夜泣きする赤ちゃん、しない赤ちゃん
中谷 勇 元 山形大学理学部(生物学科)教授
夜泣きで悩んでいる親が多い反面、夜泣きしない赤ちゃんもいます。夜泣きする赤ちゃんとしない赤ちゃん、何が違うのでしょうか?これは、赤ちゃんに違いがあるのではありません(ただし、体内時計の周期の長さは個人によってまちまち)。育児の仕方や家庭環境、特に、光環境や生活スタイルに違いがあるのです。赤ちゃんの体調がすぐれない時など以外は、夜泣きの原因は赤ちゃんにあるのではありません。赤ちゃんは、自ら生活
環境を変えることはできないので、夜泣きの原因は育児する親にあることになります。

生後3か月です。よく眠っています。
夜泣きしない赤ちゃんの親は、意識的に、あるいは無意識のうちに夜泣きしない環境をつくっているのです。無意識のうちにそのような環境をつくっている親に、夜泣きさせないコ
ツを聞いても、夜泣きの原因は知らないでしょうから、的確に教えてはもらえないことが多いでし ょう。
私が、ある家庭にお邪魔した時、1才位のお子さんが居間でお昼寝を2時間程していました。このお子さんは夜泣きしないとのことでした。お昼寝の様子や寝室を見せていただき、夜泣きしなくて当然と納得しました。

夜泣きしている赤ちゃんもある程度の年齢になると夜泣きしなくなります。このことについては、2つに分けて考える必要があります。
1つは、夜泣きが生後6か月以降から始まる、昼夜逆転が原因の場合、夜泣きしなくなった後は問題ありません。1才半〜2才になると自ら体内時計に毎日正常にリセットがかかるような寝起きをするようになるからです。しかし、昼夜逆転で夜泣きする場合は、体内時計の周期の長さが24時間より長い場合は毎朝規則的に起こし、夜は8時頃には寝室内を真っ暗にして就寝させると夜泣きしなくなるので、夜泣きはさせるべきではありません。体内時計の周期が24時間より短い場合は、就寝時刻が毎日早くなりがちですから夜8時頃までは起こしておく工夫が必要です。
もう1つは、生後6か月以前から夜泣きしていた場合。この夜泣きの原因は、光環境や生活スタイルにあります。4,5才になると忍耐力がついて夜泣きしなくなるでしょう。しかし、夜泣きの原因であった光環境や生活スタイルが改善されていなければ、睡眠障害は治っていません。急にヒステリックな声を発する、昼間元気に遊ぶことが出来ない、就学期になると学校へ行けなく不登校になるなどの症状がでることがあります。
昔から多くの親達は夜泣きで悩んできたので、夜泣きは赤ちゃんの成長の過程で避けがたいものと考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、私から見れば夜泣きには明確な原因があります。その原因を除けば夜泣きはしません。その原因を除くのは簡単な事です。夜泣きしなくなったら子育ては、とても楽しくなります。本来、赤ちゃんや幼児がいると家の中が明るくなごやかになるものです。
私は、子供のとき弟の子守りをしていて赤ちゃんの昼寝の時刻が規則的に毎日変わることに気付きました。さらに、周りの女性達が「昼寝が夕方になると夜泣きする」と話しているのも聞いていました。それで自分の子供を育てるときは、生後6か月を過ぎた最初の夜泣きと、途中で調整が失敗して夜泣きさせました。夜泣きさせたのは、この2回だけでした。
山形大学に赴任してからは、ザリガニの他に体内時計の研究もしました。大学に赴任して20年くらい経過した頃、最初のHPを立ち上げました。そのとき、赤ちゃんの夜泣きと体内時計は密接に関係があることをHPに掲載しました。すなわち、「夜泣きの原因と対策(対処法)」や「現代の夜泣きの原因と対策」というHPです。
「夜泣きの原因と対策(対処法)」は、数十年前までの夜泣きは体内時計のリズムがずれて睡眠覚醒リズムが昼夜逆転したもであったのでそのことについてでした。
夜泣き相談のメールは受け付けてはいませんでしたが、私のHPをみて多くのお母さん達から相談のメールがきました。夜泣き相談のメールのほとんどは、昼夜逆転ではなく、睡眠覚醒リズムがなく、昼夜とも数時間毎に泣くということでした。これは睡眠覚醒リズムがなく睡眠障害の状態です。そのため「現代の夜泣きの原因と対策」
というHPもたちあげました。
以上のようなことで、執筆したのが「赤ちゃん なぜ泣くの?」と「夜泣き -- 原因と対策」です。これらは、私のオリジナルでありますし、このように夜泣きの原因が赤ちゃんにあるのではなく生活スタイルや夜の光環境にあるという発想は、世界中で最初のものです。
これらの本は、読者から好評を得ております。
戻る
夜泣き - 原因と対策(単行本)
日本語のトップページ
Top page