体内時計の周期の長さと夜泣きや不眠との関係
中谷 勇 元 山形大学理学部教授
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体内時計の周期の長さは、約25時間と記載されている学術書もあるが、これは誤りです。自ら実際に実験をしないで、合法的であっても引用の繰返しをしていると、このような誤解が生ずることがあるのです。実際に体内時計に関する記録をとると周期の長さは、それぞれの個体によって違います。すべての個体の体内時計の周期が約25時間ではなく、平均値を求めると約25時間になるのです。これは、人によって身長や体重が違うのと同じです。身長や体重も平均値を求めればそれぞれある値になりますが、全ての人がその値通りではありませんよね。
体内時計に関する本質的なことは下等な生物から人間まで、ほぼ共通です。以下は、人について掲載します。体内時計の周期の長さは、短い人は23時間より短く、長い人は25時間より長く、それぞれの人の体内時計の周期は、これらの間のいずれかです。
一般に、体内時計の周期が24時間より短い人は、夜泣きや不眠になる確率が低いと考えられます。なぜなら、このような赤ちゃんは早寝になる傾向があるからです。さらに、親の体内時計の周期が24時間より短い場合も親が早寝になる傾向があり、赤ちゃんも親と一緒に早寝になるであろう。
これとは反対に体内時計の周期が24時間より長い人達は、遅寝になったり寝起きが不規則になりやすく、そのため、このような赤ちゃんは夜泣きする確率が高く、大人は不眠になる確率が高くなりがちです。
勿論、夜泣きや不眠の原因は、これ以外に生活環境などにもあるので、体内時計の周期の長短だけではありません。
体内時計は身体のどの部位にある?
体内時計として特定の形をした構造物は有りません。体内時計は遺伝子として細胞の中にあります。遺伝子はどの細胞にも同じものが含まれているが、身体の部位によって働く遺伝子が異なります。人の場合、体内時計として最も重要な機能を果たしている部位は、脳の中の視床下部の視交叉上核です。
体内時計が狂うとどうしてだめなの?
私達の身体には、いろいろな機能があり、それらには昼夜のリズムがあります。睡眠覚醒リズムは、その一つです。それらのリズムをつくっているのが体内時計です。それが狂うと身体の全ての機能のリズムが狂います。
体内時計を狂わせないためには?
早寝早起で規則正しい生活と夜の照明を明る過ぎにならないように心掛けることです。
早寝早起きと言っても具体的に何時頃?
現代は、多くの人が遅寝遅起きになっています。最近の学術書には、夜9時頃寝て朝4時頃起きるのはリズムが4時間ほど早くなっている睡眠相前進症候群であり、異常だと記載しているものがあります。しかし、これは完全に間違っています。
なぜ学術書に記載されているのに、間違っているの?
一般に、現代は遅寝遅起きになっている。だからといって基準が変わってよいものではありませんよね。
これが間違っているか否かを根拠を挙げないで議論してはいけません。
根拠を挙げて考えよう!
人の理想的な睡眠時間は1日何時間? → 7〜8時間
朝食と昼食、昼食と夕食の理想的な間隔は、それぞれ何時間? → 7時間
夕食後、すぐ就寝すると消化器官に好ましくないから1〜1時間半は起きているのがよい。
朝食は、起床してすぐは好ましくない、1時間位後がよい。
以上から1日の時間(時刻)を割り振ってみましょう。
先ず簡単なところから、昼食は12時としよう。すると夕食は夜7時、朝食は朝5時となる。
朝5時に朝食のためには、起床は4時頃。
以上から、睡眠時間を7〜8時間確保するには就寝は夜8〜9時となる。
夜8〜9時に就寝し、朝4時頃には起床するのが最も理想的であり、これが太古の昔からの自然なすがたです。
生活スタイルが変わっても人の身体のリズムは変わらない!
文明が発達し生活スタイルが変わっても身体のリズムをコントロールしている遺伝子は変化しない。そのため、身体のリズムを変えるような生活をしていると、体内時計が狂う危険がある。