アメリカザリガニの産卵季節はいつ?
日本ザリガニ研究所

 日本では、アメリカザリガニの産卵は主に秋である。しかし、個体によっては、春から晩秋までの期間のいずれかで産卵する。
 アメリカザリガニの原産地ルイジアナでは、夏が暑いのでザリガニは深く穴を掘って、その穴の中で夏眠または子育てをする。ルイジアナで見せてもらった穴は、深さ約1.5mとのことであった。日本では、冬の寒い地域では、穴の中で冬眠する。冬は寒いので成長しない。晩秋に産卵すると、卵を抱えたまま冬眠し、春に孵化する。晩秋に孵化した稚ザリガニは、親に抱えられて越冬し春から成長し、秋には成体となって雌個体は産卵する。
 なぜ日本では、主に春ではなく秋に産卵するのか?原産地のルイジアナでは、夏に夏眠し秋に夏眠から醒めて産卵し、冬から春に稚ザリガニは成育する。このようなことは遺伝で決まっている。このようなザリガニが日本で棲息しても遺伝子は変化していないのでルイジアナと同様、秋に主に産卵する。

産卵から孵化までの期間
 下の写真は、産卵当日から孵化までの記録である。産卵は、7月22日で孵化は8月13日。この抱卵個体は、室内(室温24〜32℃)で飼育した。ほぼ同じ日に抱卵した他の個体は、屋外に設置した飼育容器で飼育しているが、孵化までには未だ何日もかかりそうである。屋外の飼育容器は、土を掘って設置し、直射日光を遮っているので水温は、外気温と比べてそれ程高くはならないようにしてある。
 温度が高いと孵化までの期間は短くなる。しかし、32℃以上温度が高いと死ぬであろう。このことを考えると、産卵から孵化までの期間は、最低でも約3週間となる。秋に産卵すると屋外では、孵化までに2か月位かかるであろうし、場合によっては翌春になる。

  ←産卵7月22日  ←8月8日


  ←8月9日  ←8月13日


アメリカザリガニは抱卵するとおとなしくなる。
 一般に、動物は子育て中は、子を守るため気が荒くなる。しかし、アメリカザリガニは、抱卵すると穏やかになり、飼育していると簡単にさわることができる。これは、もし、気が荒くなって、勢いよく動くと卵が腹脚から脱落するためであろうか?


アメリカザリガニは食糧難の時、移入された
 日本ではアメリカザリガニは、水田で稲を噛み切ったり、畦に巣穴を掘るので嫌われている。しかし、ルイジアナでは稲が生育する期間は夏眠し、稲の収穫が終わった秋に夏眠から醒めて活動を始めるので、稲作耕作者とのトラブルはない。このように、アメリカザリガニは原産地、すなわちアメリカザリガニの故郷では人間とトラブルはない。しかし、環境の異なる日本で棲息するのは、日本固有の生物や稲作耕作者にとってもアメリカザリガニにとっても好ましいことではない。
 
しかし、日本に生息しているアメリカザリガニには責任はない。アメリカザリガニは、日本が食糧難の時代に、ウシガエルの餌としてニューオリンズから船に乗せられ、遠路を連れてこられた。このザリガニは、異国で頑張って生きている。人間の勝手で、生き物を他の地域や他の国への放流や移入は、動物保護の観点からもあってはならない。また、食糧難の時に食料の確保のために連れて来て、食糧難の時代が過ぎ去ったからと言って、アメリカザリガニを悪者扱いするなら、人はあまりにも勝手過ぎないだろうか?私としては非常に複雑な気持ちである。

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