不眠の原因と対策 --- 夜の照明と不眠 ---
この記載内容について、転記載はご遠慮ください。
不眠の原因
不眠の原因は、いろいろある。ストレスや運動不足、不規則な生活など。夜(夜間)の照明も不眠の一因になる。1970年代後半以降、経済が豊かになり、電気料金も安くなったことから家庭や職場の夜の照明が明るくなった。夜、職場での仕事には、明るいのがよいであろう。しかし、このような状況では体内時計が狂う。
光に対する感受性には個人差がある。就寝中、豆電球を夜通し点灯しようが外から光が差し込もうが平気な人もいる。反面、夜間の薄明かりでも不眠になる人がいる。
このページは、不眠で悩んでいる人達に役立つことを願って掲載した。しかし、不眠の原因は夜の光だけではない、光が原因でない場合は、このページに記載したことは適用できない。
体の機能には昼夜のリズムがある
人間は、昼間活動し夜は休息(就寝)するのが自然である。すなわち、体の機能には、睡眠覚醒リズムがある。このリズムは、体内時計によってつくられている。体内時計が正常に機能するためには、規則正しく1日のうち約半分は連続して明るく、残り半分は連続して暗いことが大切である。
体内時計の狂い
夜に明るく照明すると私達の体(体内時計)は、日没後も夜と感ずることができない。消灯するまでが昼間の状態である。これでは昼間の状態が長過ぎ、夜の状態が短過ぎで、体内時計は正常に機能できなくなることがある。さらに、現代は昼間蛍光灯の照明の下で夜も蛍光灯の照明の下で仕事をすることが多くなった。このように、昼間太陽光に曝されることが少なくなった。昼夜変わらない光環境では体内時計は正常に機能できなくなる。現代は、夜遅くまで仕事をしなければならない人も多いであろう。このような人達は遅寝遅起きになりがちである。不規則な生活も体内時計を狂わせる要因になる。昔から、「早寝早起きは健康のもと」と言われてきた所以である。
光は体を活動的にし、暗は眠りを誘導する
暗いと、体内では眠りを司るメラトニンが分泌され、明るいとメラトニンの分泌が減少または止まる。Kathalijine E. V. ら(J. Biol.
Rhythms 14: 116-121, 1999)は、人についてメラトニンの分泌が真夜中の短時間(30分とか1時間)の照明で抑制されることを明らかにした。また、Aoki,
H. ら(Neurosci Lett 252: 91-94, 1998)は、深夜に光でメラトニン分泌が抑制される最小の照度は、照明時間で異なることを明らかにした。すなわち、メラトニン分泌は照明が明るいほど、短時間で抑制される。一方、光によって体を活動的にするセロトニン神経系が働くことが知られている。
日没で暗くなるとセロトニン神経系が活動を停止し、メラトニンが分泌される。夜遅くまで照明に曝されているとセロトニン神経系が働き続け、メラトニンが分泌されない。このような状態が毎日続くと体内時計が狂い、セロトニン神経系の働きとメラトニン分泌のリズムが崩れる。
体内時計が狂うとどうなるか
体のリズムは、昼間は活動的、夜間は休息(睡眠)の状態になるのが自然である。体内時計が狂うと、夜は眠くても1〜3時間毎に目を覚まし、昼間は時々睡魔に襲われることになる。これは、セロトニン神経系の働きと、メラトニン分泌のリズムがなくなり、数時間毎の小刻みになるからである。リズムがなくなるのでセロトニン神経系は就寝中にも数時間毎に活動的になり眠れない。メラトニンは、昼間も時々分泌されるので睡魔に襲われる。
現代は、夜は明るく照明しているので快適に起きていることができる。そのため、赤ちゃんから老人まで多くの人達が遅寝になりがちである。夜の照明が暗いと眠くなる。
不眠の対策
不眠の対策と言っても夜の残業などで難しいであろう。しかし、不眠の原因をよく理解しているのとそうでないのとでは心構えが違うであろう。不眠の対策は、日没後の照明を出来るだけ暗めにして夜更かしをしない、早寝早起きの規則正しい生活をすることである。就寝中の寝室内は、暗さに目が馴れても室内の物が見えないほど暗くする。就寝中、豆電球を夜通しつけている人もいるようであるが、不眠で悩む人は豆電球の点灯はやめるべきである。
近年は、街路灯などで夜の外は明るい。外の光が寝室のカーテンを透して差し込み明るいと人によっては体内時計が狂う。この場合は、遮光カーテンなどで遮光する必要がある。
夜のコンビニの照明はとても明るいので、買い物をしている短時間でも体内時計に悪影響を与える危険がある。不眠に悩んでいる人は、買い物は昼間に済ませて夜はコンビニなど明るく照明されている所へ行かないよう心がける必要がある。
アメリカでは、1995年以前から夜勤労働者に対する体内時計に基ずくカウンセリングを行って労務管理をしている。これによると、夜勤労働者の場合は、勤務中は出来るだけ明るく照明し、勤務終了1〜2時間前から照明を徐々に暗くして、帰宅後は暗くして寝るのがよい。
現代の赤ちゃんの夜泣きの主な原因は不眠
赤ちゃんは、不眠症になると夜泣きする。大人は不眠症でも泣かないでしょう。夜の光が原因の不眠症は、赤ちゃんも大人も同じ。赤ちゃんの夜泣きの原因と対策のページも参考にしてください。
対策の効果はいつ現れるか
光の影響は徐々に現れる。夜の光で不眠になる場合、長い期間かかって徐々になる。同様に、不眠の対策を理想的に講じても効果は直ぐには現れない。効果が現れるまでの期間には、個人差がある。早い人で数日後、遅い人は3〜4週間後になる。対策の程度によっては、効果は殆ど現れない。例えば、遮光カーテンを付けてもカーテンの縁から光がもれている場合や、眠れないからと夜中に電灯を点灯して起きていたりする場合である。
注)
アメリカでは夜、眠れない人のためにメラトニンがサプリメントとして、一般に売られている。インターネットでも買うことができる。しかし、眠れないからと言ってこのようなものを服用するのは問題である。まず、不眠の原因を突き止めて原因を除く事を第一に考えるべきである。メラトニンは、夜暗ければ体内で分泌する。原因を除くことなしにメラトニンや眠り薬などを服用するとますます状態を悪化させる危険がある。さらに、副作用も考えるべきである。