事務局だより11月号 

 今月号の目次

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 日視連第2回全国団体長会議の報告

 日視連の関係機関に対する陳情書

 視覚障害者情報交流会開催のお知らせ

 貸し出します

 差し上げます

 本の紹介
 
  
日視連第2回全国団体長会議の報告

                                                       理事長 宇和野 康弘
 
 日視連に加盟する都道府県・指定都市の代表者で構成する今年度第2回の全国団体長会議が、10月7日にオンラインで開催されました。
 始めの挨拶で竹下義樹会長が、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の成立や、国連障害者権利委員会による日本審査と勧告があり、障害者を巡る動きが活発化する流れがあるが、それを視覚障害者のための具体的取り組みにどのようにつなげていくかが大事であると話された。そのあと、国連障害者権利委員会の会議に参加した田中伸明名古屋視覚障害者協会会長より、国連障害者権利委員会の日本審査と勧告(総括所見)について説明がありました。権利委員会の勧告には、障害当事者団体などの事前聞き取りの内容が的確に反映されていたと評価していました。
 
 会議前半の研修会では、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の成立と障害福祉に関する動向」と題して、厚生労働省の担当者の解説が行われました。この法律では、都道府県や市町村、障害者団体など関係者による協議の場を設けるよう決められているので、これを生かすべきであること、障害者総合支援法との関連で意思疎通支援事業の代筆・代読支援を拡充すること、ICTの活用が重要であることなどが述べられました。また、情報の取得に欠かせない日常生活用具の価格引き上げが起こっているが、給付の基準額は国ではなく都道府県が定めているため、その予算管理部局と交渉する必要があることが説明されました。
 
 会議後半では、協議・意見交換が行われました。その中で、日視連の加盟団体支援プロジェクト委員会による組織強化のための中間とりまとめについて説明があり、アンケートの調査結果に基づき、会員の高齢化による役員の成り手不足、あるいは弱視者や青年層をはじめとする新会員の獲得不足等により会員減が多くの加盟団体で見られることなどの課題が説明され、対策としては魅力ある事業を実施することが考えられるとされました。新たに事業を開始するためには労力とコストが必要となり苦労は多いが、加盟団体の活動を活性化し、視覚障害者の福祉の向上を図るためには必要なことであると述べられました。
                                                      

                                                                               
日視連の関係機関に対する陳情書

 (社福)日本視覚障害者団体連合は加盟団体から提出された要望を全国大会と理事会の審議を経て、関係機関に陳情しました。その内容を今月号から随時掲載します。

 厚生労働省 障害福祉関係

【障害福祉サービス全般】

1.障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の第10条により、貴省が所管する施策において視覚障害者への情報保障をさらに進めるための措置を講じ、あるいは予算 を確保すること。
2.障害福祉サービスを行う人材を確保し、視覚障害者のニーズに見合った人材を育成すること。
3.障害福祉サービスの一部負担金の算定基準は所得によって区分されているが、この区分を細かく分けて、所得の実情に合った負担となるようにすること。
4.各自治体の障害福祉窓口担当者の専門性を確保するため、スキルアップを助成すること。

【外出保障】

5.視覚障害者がどの地域でも同行援護を安定的に利用できるようにするため、空白地区の自治体に対し、必要な同行援護事業所を育成し従業者を養成すること。そのために報酬の見 直しも実施すること。
6.同行援護従業者の資質を向上させ、コロナ禍であっても必要な移動に対してサービスを行うことができるように自治体を指導すること。
7.同行援護従業者養成研修応用課程において代筆・代読支援のカリキュラム拡充を行い、応用課程修了者を採用する事業所への加算を設定すること。
8.公共交通機関の利用が不便な地域において、同行援護従業者の車の利用を認め、移動・待機時間を報酬算定の対象に加えること。
9.通勤や通学、子供の通園等で同行援護の利用ができるよう、同行援護の支援適用範囲を広げるか、新たな福祉制度を新設すること。
10.介護保険対象者が通院する際に、同行援護が利用できることを周知徹底すること。
11.同行援護における地域間格差をなくし、利用時間の制限を撤廃させ、個人のニーズに合った支給量が確保されるようにすること。
12.同行援護の利用者の自己負担を廃止すること。
13.施設利用者が地域生活支援事業の移動支援が利用できることを周知徹底すること。

【意思疎通支援事業】

14.地域生活支援事業の意思疎通支援事業を個別給付にすること。
15.視覚障害者を対象とする意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を全国の自治体で実施させるため、実施要領を作成し、市町村に対し通知すること。
16.視覚障害者を対象とする意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を同行援護と併せて利用できるようにすること。
17.スマートフォンの動画機能を利用した読み上げや場面解説を文書対応に準ずるサービスとして、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の中で利用できるようにすること。

【日常生活用具・補装具等】

18.日常生活用具の音声体温計や音声体重計、音声血圧計等の支給基準にある家族要件を廃止すること。
19.読書バリアフリー法の理念である読書環境の充実に向け、日常生活用具の視覚障害者用ポータブルレコーダーの支給範囲の制限を撤廃すること。
20.日常生活用具の品目に放射能測定器(しゃべる線量計)を加えること。
21.日常生活用具の品目にスマートフォン等と連携機能があるスマート家電を加えること。
22.日常生活用具または補装具の品目に、AI技術を活用した多機能の視覚支援装置や暗所視支援眼鏡を加えること。
23.視覚障害者向けの音声式のパルスオキシメーター及び非接触式体温計を開発し、日常生活用具に加えること。
24.日常生活用具または補装具の取扱説明書は、視覚障害者が確認できる媒体(音声版、点字版、拡大文字版、テキストデータ版等)で発行できるように助成すること。

【読書バリアフリー】

25.「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)に基づいて、地方自治体が計画を策定し予算化するよう、地方自治体に指導すること。

【ICTに関する支援】

26.視覚障害者がICT機器の操作を会得し、円滑に利用できるようにするため、障害者支援センターによる支援や障害福祉サービスによる支援を充実させること。
27.デジタル化に伴い、視覚障害者にも利用できる機器等の研修会を開催する自治体や当事者団体に対し、開催費用等を助成すること。

【歩行訓練】

28.歩行訓練を全国の視覚障害者が受けられるようにするために、自立訓練(機能訓練・生活訓練)事業所の要件を緩和すること。また、歩行訓練士を国家資格化し、配置基準を定める   等して歩行訓練を実施する事業所と歩行訓練士を増やすこと。
29.歩行訓練を全国の視覚障害者が受けられるようにするために、地域生活支援事業の実施要綱等に配置基準を示したうえでメニューとして明文化すること。

【医療と福祉の連携】

30.地域の中途視覚障害者等の支援を充実させるため、スマートサイト等の医福連携体制を全国各地で普及させ実質化させること。また、イギリスにおけるECLO(エクロ)を参考として   支援者を養成すること。

【手帳】

31.眼球使用困難症を身体障害者手帳の認定基準に加えること。また、身体障害者手帳の交付対象となるまでの間は、眼球使用困難症の者を暫定的に同行援護や日常生活用具の給  付対象とすること。

【ロービジョンケアに関する診療報酬改定】

32.現行の視能訓練には、「斜視視能訓練」と「弱視視能訓練」があるが、これらに「ロービジョン視能訓練」を新たに追加し、ロービジョン検査判断から引き続いて実際のロービジョン訓   練が受けられるようにすること。

【高齢者問題】

33.視覚障害者が一定以上の所得があっても、養護盲老人ホームに入所できるようにすること。
34.市町村による養護盲老人ホームへの入所措置控えを解消すること。

【医療】

35.入院中に居宅介護等のヘルパーを利用できるようにすること。
36.医療機関において、急患時の検査・手術・入院の説明、書類の代筆・代読を促進すること。
37.医療費の自己負担につき、障害者医療扶助が使える場合は、窓口での支払いをしなくても済むように法制化すること。少なくとも、窓口での支払いをしなくてもよいようにしている自   治体に課せられているペナルティーを撤廃すること。

【新型コロナウイルス感染症】
38.新型コロナウイルス感染症に罹患した視覚障害者が安心して療養するため、入院、ホテル療養、自宅療養をする際に、適切な情報提供や移動の支援が受けられるようにすること。

【療育】
39.視覚障害児の早期発見のためのスクリーニングテストを、乳幼児検診等で実施すること。

【補助犬】
40.盲導犬使用者の乗車拒否や入店拒否をなくすために、身体障害者補助犬法における努力義務を法的義務にすること。


視覚障害者情報交流会開催のお知らせ

視覚障害者情報センター主催による交流会を開催します。申込は不要ですのでお気軽にご参加下さい。

・対象者:視覚に障害のある方(障害者手帳の有無は問いません)、ご家族、その他(視覚障害支援に関心のある方等)

・開催日:
11月25日(金)東松島市13時~ 東松島市役所南庁舎2階
11月27日(日)塩竈市 10時~ 塩竈市公民館1階図書室
12月 1日(木)名取市 13時~ 増田公民館講義室 
12月 3日(土)大崎市 13時~ 大崎市図書館研修室2・3
12月11日(日)亘理町 13時~ 亘理町悠里館3階視聴覚ホール
12月17日(土)柴田町 13時~ 柴田町図書館本館(しばたの郷土館内)2階多目的ホール

                                                       
貸し出します

 貸し出しご希望の方は協会事務局 電話022-257-2022へお申し込み下さい。

日視連発行
(1)点字日本 第610号 2022年10月1日
(2)点字「厚生」 第293号 2022年9月20日
(3)声の公報「厚生」 第279号 2022年9・10月

                                                      
差し上げます
 
 (一社)全国銀行協会より、キャッシュカードや通帳等の盗難・紛失時の連絡先をまとめた冊子を10部提供いただきました。視覚障害者が利用しやすいよう音声コードUni-Voiceを採用しており、スマートフォンの専用アプリ(Uni-voice Blind)で読み取る事ができます。
 ご希望の方は協会事務局へお申し込み下さい。
 なお、この連絡先一覧は全国銀行協会のウェブサイト「銀行カード等の紛失・盗難」 https://www.zenginkyo.or.jp/ にも掲載しています。


                                                     
本の紹介
 
                                                       理事 及川 篤生

書名 コブラの眼(こぶらのめ) 上下巻
著者 リチャード・プレストン 訳者 高見 浩

 サピエに音声デイジー版、点字データが上下巻ともに登録されています。上巻8時間42分、下巻9時間36分。点字データは上巻が全5巻、下巻が全6巻。
 
 会員の皆さんこんにちは。協会理事の及川篤生です。9月に3年ぶりに福祉大会が行われました。久しぶりに会員の皆さんとお会いできましたが、参加者の数は以前と比べるとかなり減少。これもコロナの影響ですね。来年は、たくさんの会員の皆さんとお会いしたいです。コロナも第8波に入ってきているようです。

 今回紹介させていただく本は、感染症の小説です。人類の歴史は、ある意味、感染症との闘いの歴史ともいえます。今、コロナウイルスが世界を席巻していますが、僕が大学生の時に世の中に知られたのが、出血性のウイルス。よく知られているのがエボラ出血熱。ほかにも、感染すると、鼻や口、眼球、肛門などから出血して、高熱を伴い死に至るという感染症が複数知られています。高熱に苦しんで、全身から血を噴き出して絶命するというのは、避けたい死に方ですよね。
 このウイルス、映画や小説でも取り上げられています。感染症を取り扱った小説・映画などは、大規模感染をどう防ぐかとか、テロリストがウイルスをばらまくといった内容が大体の話の筋です。

 今回の本は、バイオテロ。狂気的なウイルス学者が、アメリカの大都市に非常に致死性の高い出血性のウイルスをばらまきます。最初の犠牲者は、アンティーク好きの女子高生。古道具屋で小さな箱を購入したら、そこから微量の粉末を吸ってしまいます。彼女が、学校で異常な死に方をしたところが、感染の始まり。彼女を救護した教員や検死官などにも感染が広がっていきます。実際の感染症も同様なのですが、感染症を引き起こすウイルスを特定して、対処するのに多くの時間と労力が求められます。
 テロリストは、そうしたウイルスをニューヨークの地下鉄に散布しようとします。しかも、そのウイルスは空気感染、つまり、ウイルスが浮遊している空気を吸うだけで、感染してしまいます。
 クライマックスは、犯人が、ウイルスをばらまこうとするのを防ぐ、地下鉄での戦い。しっかりとした、科学的検証をベースにした、バイオテロとの戦いを描いていて、本の分量も含めて、かなり読みごたえがあります。20年以上前の作品ですが、しっかりと仕上がっています。
                                                    

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