ウチダザリガニ
日本ザリガニ研究所


和名:ウチダザリガニ
学名:Pacifastacus leniusculus
英名:Signal crayfish

 ウチダザリガニについて、私の研究室(山形大学理学部)に所属していた大学院生・学生達が平成15〜17年に、裏磐梯で漁協から許可を得て分布などを調べた。
 環境省は平成18年2月1日、ウチダザリガニを特定外来生物に指定した。環境省の許可なく飼育したり、生きているのを持ち運ぶことはできない。

 ウチダザリガニは、オレゴン州から1928年に石川県志賀町館開、1930年に北海道に移入された。当時、日本は食糧難であったので、食用として養殖の研究のため移入した。北海道に移入したものは、養殖の研究の後、摩周湖に放流した。その後、北海道では、ウチダザリガニは摩周湖にだけ棲息していたが、近年は阿寒湖をはじめ北海道東部、本州でも棲息が確認されるようになった。これは、それらの地域へ誰かによって放流されたためと考えられる。
 日本の固有種の多くの生物は共存してきたが、外来生物は日本古来の生物と共存関係にない。そのため、日本の貴重な生物を壊滅的にしてしまう恐れがある。外来生物をむやみに自然界へ放すべきではない。

なぜ、和名はウチダザリガニ?
 このSignal crayfishもアメリカから移入したので、これをアメリカザリガニというとアメリカザリガニProcambarus clarkii と区別できない。この「ウチダ」は、北海道大学の著名な分類学者であった、内田亨教授のウチダである。摩周湖に放流したザリガニをウチダザリガニ、滋賀県の淡海溜池に放したのをタンカイザリガニと呼んでいる。

なぜ、英名はSignal crayfish (シグナルクレイフィッシュ)?
 このザリガニの特徴の一つは、第1胸脚のハサミに目立つ白い斑点(模様)があることである。ザリガニがハサミを動かすと、あたかも signal (信号、シグナル)を送っているかのように見えるので signal crayfish と名付けられた。


   
  ウチダザリガニの液浸標本 雄個体
  採集地:磐梯朝日国立公園小野川湖
  採集:平成18年5月6月1日に生きているのを地元の
  方から戴き、その日の内に標本にした。

 産卵
 裏磐梯では10月下旬から11月に産卵する。孵化は、翌年5月下旬〜6月上旬。1個体が産卵する卵の数は、ザリガニの体の大きさによって異なるが200〜500個。裏磐梯では、抱卵個体のうち孵化までに大部分の卵が死ぬ個体もいる。私達は、カニ篭にかかった数多くの抱卵個体から卵をはずし、各個体の抱卵数を調べた。

   

   
  平成15年5月(右上と下2葉) 右上:5月でも沢山抱卵していた卵、卵の表面はきれいである。左下:卵が死んで卵膜の内が空になっているのがある、右下:卵の表面に細菌が繁殖しているので多くの卵は死ぬ。(写真撮影:山形大学理学部裏磐梯湖沼実験所にて)

 ザリガニの母親の多くは、産卵すると巣穴に入り子育てが終わるまでは餌を食べない。しかし、ザリガニもいろいろであり、なかには産卵しても普通に餌を食べる個体、餌を少し食べる個体、自らの卵をはずして食べる個体もごく少数ではあるがいる。上の写真の抱卵個体はカニ篭にかかったものである。左上の写真、向かって右側の尾扇の黒い線のように写っているのは糞である。このザリガニは、抱卵中も普通に餌を食べるので、カニ篭内の餌に寄ってきたと考えられる
 ザリガニをカニ篭で獲る場合、産卵から子育てが終わるまでの季節は、カニ篭にかかるのはほとんどが雄個体である。雌個体は、子育てが終わると次の産卵のために餌を沢山食べなければならない。そのため子育てが終わってから次の産卵までの季節、雌個体が雄個体よりはるかに多くカニ篭にかかる。

ザリガニに関するメニュー
日本語のトップページ
Top page