。


3.障害者総合支援法と障害者雇用促進法の改正

(1)これまでのグループホームは、いったんグループホームに入ると、ずっとそこで生活するというものが想定されていましたが、これからは最後まで住み続ける終の棲家ということでのグループホームという位置づけと同時に、一定期間の生活と訓練を経て、
地域にまた戻っていくという形でのグループホームの利用が生まれてきます。
また、グループホームを利用した人たちに対してグループホームから出た後も相談を行っていく、相談に応じて支援をしていくという仕組みができてくることになると思います。

(2)除外率制度では法定雇用率が義務づけられていない事業所がこれまでありました。義務づけられていないというよりも緩和されているという方が正しいでしょうか。医療機関、警察、自衛隊、輸送機関とか、こういうところは障害者の雇用が緩和されていました。それ
を制度としてはなくそうと決めたにもかかわらず、なかなか進んでいませんでした。これからは、段階的に除外率制度をやめて、障害者の雇用を全ての企業が例外なく進めていくという流れが始まろうとしています。


4.障害者差別解消法

 障害者差別解消法が令和3年に改正されて一番大きな改正点としては、民間事業者に対する合理的配慮の提供義務が努力義務から法的義務に格上げされました。それ以外にも、相談体制の強化として国と都道府県と市町村の役割やその連携ということも含まれていますが、特に重要なのは、民間事業者の合理的配慮提供の法的義務化です。
この障害者差別解消法の改正を受けて、それを実施するための障害者差別解消基本計画というものがあります。法律をさらに具体化して、それを実践するための中身が書かれているものを基本方針といいます。これも当然、法律の改正に基づいて、改正することが必要です。


5.同行援護

 これまで同行援護従業者養成研修は、20時間の基本的な研修(一般課程)を修了することで、従業者資格要件を満たしました。さらにステップアップするために、12時間の応用編の研修(応用課程)を受ける人もいましたが、今後、これを再編成して28時間の研修(一般課程)を全て修了した人にガイドヘルパーとして働いてもらうようになることが決まりました(応用課程は6時間)。


6.代筆・代読

 代筆・代読に関する動きです。これは二つの面での動きがあります。

(1)国の動きとして障害者総合支援法の見直しの検討会の中で、意思疎通支援事業の一つである代筆・代読が全国のどこでもサービスが受けられるようにする仕組みづくりが必要だという議論がされて、そのことが方向性として報告書にまとめられました。
したがって、その報告書に基づいた制度づくりが始まります。

(2)内部的には日視連において厚生労働省から研究費を頂いて、この代筆・代読では、どのような支援員を養成することが必要か、支援員の能力としてどういうものが備わっていなければならないか。さらには、その事業を実施する場合の制度として、
どういう仕組みが必要かということまでも、この調査研究の結果として国に提案することを念頭に置いた作業が進められています。


7.移動のバリアフリー

 次は、外出における交通面での動きについて報告します。

(1)利便性について。我々が電車で障害者割引を受けようと思うと、窓口で手帳を出して割引の乗車券等を買ったり、子供用の乗車券を買って手帳を見せたり、それから改札を通過できるというのがごく一般的な障害者割引ですが、
これをもっと便利なものにしてほしいと願ってきました。令和5年3月からは関東地区で実現することになりました。しかも今度はJR東日本も含めた関東地区の鉄道事業者・バス・電車全てにおいて、この交通ICカードによる割引料金で
の利用ができるようになります。日視連では、全国で交通ICカードが我々にも提供されて、割引料金で付き添いとともに利用できるようになることを国に強く求めていきたいと思っています。

(2)有料道路、高速道路などにおいては、これまで事前に福祉事務所に出向いて登録をして、カードを貰って、決められた車だけが、有料道路、高速道路を割引料金で利用できました。令和5年10月頃には、障害者手帳を提示するだけで、割引料金で有料道路、
高速道路が利用できるようになるということです。ただ、その結果として、ETCが利用できなくて、人のいるゲートを通らなければならないということは若干不便かもしれません。事前の登録がいらない。どの自動車であろうとも利用できる。例えば、障害者がたくさん乗っ
ていても利用できる。六人でも一人の手帳があれば割引料金にしましょうという形での有料道路の割引が実現するようです。

(3)皆さん御存じの通り、昨年、奈良県で視覚障害の女性が踏切内で自分の居場所が混乱によってわからなくなったようで、電車にはねられて亡くなられました。この事故を受けて、国土交通省が直ちに動いてくれて、ガイドラインの改定を行ってくれました。
その結果、踏切の安全対策として遮断機の外側に点字ブロックをつけると同時に、その踏切内においても、エスコートゾーンに相当する表面に凹凸のある誘導表示等を設置するということが示されました。(来月号に続く)
                                      
                                                      
                                                                               
日視連の関係機関に対する陳情書(4)
                                                   
 (社福)日本視覚障害者団体連合は加盟団体から提出された要望を全国大会と理事会の審議を経て、関係機関に陳情しました。その内容を随時掲載します。

ー国土交通省ー

【バリアフリー全般】

1.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の第10条により、貴省が所管する施策において視覚障害者への情報保障をさらに進めるための措置を講じ、あるいは予算を確保すること。

2.視覚障害者誘導用ブロックや階段の段鼻の色は、輝度比を踏まえた上で黄色とすること。

3.道の駅や鉄道駅等の多目的トイレにおいて、視覚障害者を便座横に誘導するための音声案内装置が設置されるよう、国の設置基準に音声案内装置を加えること。

【鉄道】

4.視覚障害者の鉄道駅での安全確保のため、駅職員の適正な配置と見守りサービスの充実、ラッシュ時には駅員の増員を行うこと。

5.駅ホームの安全な利用のため、更なる国庫補助によりホームドアの設置を促進すること。また、設置済みのホームドアを安全に稼働させるため、恒常的な点検を行うこと。

6.全ての駅ホームに内方線付き点状ブロックを敷設すること。

7.鉄道駅構内の案内放送は、聞き取りやすい適正な音量で流すこと。

8.無人駅を含む全ての駅で、視覚障害者にとって安全な音声による情報提供、安全対策が十分に取られている駅構内のスマホアプリでの誘導システム等の対策を進めること。

9.視覚障害者が列車降車後の鉄道無人駅ホームを安全に移動できるよう、列車乗務員によるサポートやホームの安全対策(階段の音声案内装置、ホーム中央の誘導ブロックの設置等)を早急に実施すること。

10.鉄道駅の窓口等にタッチパネル等の非対話型システムを導入する場合は、視覚障害者も1人で利用できるよう、AI等を活用した音声認識技術を取り入れること。

11.視覚障害者が鉄道を安全に利用するため、歩きスマホの禁止等のマナーを啓蒙し、声かけ運動を継続すること。また、これらの活動をマスメディアを活用して周知すること。

【交通運賃】

12.障害者割引に対応した交通系ICカードの適用範囲を全国に拡大すること。

【道路や歩道等での安全対策】

13.視覚障害者が安全安心に踏切を横断するため、踏切を確実に渡るためのハード面の安全対策、声かけ等のソフト面の支援を全国で広めること。

14.視覚障害者が気づくことが困難な電動キックボードについて、視覚障害者の安全を守るための対策を講じること。

15.多くの視覚障害者が安全に歩行できるよう、操作が簡単で安価なナビゲーションシステムを開発し、普及すること。

16.路線バスの行き先案内の車外放送を義務化すること。

【自動車】

17.全てのハイブリッド車や電気自動車に、擬音等の作動を義務付けること。

【不動産】

18.賃貸住宅の貸主や不動産業者に対して、障害を理由とする借用拒否は差別的取り扱いであることを周知し、そうした差別をしないように指導すること。

ー警察庁ー

1.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の第10条により、貴庁が所管する施策において視覚障害者への情報保障をさらに進めるための措置を講じ、あるいは予算を確保すること。

2.歩車分離式信号機やラウンドアバウト(環状交差点)、歩行者先行信号交差点を視覚障害者が安全に渡れるようにするため、音響式信号機やエスコートゾーンを設置すること。

3.押しボタン式の音響式信号機の設置を推進し、誘導音は24時間作動可能とすること。

4.音響式信号機の稼働していない時間帯に、青信号を振動等で確認できる装置を全国に普及させること。

5.高度化PICSに対応する信号機の低価格化を図り、全国で普及させること。

6.高度化PICSの導入においては、必ず従来型の音響式信号機等を併用すること。

7.視覚障害者が気づくことが困難な電動キックボードについて、視覚障害者の安全を守るための対策を講じること。


新しい視覚障害者用オリジナル防災用品セットのご案内

 日視連用具購買所では、デザインと内容物を変更した視覚障害者用オリジナル防災用品セットの取り扱いを開始しました。
 災害の際、避難時や避難先で必要になる用品と背負いやすいリュックサックをセットにしました。リュックは、明るい黄色をしており、反射テープがついています。リュックの表面にはSOSマークがあり、その下に黒い文字で「サポートをお願いします」と書いてあります。避難の際にリュックを背負うことで、周囲の人からの配慮や介助を受けやすくなります。
 ご希望の方には、点字・拡大文字のネームラベルをお付けいたします。

※リュックの中身

(1)長期保存水(ペットボトル500ml)3本
(2)軍手
(3)非常食3個(パン1個、アルファ米2袋)
(4)防寒防風金銀アルミシート
(5)冷熱遮断アルミシート
(6)スマホ充電対応FMラジオ(LEDライト付き)
(7)抗菌消臭簡易トイレ 10セット
(8)簡易救急セット
(9)ポンチョ

セット価格:15,000円(税込)
リュックのみの価格:7,000円(税込)
大きさ:縦50cm、横33cm、奥行20cm
重さ:約4.4kg(リュックのみは520g)

※同梱品の商品内容は仕入れ状況により、商品内容を変更する場合がございます。あらかじめご了承下さい。

問い合わせ
日本視覚障害者団体連合用具購買所
電 話:03-3200-6422
F A X:03-3200-6428
メール:(注 文)yogu-c@jfb.jp
     (問合せ)yogu-toi@jfb.jp


柴田視覚障がい者福祉協会「四季さくら」広報掲載の紹介

 柴田町で「誰もが暮らしやすい社会をめざして」と題し障がい者支援の取組を広報に掲載しています。その記事の一部を紹介します。
 ボランティアで点字を作ったとしても、それを必要な人に届ける手段がなく、必要としている人も、どこに相談すればいいのかわからない。視覚障がい者を取り巻く環境を社会に知ってもらう機会も少ない。そのような現状に悩んでいる当事者やその家族、支援者から集まれる場が欲しいと相談されたことが、この「四季さくら」のスタートでした。
四季さくらの主な活動は、隔月に1回、情報交換をメインとした交流会「四季さくらカフェ」の開催です。当事者、その家族、支援者が集まり、それぞれの近況報告や県、町からの支援制度の説明を受けたりしています。

(1)当事者の声を届ける
 当事者の悩んでいることが四季さくらカフェで出てくるので、その声を「一緒に考えよう」と行政に提案することもあります。この当事者と行政の架け橋になれるということが、団体で活動するメリットでもあります。当事者個人では、一人の意見にしかなりませんが、団体となれば複数人の意見を吸い上げることで、当事者の声がより行政に届きやすくなるのです。

 四季さくら会員 早坂さんの声 
 選挙時の視覚障がい者の投票方法や音響信号の音量改善など個人で相談していた時にはなかなか進まなかった話も、会として提案する事で解決することができました。

(2)当事者やその家族が豊かな人生を送ることができるように
 目が不自由だと、当事者も家族も危険だからと家にこもりがちになります。当事者が家の外に出て楽しめる場を作りたいと思っています。行きたい場所や、やりたいことなどの目標があると、楽しく生活を送ることができると思います。
まだまだ支援を必要としている人は多くいます。これからも視覚障がい者に優しいまちづくりを目指して頑張っていきたいと思います。
  
                                           
ご協力ありがとうございます(敬称略)

「書き損じ及び未使用ハガキ回収事業」報告
(令和5年1月1日~1月31日受付分)

・団体(1団体)
(仙台市)宮城県障がい者福祉協会

・個人(14名)
(仙台市)8名  (石巻市)1名  (名取市)2名  (東松島市)1名  (丸森町)1名  (八尾市)1名

・小学校(41校)
(仙台市)原町 住吉台 荒町 大沢 太白 郡山 南小泉 鶴谷東 柳生 長命ケ丘  (石巻市)北村 前谷地  (気仙沼市)大島 津谷  (白石市)福岡  (名取市)高舘 不二が丘 増田  (角田市)角田  (多賀城市)天真  (岩沼市)岩沼西  (東松島市)矢本東 矢本西  (登米市)石越 東郷 南方  (栗原市)瀬峰 花山 高清水  (大崎市)古川北 沼部 東大崎  (蔵王町)平沢  (村田町)村田第二  (柴田町)船岡  (山元町)坂元  (大和町)吉岡 吉田  (大郷町)大郷  (色麻町)色麻  (南三陸町)戸倉

・中学校(11校)
(仙台市)東華 住吉台 柳生 高砂 長町  (石巻市)石巻  (角田市)角田  (多賀城市)第二  (岩沼市)岩沼北  (大河原町)大河原  (亘理町)吉田

・高校・支援学校(12校)
加美農業 仙台向山 岩出山 鹿島台 気仙沼向洋 泉 本吉響
拓桃支援 名取支援名取が丘校 角田支援白石校 岩沼高等学園川崎キャンパス 気仙沼支援


貸し出します 

 貸し出しご希望の方は協会事務局 電話022-257-2022へお申し込み下さい。

日視連発行
(1)日視連アワーCD版・カセット版 令和5年1月号
(2)点字日本 第613号 2023年1月1日発行
(3)令和4年度 第2回全国団体長会議研修会「障害者アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」について DVD版 令和4年10月7日発行

内閣府政府広報室発行
(1)点字・大活字広報誌「ふれあいらしんばん」第89号 
内容
①使い分けよう!!緊急時の「110番通報」、困ったときの「#9110」番
②住宅火災から私たちのいのちを守る10のポイント
③151年目のスタート!日本の鉄道
④こころがけよう サイバーセキュリティ

(2)音声公報CD「明日への声」第89号は「ふれあいらしんばん」と同様の内容です。


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